★11話★ 春高予選まであと一ヶ月に差し掛かったところ。 俺達音駒は順調に調子を上げている。 それは誰もが言うだろう詩織のお陰だと。 監督にとっても嬉しい誤算だったのはリエーフの成長と研磨のやる気だ。 「犬岡!海!あーそれに詩織!」 3人が監督に呼ばれる。 「ん、なんかあったのか?」 「さぁ。まぁ多分平気だろう。俺達は通常通りの練習だ。」 「―――え?WSっすか?」 「そうだ。俺とコーチと詩織でずっと考えてきたことだ。リエーフがいる今、あいつがMBで黒尾と対になる。 お前は高さもあるし、そしてスピードもある。サイドの攻撃に強い奴がもう一人欲しいんだ。」 「場合によっては俺と交代ってことですよね?」 「そう言う事だ。まぁスタメンは基本海だ。だが場合によってはお前を入れて攻撃の強化もしたい。」 「……春高予選まであと1か月っす。間に合うんでしょうか俺。」 「そのために、私がいる。」 「詩織ちゃん……。」 犬岡の背中を海と詩織がバンっと軽く叩く。 「暫くは3人での別メニューを詩織中心にやってもらうからな。」 「「「はい!」」」 ← → back 175/107 |