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▽満更でもありませんよね






クラスメイトでもあり、部活のマネージャーでもあるみょうじなまえとは今は友達以上恋人未満のような立ち位置にいる。まあ、俺が頷いてしまえば関係は進むのだけど。それをしないでいるのは今の状態が気に入ってるところがあるからかな。


■□■□■


俺とみょうじは帰り道が一緒だから、部活終わり、下校はだいたい2人だ。バスに乗ると時間も遅くて空いていた。
「座れて良かったね!」
「うん」
空いてる座席にみょうじと並んで座る。お互い無言の時間が続いたけれど、みょうじは気にしないタイプだから楽だ。俺もあんまり喋るタイプじゃないし。しばらく流れ行く外の景色を見ていると肩に重みがかかった。どうやらみょうじは寝てしまったようだ。今日の練習はなかなかハードだったから。その寝顔を見ながら過去に思いを馳せる。
去年のバレンタインにみょうじに告白された。その頃は部活で余裕もなくて、みょうじのことは大事に思っているけれど気持ちを返せる自信がなかった。だから断った。それにも関わらずめげずに彼女は自分を好いてくれている。
彼女の部活では公私混同しない姿勢や、明るく元気なところ、物をはっきり伝えてくるところ、挙げればキリがないけど好感が持てる。あの双子も最初は警戒心剥き出しって感じだったけれど、みょうじの働きぶりに今では部員の一人として認めているみたいだ。彼女はあまり話さないが、どうやら中学の頃は強豪校のマネージャーをしていたらしい。その働きぶりは北さんのお墨付きである。真面目で気配りも上手い。そんな彼女に好かれてまあ悪い気はしないよね。


■□■□■


すやすやと眠る彼女はバスの揺れでこちらに頭を預けてきた。
「ん……」
カメラをインカメにして寝顔を撮ってやる。起きた時の反応が楽しみだな。みょうじは表情豊かでそれはもうころころと変わる。そんなところは可愛いと思っているし、それを向ける相手は俺だけにして欲しいとまで思う。カーブで更に大きくバスが揺れると、みょうじが寝言をこぼした。
「ぅ……ん、角名くん……」
俺のことを夢にまで見ているのかな。自然と笑みがこぼれた。みょうじの最寄りまで寝かせといてやろう。しばらくはこのぬるま湯に浸かったようなままでいたいとみょうじの寝顔を見ながら思った。








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