弟峰と姉ヒロイン


「ねーちゃん、飯」

小憎たらしい弟――大輝は用件だけを伝えると階段を駆け上がり自分の部屋へ行ってしまった。
私は高二、大輝は小四で七つも離れている。

「あんた!手洗いうがいしなさい!」

大声で呼ぶが大輝ははあい、と生返事をし、完全に待機の姿勢に入ってしまった。

「…あの馬鹿」

ふぅとため息を吐き、作りかけの唐揚げをとき卵に浸す。

パチパチと軽快な音をさせながら唐揚げを揚げていると大輝が降りてきた。

「ねーちゃんまだ?」

「まだに決まってんでしょ!そんなに気にするなら手伝いなさいよね」

「いや、今日はさつきが来んだよ。アイツんち今日は親帰って来ないんだってよ」

「は!?先言いなさいよねもー!唐揚げ足りるかなー…」

大輝ちょっと我慢しなさいよね、と告げるとぶーたれた。そりゃないぜ!とかさつきが我慢すれば!とか言っているがさつきちゃんを呼ぶのはやめないようだ。口や人相は悪いが根は友達思いの優しい子なのである。姉バカか。



「おじゃましまーす!なまえちゃん久しぶりっ!」

ああ。女の子天使か。妹がいればこんな感じだったんだろうなあ。
ぎゅっと抱き着いてくるさつきちゃんの頭を撫で、リビングに案内する。
さつきちゃんの親は帰りが遅いことが多く、そういう日は帰ってくるまでうちの家で過ごしているのだ。
今日はお泊りするので色々入っているのだろう、リュックを背負っている。

「わたしお風呂入ってきたの!」

「あれ、そうなの?うちの家で入ればよかったのに」

「ううん!時間があっただけだから!」

「大輝アンタもこういう気遣いができるようになってほしいわ…」

「う、うるせえよ!それより飯だ飯!」 

今日唐揚げだぜ、と大輝がさつきちゃんに告げるとわあああい!とはしゃいでリビングに走っていった。

何度でも言おう、天使か。



「いただきまーす!」

「はい、どうぞ」

大輝が山盛り皿に唐揚げを盛る。よかった多めに作って。

「わあ!やっぱりなまえちゃんが作ったご飯は美味しいっ!」

「えー?そう言ってもらえるとこれからも食べに来て欲しいわーどっかの真っ黒小学生とは違うわー」

「俺のことか!!!!!!」

「ん?自分真っ黒って自覚あんの?」

「ばーかばーか!ねーちゃんのばーか!」

「馬鹿で結構よ。真っ黒よりまし」

「……ふふっ、やっぱり大ちゃんちは賑やかだね!わたし大ちゃんのおうち大好き」

ふわりと笑う美少女に癒される私は青峰大輝の姉、青峰なまえです。




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