-09 困った先生たち
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夜にどうしてもプリンが食べたくなった。
金曜日の23時。
気になり出したら眠れない。
パジャマから私服に着替え、マスクをして外に出た。
最寄りのコンビニは私のアパートからまっすぐ歩いて、キメツ学園を過ぎたその先にある。
徒歩15分。
外は晴れているし深夜だけど歩いて行くことにした。
コンビニに入ると何やら騒々しいし、嫌な予感がした。
「お?煉獄の女じゃん」
こんなこと言うのは1人しかいない。
宇髄先生がお酒コーナーの前で両手にお酒を持ってカラカラ笑っている。
自転車で通勤していると言っていたし、もしかしたらこの人はご近所さんなのかもしれない。
げんなりしていると近くの棚から顔を出したのはまさかの煉獄先生だった。
私服だ!!!!
「おっ、苗字さんか!
まったく。宇髄、彼女は藤乃花商事の営業の…」
「うるせーな!分かってるっつーの!何回も!」
「2人ともうるさいぞ」
「何を騒いでんだァ」
ぞろぞろとみんな集まってくる。
確か、スパルタ体育教師の冨岡先生と…
よく倉庫に現れたりたまーに手伝ってくれる不死川先生だ。
4人とも両手にお酒を持っている。
「今日は宇髄のアパートで飲み明かすんだ!酒が足りなくなったから買いに来たのだが、まさか君に会うとはな」
「私もびっくりしました!」
今日は金曜日だし、先生たちも週末は普通の会社員と同じ感じなんだなぁ。
たしかに4人ともお酒臭いしほんのり顔が赤くなっている。
冨岡先生はもう顔がとろとろになっていてかわいい。
スイーツの棚に移動すると煉獄先生は付いてきた。
他の先生たちはあーだこーだ言いながらまだお酒コーナーで立ち止まっている。
「歩いてきたのか?」
「あ、はい。そうです」
「こんな時間に危険だな」
「全然近くですよ。ほら、キメツ学園を通り過ぎていくとクリーニング屋さんがあるじゃないですか。
そこの横のアパートなんです」
「ははっ、宇髄のアパートはクリーニング屋の裏手にあるんだぞ」
「ええ!?そうなんですか!?」
今までももしかしたら出会っていたのかもしれない。
いや、休日全然外に出ないし、出たとしても車で移動するから近所のことなんて何も知らなかった。
「帰りは一緒に行こう!」
「ええ!?そんな、いいですよ!」
「いや!女性1人をこんな時間に歩かせるなんて出来るわけがないだろう!?」
煉獄先生はニコニコしながら3人の元へ戻る。
私のことをみんなに説明しているらしい。
そしてみんな私の方を振り返り、ニヤッと笑った。