×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

▼もう一回お願いします






球技大会、今年はバスケでの参加を私は選択した。基本的に運動部は所属の球技は出られないことになっている。マネージャーはその条件は当てはまらないけれど、バレーではなくバスケを選んだ。ひとえに角名くんが同じバスケを選択していたからである。
そんな邪な理由ながらも、クラスに貢献しようと私は試合にて奮闘していた。つい、さっきまでは。足を捻ってしまったので、現在は隅の方で休んでいる。ひとまず試合が終わるまではその場で冷やしていた。


■□■□■


試合に今は出ていないのか、治がこちらへ来た。背が高いため、下から座った状態で見上げるのは首が痛い。
「みょうじ怪我したん?」
「足捻ったみたい。試合が終わり次第ゆっくり保健室に行こうかなって思って」
「歩けるんか?」
「頑張れば大丈夫」
大丈夫ちゃうやろ、と一刀両断されてしまう。
「運んでったろ」
治は保健室まで抱えてくれるみたいだ。その厚意がありがたい。ひょこひょこ歩くことになるし、お言葉に甘えてしまおうかな。
「じゃあ、治お願い」
「おん」
腰に手を回され、ひょいと抱えあげられる。目線がぐんと高くなって、180台の目線は普段これくらいなのかと思った。
「治」
「何や、角名か。試合終わったんか?」
「うん。次、治出るでしょ」
呼びに来た、とそこに現れたのは角名くんだった。治に抱えられたままなので、角名くんの顔は見えないけれど。
「ほんまや、もう終わったん」
「せっかく勝ったから後よろしくね。で、みょうじこっちにパス」
「おん」
猫の子の如く私は治から角名くんへと受け渡された。ちょっと待って欲しい。まさか角名くんに抱えられるなんて聞いてないんですが。
「みょうじ、行こっか」
「ひゃ、は、はい!」
動揺のあまり噛んでしまったけれど、笑わないでほしい。


■□■□■


角名くんに運ばれて保健室へと辿り着く。
「失礼しまーす。先生、足捻りました」
「あら、冷やしたん?」
「さっきまで冷やしてました」
「ほなあとは湿布とテーピングだけやね。悪いんやけど、自分で出来る?グラウンドの方で怪我人出たみたいなんよ」
「はい、大丈夫です」
部活で手馴れているから手当て自体は出来るだろう。湿布とテーピングを渡して先生はバタバタと保健室を出ていった。
「角名くんここまでありがと」
「どういたしまして。それ貸して、そんで足出して」
「えっ、自分で出来るよ」
「いいから」
ほら早く出しなよ、と半ば押し切られる形で手当てをしてもらうことになった。触れられているところが熱い。保健室は静かで、外の喧騒がいやに耳についた。
「……あんまり無茶しちゃ駄目だよみょうじ」
「してないよ」
「これ、試合中にクラスメイト庇ったやつでしょ」
見てたよと言われてしまえば返す言葉もない。そう、これはクラスメイトに当たりそうになったボールを無理な姿勢で取ったがために捻ったのだ。
「あー……バレてた……。まあでもほら、クラスメイトは無事だったし!それに、いくら傷物になっても角名くんがお嫁に貰ってくれれば問題はないし!……なーんて……」
「はいはい。貰うから無茶しないように」
「はぁい」
出来たよ、と言われて足元を見ると綺麗に手当てされていた。先生がグラウンドから帰ってきたようで、後は様子見として私は保健室に残ることになった。角名くんは体育館に戻って行った。
頑張ってねと彼を送り出してからはたと気づく。ん?さっきの会話、角名くん"貰う"って言った?聞き間違いではなくて?真意を聞きたいけれど、はぐらかされそうに思える。
悶々と考えていると、先生に顔赤いけど熱ある?とまで聞かれてしまった。彼のせいなんですなんてとても言えなかった。








Back