「声をかけられた!」


翌日。

「あっ、君が山本君…だよね?」
「っ!!はっ、はっひょ!あ、は、はい!!」
「??」


い、いかんいかん。
あまりにも突然の事に、変な声が出てしまった。
ま、まさか彼女の方から声をかけてくれるとは…。
もしかして、俺に気が…!?


「委員長に聞いたら、君が男子バレー部って教えてくれてね。」

なんだ、委員長か。
それにしても、なんで男子バレー部である俺に声を…?

そこで、昨日の彼女の自己紹介を思い出す。
そういえば、バレー部に入りたいと言っていたな。
だが、なんで男子バレー部…?

「実はね、昨日女子バレー部に行ったんだけど、人数足りてるって言われちゃって。」
「ええ!?女子バレー部ってそんなに余裕があるんですかっ!?」
「そうみたい。それでね、じゃあ男子バレー部でやってみようかな、って思って。」
「なるほど、男子バレーを…ええええ!?」
「わっ!びっくりしたっ!」


え!?
女子バレー部が人数足りてるから…男子バレー部でバレーを!?
い、いやいや。
俺は女子と…しかもこんな美人と一緒にバレーができるなんて、そりゃあ幸せだ。
しかし、いくらなんでも女子と男子では体力に差がある。
それに、男子バレーは男子バレー、女子バレーは女子バレーで確立していて、異性は入れないハズだ。

それなのに、この白森さんは…こんな華奢な体で男子バレーをやろうとしているのか!?


「…え、えと、何か勘違いしてる?わたしがやりたいのは、マネージャーだよ?女子バレー部の人数が足りてるってのも、マネージャーの数の話で…。」
「!!あ、そ、そうでしたか!いや、そうですよね!ええ!わかってますとも、もちろん!!」
「そ、そう?なら、いいけど…。」


俺、不覚!!


「まぁそういうわけで、とりあえず同じクラスの男子バレー部である山本君に声をかけたワケなの!」
「なるほど、わかりました。俺がまず主将や顧問に声をかけてみましょう!!」
「わぁ、ありがとう!頼もしいね!」
「!!はっ、はい!もっちろんですよ!!頼ってください、俺を!是非に!!」

じゃあよろしくね、と言って笑顔で去っていった白森さん。

俺は、震えを止めることができなかった。
手のひらに汗が滲む。
隠すように、ぐっと拳を作る。

「…女子と…あんなに長い時間…話せた…!!!女子と!!あんなに長い時間!!!!話せた!!!!」

両拳を高く突き上げ、歓喜に打ち震える。
込み上げてくる涙を止めようともせず、その雫は頬を勢いよく流れ落ちる。

「ああっ…!!あああ…っ!!」
「…山本、大丈夫か?頭とか。」

クラスメイトに心配された。



つづく

公開:2016/08/20/土


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