「下校時にはご注意を」


「お前うまそ〜だなぁ〜…食っちゃっていい?食っちゃっていいいいい?」
「ひ、ひぃい…ご勘弁を…。」


私は、かなりの巻き込まれ体質である。

今も、絶体絶命。
怪人の手によって捕えられ、身動きが取れない。


「無理い!食っちゃうううう!!」
「ひぎゃあああ!!」


わたしもここまでか…。
連載開始にして死亡…新しいかも…。


「お、ソヨカゼじゃねーか。元気?」

「これが元気に見えますか!…あれ?怪人は…、」

周囲に肉片みたいなものが散らばっている。
わたしを捕まえていた大きな手は、ズルリと地面に落ちる。

「お、元気そーだなぁ、ソヨカゼ。」
「あ…あなたは!サイタマさん!!」


わたしは自身の巻き込まれ体質のせいで、過去に何度も怪人に襲われ、殺されかけたことがある。
しかし、このサイタマさんは必ずわたしのピンチの際に駆け付け、ワンパンで怪人をやっつけてくれるのだ。

「今日も見事な巻き込まれライフみてーだな。」
「わ、笑い事じゃないんですが…!」

サイタマさんは尻もちをついたわたしに手を貸して立たせてくれた。


「先生、お見事です。」

どうやらサイタマさんの戦闘を見ていたらしきお弟子さんのジェノスさんが駆け寄ってきた。
どうやらお2人はお出かけの途中だったみたい。なんとラッキーなのだろう。

「それにしても、ソヨカゼは下校中に怪人に襲われる確率が格段に高いようだな。」
「なんの分析してるんですか…。」

わたしは項垂れる。

「じゃ俺ら行くわ。」
「ソヨカゼ、気を付けて帰れよ。」
「残りの帰り道で怪人に襲われるかもしれないしな!ははは。」
「縁起でもな…、」


「パンツ寄越せー!!」

「「…え。」」
「あれは…怪人か!」
「サイタマさん、あなたは預言者ですか。」

現実のものとなった。



「俺は下着ドロをこじらせて怪人になったパンチャー様だ!!今すぐ脱ぎたてほやほやのパンツをゲァアア!!」
「昼間に出てきてんじゃねーよ。」
「いや夜だともっとやばいと思います。」

怪人は粉砕された。

「さすが先生です。」

ジェノスさんが表情を動かさずに手を叩いた。

「いやー危なかったなソヨカゼ。もっと早く俺らと別れてたら、お前パンツ取られてたぞ。」
「いや取られること確定ですか!まあわからなかったですけど…。」

わたしは心底ホッとした。

「しょーがねーから今日は送ってってやるよ。」
「ほ、ほんとですか!正直めちゃくちゃ安心します…。」
「世話の焼ける女ですね。」
「ジェノスさんストレートすぎる…。」



サイタマさんがジェノスさんをまあまあと宥めてくれたおかげで、わたしはお2人に送っていただくことになった。




続く


公開:2016/12/29/木


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