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▼貴方ってあたたかい人






ここ最近急に気温が下がった。風邪をひかないように気をつけなくちゃ。それにしても手が冷えて日々辛い。日常生活はそれ程でもないが、部活の時は殊更辛い。いや嘘、今も十分手が冷たい。
手を擦りながら職員室から教室へ戻ると、窓際で角名くんが缶を片手にしていた。もう片方の手はポケットに突っ込まれている。
「角名くーん。寒い、寒いよー」
「おかえりみょうじ。職員室行ってたんだっけ、何やらかしたの」
「やらかしてないよ!部活の時の水仕事が辛いから顧問の先生に相談しに行ってたの」
ああ、なるほどと彼は缶に口を付ける。私は部活前に顧問の先生に水場の辛さを熱弁して教室に戻ってきたのだ。部活の開始時間まではまだ少しあるみたい。
「何飲んでるの?」
「ココア」
「可愛いもの飲んでる……」
たまにそういうギャップを見せてくるのずるいと思うよ私は。この可愛い角名くんを写真に収めたくて、写真撮っていい?と尋ねると即答で断られた。しかたなくスマホをポケットにしまい込む。
「角名くんあんまり寒そうじゃないね?」
「ポケットにカイロ入ってるから」
角名くんはポケットからカイロをちらりと出して再びしまった。
「!、いいな〜!私も部活中に導入しようかな」
悴む手を擦りながら言うと、私の手を角名くんがじっと見ているのに気づいた。
「ん」
「?」
お手のように手のひらを差し出される。条件反射でそこにぽんと自分の手を置いた。するとそのままポケットに角名くんの手ごと突っ込まれる。
「!?、すすす角名くん!?」
「うわ、手ぇ冷た」
ポケットの中温かいでしょ?なんて言われてとりあえず頷く。いや確かに温かい、温かいけど!
「し、心臓に悪すぎませんか……」
「そう?」
ココアの空き缶を捨ててくると言って教室の外へ行こうとする角名くん。手はポケットから出してもらったけれど、お陰様で身体まで熱い。まだ心臓がバクバク音を立てている。そしてカイロは私の手に置かれた。
「それあげる。部活の時使いなよ」
そう言い残して角名くんは教室を出ていった。私が部活の水仕事が辛いって言ってたからくれたのかな。だとしたらとんでもなく嬉しいのだけれど。私のこと、結構大事にしてくれるって自惚れちゃいますけどいいんですか角名くん。








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