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▽お時間よろしいですか






本屋で雑誌を買った帰り、帰るにはせっかく外に出たしまだ早いかなとモールのフードコートへ寄った。甘いものが食べたくてアイスを購入する。カップ入りのダブルを選択した。スマホをいじりながら食べていると、声をかけられる。
「あれあれ!お兄さんお一人ですか!」
「何そのノリ」
「角名くんをナンパしたくて」
思わず俺は吹き出してしまった。そこには見知った姿、みょうじがいた。みょうじはこんな美人さんがいたら私はほっとかないよなどと述べているがスルーだ。
「買い物?」
「そうだよ!これは小腹がすいたので」
片手にはソフトクリームを持っている。自分と全く同じ思考回路で動いていたようで笑えてくる。
私服姿はほとんど見ないから新鮮だとか、可愛らしいタイプの私服なんだとか思っているうちにみょうじはソフトクリームを食べきっていた。
「お兄さんこの後暇?」
「特に何もないけど」
そのノリまだ続いてたのか。俺もアイスを食べきり、カップをゴミ箱へ捨てる。
「晩御飯一緒に食べない?」
「ん、いいよ」
「やったー!夕飯デートだ!」
「はいはい」
「えっ、デートで合ってるんですか」
何気なく返した言葉にみょうじは頬を染めて照れているのだろうか。彼女は押してダメなら引くことなくまた押してくるが、こちらから寄っていくとフリーズしがちだ。……そういう反応が可愛らしいけれど。
「だって俺みょうじにナンパされたんでしょ」
「いや、したけど……したけど〜……」
「成功したんだから喜びなよ」
何食べたい?と聞けばさっきまでの照れた顔はどこへ行ったのか、嬉嬉として店名を挙げ始める。
「ラーメンでもいいし、和食も捨て難い……」
「俺和食がいい」
「じゃあ和食!」
夕飯を食べる店は決まった。しかしまだ結構夕飯にはやや早い。
「夕飯までどこか行こっか」
「へ!?いいの?」
「何でそんな驚いてんの」
「だ、だってそんなの……完全にデートじゃないですか……」
今度こそみょうじは真っ赤だ。
「……ほんと、みょうじはどれだけ見ても見飽きないね」
ぼそりと呟いたそれは誰の耳にも届かないくらいであったけれど、本心からの言葉だった。彼女はいつだって自分の心を擽ってくるのだ。
「何か言いましたか角名くん」
「何も?っていうかお兄さん呼びやめたの」
「呼び慣れないし、やっぱり角名くんって呼びたい」
この感情に名前が付いていることはもうわかっているのだけど、彼女に伝えるのはもう少し先にしたいというのは俺のわがままなのかな。








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