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▼止まないなら走るまでです






ザアザアと降りしきる雨を角名くんと並んで眺める。雨は止みそうにない。
「角名くーん……」
「何」
「この雨止むと思う?」
「天気予報は夜まで止まないって言ってるけど」
スマホを見ながら角名くんは答える。朝の時点では降水確率は20%だったのに。20パーセントなら大丈夫だろうと高を括った結果がこれだ。もし角名くんが傘を持っていたら入れてもらおうと思っていたけど、角名くんも高を括った側だった。
「止むまで待つ?」
「えっみょうじ走る気なの」
「最悪それも辞さないよ」
なんで無駄に潔いの、と角名くんは吹き出す。
「バス停までだし頑張れば行けそうじゃない?」
「みょうじは見た目と裏腹に体育会系だね…」
まだバスにも余裕があるため、もう少し待ってみることにした。
「角名くん角名くん……雨がましになるまで暇です」
「……古今東西でもする?」
ため息とともに提案してくれたけれど、おそらく彼は面倒くさがっているのだろう。それでも暇つぶしに付き合ってくれるだけ良しとする。
「よーし、じゃあいきます!お題は…『お互いの好きなところ』!」
「却下で」
「早い!早いよ角名くん!」
この機に乗じてやろうという目論見は即却下された。悲しい、けどめげない。多分私はこういう機会があればまたやる。


■□■□■


そんなこんなで暇つぶしをしていたけれど、待てども雨はやっぱり止みそうにない。バスの残り本数も少なくなってきたし、当初の私の考え通り結局走ることになった。
「みょうじ、これ被ってなよ」
「え、いや角名くんが濡れちゃうよ」
いざ走ろうとすると、角名くんが自身のブレザーを被せてきた。角名くんが濡れてしまうからお返ししたかったけれど、角名くんは頑として譲らなかった。お礼を言ってお言葉に甘える。
バス停まで走ると、びしょ濡れになってしまった。カバンからタオルを取り出して拭きながら、バス停でバスを待つ。
「何かここまで来たら一周まわって楽しくなってきちゃった」
「ふ、逆でしょ普通」
ふわりと綺麗に笑う角名くんに思わず見蕩れる。
「うー…今の笑い方何……格好良い…好き……ぅわ!?」
「はいはい余計なこと言ってないで」
首にかけていたタオルで頭を拭かれる。タオルの隙間から見えた角名くんの表情は柔らかなものだった。








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