起きて、寝ぼけ眼で歯を磨いて。ダイニングに戻るとふわりといい香りが鼻腔をくすぐった。

「京治くんおはよう」
「おはようございます」
「おなかすいた」

ぐう、と鳴るおなかを押さえて台所に立っていた京治くんに後ろから抱きつく。「邪魔です」とあしらわれるけれど気にしない。

「今日の朝ごはんなあに」
「オムレツとサラダです」
「んー・・・おいしそう・・・」
「ちょっとなまえさん寝ないで」

京治くんと同棲を始めるまで、私に朝食を摂るという習慣はなかった。実家にいた頃は準備はされていたけれどギリギリまで寝ていたし、それは高校の頃から変わらずだったのでお母さんも諦めていたからだ。

それを伝えたとき京治くんはずいぶん驚いて、その重要さをとつとつと説いた。でもぎりぎりまで寝てたい、と文句を垂れる私に「じゃあなまえさんは俺が作る朝飯を食べれなくてもいいんですね」と言うあたり、本当に京治くんは私という人間を分かっている。

「暇ならコーヒーでもいれてください」

フライパンを温め始めた京治くんはそう言って、冷蔵庫から卵を取り出す。はーい、とおとなしく返事をして、インスタントの粉とマグカップを2つ、あと電子ケトルを準備。京治くんはブラック。私は今日は、そうだなあ、カフェラテにでもしようか。

「なまえさん、パンとご飯どっちがいいですか」
「パン」
「俺もパン」
「焼けと」
「お願いします」
「しょうがないなあ」




 パンとごはんどっちにするの?

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