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▽結構楽しんでますよね






帰る直前、顧問に会って備品の確認を頼まれてしまった。テスト期間だから部活はないし、早く帰ろうと思っていたにも関わらずだ。俺だけでは備品の場所もわからないのでみょうじを探していた。下駄箱に靴はあったから、まだ居るはずだけど。
教室を覗くと探していた姿があった。机に突っ伏してすやすやと眠っていたが。
みょうじの机の上に広がっている資料等からテスト明けの合宿の準備だと伺えた。
みょうじの前の席を借りて、後ろ向きに座る。
「みょうじ」
声をかけてみるが一向に起きない。頬を摘んでみるがそれでも起きない。
「柔らか……」
「……う、ん…」
さすがに起きただろうか。ゆるりとした動作で起き上がったみょうじはとろんとした目をしている。寝ぼけてるのかな。
「わぁ〜、角名くんだ」
俺と目を合わすと、へにょりと笑った。そして頬を摘んでいた俺の左手を取ると、そのまままた寝てしまった。これどうしようかな…。みょうじはあんまりに幸せそうな顔をしている。右手は自由だしスマホでもいじって待っていようか。起きたときの反応も楽しみだし、と手はみょうじに握られたままにしておいた。


■□■□■


しばらくしてから唐突にみょうじのスマホが鳴った。アラームでもセットしてたのかな。結構音量は大きくて、みょうじは飛び起きた。
「!、っうわ、い、今起きますっ!……ってあれ?」
「おはようみょうじ」
「へ、何で角名くんがここに、……って手!?」
起きたら起きたで騒がしい。俺の左手を握りこんでいることに気づいたみょうじは、ばっと勢いよく手を離した。
「も、もしかして私ずっと握ってた……?」
おずおずと尋ねるみょうじに、肯定の意味を込めて頷く。
「ごめんね角名くん。その、ずっと手掴んじゃってて……」
別に謝ることないのに。頬を薄ら染めて慌てるみょうじは可愛らしい。そう言えば、とみょうじを探していたそもそもの目的を思い出した。
「それより俺、顧問に頼まれて備品の確認しなきゃなんだけど」
「ああ、アレかな。それなら昨日確認したから大丈夫!」
さすがみょうじ、仕事が早い。というわけで、俺の仕事はなくなった。帰ろうと思ったのでみょうじはどうするのか聞くと、もう少し残るとのことだった。ほどほどにね、と言葉を残し、学校を後にした。


■□■□■


バスに揺られながらスマホで撮った写真を眺める。何枚か撮ったが、頬を摘んでいるものはみょうじが消して!と騒いだので消したけれど、俺の左手を握りこんで幸せそうに眠っている写真はしっかりと保存してある。その寝顔にうっかりときめきかけたのは内緒だ。








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