いつもそばに君が
ランボがボヴィーノファミリーの任務での出張から帰ってくるという報せが届いた。
ボヴィーノファミリーの仕事ということで、あくまでボンゴレファミリーである私は着いていくことができなかった。
その上久しぶりの出張は長期間に渡ったので、私たちはしばらく離ればなれだった。
ボヴィーノファミリー兼ボンゴレ十代目雷の守護者であるランボは、二十歳未満とまだ若く、かつての世話係のツナに代わり、幼なじみの私がランボのサポート係になった。
リボーンの言いつけによると、仕事のときはバリバリ働かせて仕事が無いときは甘えさせる、つまり飴と鞭を使い分けろとのこと。
普段は私によってそのバランスが保たれていたも同然なので、今回の出張は厳しかったことだろう。
「うわぁぁぁあ!!すずめ!!会いたかっ……うぐ、ひっく」
「もう、情けない声出さないでよ。……おかえり、ランボ」
「ひっく……ただいま、すずめ」
ボンゴレの屋敷で久しぶりに会った恋人は、あまりにも情けない姿だった。
荷物を少し持ってやると、ようやく空いた片方の腕で、私を抱き寄せた。
「さみしかった…」
いつもより弱々しい胸に額をくっつける。
心臓の音が聞こえて、安心を覚える。
「…………わたしも」
「…えっ?今…」
「…もう言わないっ」
「えっ、え!うわ、今のすずめ物凄く可愛かっ」
「うるさいなぁ、早く部屋戻るよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよっ、すずめ〜!」
まったく、仕方ないから今日はたくさん飴をあげよう。
部屋につくなり、荷物を放り投げるランボ。
呆れながらも私が持った荷物を片付けようとすると、ランボに抱きすくめられた。
「!ちょっと、片付けが先」
「……やだ」
「やだじゃない」
「……すずめが居なくて、ずっと寂しかった」
耳元で囁かれては、抵抗できない。
ため息を吐いて、そっと荷物を足元に置いた。
それが合図みたいに押し倒されて、うまい具合にソファの上に縫い付けられる。
「ちょっと、ベッドに…」
「だって近いから……」
言いながら、自分のジャケットを脱ぎ捨てネクタイを緩め、シャツのボタンをいくつか外した。
「……ん」
触れるだけのキスをして、徐々に深くしていく。
舌を絡め合うと、卑猥な水音が聞こえて、じわりと濡れるのがわかった。
角度を変えて何度も何度もキスを味わうランボ。
唇を離すと、ランボは私のシャツのボタンを外しながら首筋に顔を埋めてきた。
首筋に赤い痕をつけ、キスを落としながら鎖骨や胸にも痕をつけていく。
「っ……はぁ、つけすぎだよ」
「だって、消えちゃってたから」
こういうとき、ランボはちゃんと髪やシャツで隠れる所に痕をつける。
一応、考えてくれているらしい。
そういうところとか、ちょっと紳士っぽいなとか思ってしまう。
「…ね、オレにもつけて……」
「ん…」
はだけた胸にそっと赤い痕をつけると、ランボは満足そうに私のシャツのボタンを全て外し、はだけさせた。
それから器用にブラを外し、片手で揉みしだいた。
「あっ、や…っ」
「もうコリコリになってきた……もしかして、下も」
ボフン!!
「きゃっ!?」
「ぐぴゃああ!アイツらみーんなばかやろーだもんねぇえー!」
「えっ……ランボ…子ども?」
ハッとしてシャツで体を隠した。
「ぐぴゃ!おっぱいだもんねっ!!」
子どもランボは、太ももの上にちょこんと座り、涙を流しながら少しだけ頬を赤く染めた。
私は苦笑しながら、脱ぎ捨てられたランボのジャケットを自分の体にかけた。
「ランボ、いじめられたのね」
「おっぱいだもんね〜……」
ひっくひっくと嗚咽しながらも、ジャケットの上から抱きついてくる子どもランボ。
モジャモジャの頭を撫で、涙を拭ってやる。
「可哀想に。……ほら、ブドウの飴よ」
実は、子どもランボがこちらに来ることは初めてではなく、テーブルの上にはブドウ飴が山のように常備されている。
「やったぁ!オレっちの大好きなブドウアメ〜!」
包み紙を取って子どもランボの口に入れてやると、嬉しそうにコロコロし始めた。
「ランボ、男の子なんだから泣いちゃダメだよ」
「?」
「あなたは、本当は強い子なんだから……」
「ガハハ!ランボさんは強い子だよ!」
すっくと立ち上がると、ランボはどんと胸を叩いた。
「オレっちいっつもすずめ護ってるもんねっ」
「!」
「ところでぇ、お前だれー?」
「えっ……」
ボフンっ!!
「きゃっ!」「おっと」
目の前には、この時代のランボ。
再び押し倒す形になる。
「…もう、寿命が縮まるわ」
「はは、ほんと…。マジで蜂の巣になるとこだった…」
笑いながら言うと、ランボも苦笑した。
そして呟くように吐き捨てた。
「あー、俺まだ脱いでなくてよかったー…」
「ふふ。どうだった?十年前は」
「ん、いたよ、可愛いあんたが」
「二人?」
「若きボンゴレとリボーンも」
「ふぅん。あ、そういえばさっきのランボ、10年後の私に会ったのは初めてだったみたいよ」
「へぇー。この前のオレと違うオレなのかな?パラレルワールドだったっけ」
「そうそう。ワケわからなくなるよね」
さっき入れ替わった衝撃でジャケットは落ちていたので、ランボはゆっくりと私のシャツを開いた。
「ねぇランボ」
「ん?」
「子どもランボがね、いつも私を護ってるって」
「……え!?じ、10年前のオレってば、そんな…」
「あり得ないよね。私がランボを護ってあげてたのに」
あはは、と笑い飛ばすと、ランボは涙目になった。
何か気に障ることでも言ったかな…?
「それと10年前のランボ、また泣いてたよ。ブドウアメ常備しといてよかったぁ。昔はよく泣かされてたよね」
「あーはは……うん、まぁ、……」
ちゅ。
誤魔化すようにキスをされる。
「それじゃ、改めまして……」
おまけ
「あっ、戻ったなランボ!十年バズーカで逃げるなんてずるいぞ!」
「未来のお前が蜂の巣になるとこだったな」
「なにが"若き仔猫ちゃん"よ」
「ふんふふーん」
「あ、ツナ君、ランボおくちモゴモゴしてる」
「口?」
「ぐぴゃ!ブドウアメなんかなめてないもんね!」
「アメ?誰にもらったんだアホ牛」
「おっぱいだもんねー!」
「…アホ牛」
「なんだとーバカすずめー!」
「…ぶつよ?」
「ぐぴゃっ!?」
「お、おっ…!?」
ツナ(そういえば、ランボのやつ、やけに服がはだけてたような…ま、まさかな!このアホ牛だぞ!?笑)
ツナ、鋭い。
fin.
公開:2016/03/06/日
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