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▼遠慮せずいただいちゃってください






GWが明けて五月病なんて言ってみたいものである。連休中もほとんど部活だったから。疲労は溜まっているものの、愛しの角名くんの顔を見たら全部吹っ飛んでいくのでやはり愛の力は強い。
「角名くんは今日も購買ですか」
「そうだけど。何?何かついでに買ってきて欲しいものでもある?」
角名くんが私のために頼まれてくれるというのは大変魅力的だ。けれど今日はその必要はないのである。
「じゃ〜ん!お弁当作ってきました!」
「俺に?」
「そうだよ。食べ盛りの男子高校生が購買で買ったものばっかりじゃ身体に悪いと思って」
というのは半分建前だけど。もう半分は胃袋から掴みたいと思っているという本音である。


■□■□■


そんな下心がバレているのかいないのか、今日は天気もいいので屋上で食べることになった。双子と結も一緒である。
「角名それ愛妻弁当か?」
「妻ではないけど」
「私はいつでも妻になる覚悟は出来てるよ!」
あっ、こら完全にスルーしないで!話を振った侑もそのまま流さないでよ。さすがに妻は気が早いもんね。未だ彼女にすらなれてない身としては高望みだったかもしれない。もうちょっと謙虚に謙虚に。
「はい、角名くん」
「ありがと」
蓋を開けたお弁当箱を角名くんに手渡す。彩り豊かなお弁当がお目見えする。
「おおっ、みょうじ上手いもんやな」
「結くらいだよ褒めてくれるの…」
「見た目は美味そうに見えるで」
「治は一言余計なの!」
でも食べることが好きな治に美味そうと言われたのは正直嬉しい。結構いい線いってるんじゃないかな、これ。
「……ん、美味しい」
「ほ、ほんと!?」
美味しいいただきました!昨日の晩から仕込んだ甲斐があったし、早朝から頑張った甲斐があった。角名くんが食べるのを見届けてから、自分のお弁当を食べ始める。横でパンを食べている侑は、私のお弁当と角名くんに渡したお弁当を見比べてあることに気づいた。
「ん?みょうじの弁当にはからあげ入っとるんやな?」
「ああ、これ?」
「角名結構これ好きやのにそっちには入ってへんのか」
「えっ、角名くんからあげ好きだった!?」
しまった、リサーチ不足だ。ちょっと失敗したから自分の方にしか入れてなかったのである。うーん、どうしようどうしよう。
「角名くん、からあげ食べる…?」
「いいの?」
ほとんど表情の変化はないけれど、少し目が輝いた気がする。からあげが結構好きというのは本当みたいだ。
「…は、はい、あーん」
角名くんはぱちくりとしている。調子乗ったかも。でもこれで止めといてくれれば失敗したやつ食べないことになるから結果オーライだし、なんて考えていると角名くんはぱくりとそれを食べた。
「え、……え!?」
「あー、やっぱりみょうじの作ったやつ美味しい」
「そ、それは何よりデス」
「カタコトやんけ」
侑くんお黙り。今私はこの幸せを噛み締めているんだよ。この間もらったマドレーヌも美味しかったし、なんて言う彼。もしかして胃袋ちょっと掴めてきた?もう一口食べてくれるかな、ともう一度からあげを差し出す。
「はいダーリン」
「誰がダーリンだ」
「いてっ」
角名くんからデコピンをくらった。さすがにダーリン呼びは調子に乗りすぎたみたい。それでも差し出したからあげは食べてくれた。空っぽになったお弁当箱を見て私の表情筋は緩むばかりであった。








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