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▼お一ついかがですか






4時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。楽しい楽しいお昼の時間である。
「角・名・くーん!一緒にお昼食べませんか!」
「いいけど。いつもみょうじ押しかけて来てたじゃん。今更感」
「今年はお淑やか路線で行こうかと」
「ゼロに何掛けてもゼロって知ってる?」
それは暗に私のお淑やかさがゼロって言いたいわけかい角名くん。それはそれとして、今日の本題はそれではないのだ。
「角名くん甘いもの好き?」
「人並みには」
「じゃあこれ」
「?」
私が角名くんの前に出したのはマドレーヌだった。しかもめちゃくちゃ綺麗にラッピングまでしたやつ。
「昨日頑張ってみた」
「へぇ、凝ってるね」
「味も多分大丈夫だよ!」
これ開けて今食べていいの?と聞かれる。そりゃそうだよね、結構ガッツリラッピングしてあるから。食べてもらうことあんまりよく考えてなかった。
「角名、ええもん食ってるやん」
お弁当を持った治がこちらへやってきた。
「治もいる?」
「俺の分あるん?」
「練習作があるよ。部活に差し入れようかと思うくらいにはたくさんあるからどうぞ」
おおきに、と言って治はマドレーヌを1つ口に入れた。
「てっきり角名の分だけかと思てた」
「角名くんのは特別仕様だから」
「どのへんが?見た目変わらんけどなぁ」
わかってないなぁ、治は。
「角名くんのは特別愛情がたっぷり入ってるに決まってるじゃん」
「……って話やけどどうなん角名」
角名くんは丁寧にラッピングを解き、マドレーヌを口に入れた。角名くんの形のいい口に自分の作ったものが入っていく瞬間、何だかドキドキしてしまった。
「普通にうまいよ」
「やったー!ところでお菓子作りの出来る彼女なんていいと思いませんか!」
「特には」
さらりと流されてしまった。これはアピールにならなかったか、無念。まあ食べてもらえたし、普通に美味しいって言ってもらえたし、今日のところは十分かな。
教室の外から角名くんを先輩が呼んでいる。一緒のお昼タイムはここまでかな。角名くんは返事を返し、席を立つ。そして私をちらりと見た。
「美味しかった。ありがと、また作ってよ」
ぽんぽんと頭を撫でて、角名くんは教室を出て行った。な、何が起こった!?これじゃあ一生頭洗えないじゃないですか、まあ洗うけど。
身悶えしている私を見た治は重症やな…と呟く。角名くんのこういうところがずるい。角名くんの反応に負けない、めげないと常日頃思っているけど勝てる気もしないのであった。








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