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▽水も滴るって言いますもんね






夏休み直前の今日は終業式だった。授業もなく早めに終わったため、昼食の後は部活までかなり時間が空いていた。
私は天気もいいし、と友人と屋上でお昼を食べていた。その後友人と別れて、部活前にさっさと着替えてしまおうと更衣室のある部室棟、もとい体育館の方へ向かった。
その途中、体育館の途中の渡り廊下から体育館の側の水道で双子と結、そして角名くんが水遊びしているのが見えた。水道からのびたホースの他にも水鉄砲まで持ってきていて本格的に遊んでいる。すでに結構皆濡れているのが遠目からでもわかった。どうせ部活で着替えるからいいという考えなのだろう。
その光景を楽しそうだなぁと微笑ましく思っていたのもつかの間。侑がホースで水をかけようとした治がひょいと避けたため、その水は私に向かってきた。
「うわっ!」
「「「「!」」」」
頭から水をかぶりびしょ濡れである。
「……」
「「す、すまんみょうじ!」」
ハモりの謝罪がとんでくる。
「みょうじ大丈夫か?」
「濡れただけだからまあ平気だよ」
心配そうな結にこう返すが、ぽたぽたと髪から雫が垂れているのが見えてげんなりしている。
「私じゃなかったらどうするの、もう」
カバンからタオルを取り出しとりあえず頭を拭く。ワイシャツがぺったりと張り付く感覚がする。…ということは下着も透けている可能性があるわけで。ちょっと恥ずかしくなって頭を拭いていたタオルを肩にかけた。何もないよりはマシかな、と思っているとその上からふわりとジャージをかけられる。
「部室棟までこれ羽織っていきなよ」
今日これ使わないから、と角名くんがジャージを着せてくれた。遠慮なく使わせてもらおう。前のチャックまで閉めると私の身体はすっぽりと隠れた。やっぱり大きいなぁ。
「ありがとう角名くん」
「それ羽織ってるとみょうじますますちっこく見えるな」
「下履いてへんみたいに見…痛っ!」
「夏服のスカートはちょっと短めなの!」
デリカシーというものがないのかこの双子は。女子にそういうこと言うな、と結に窘められながら双子は後片付けに水道の方へ行った。
私も着替えなきゃいけない。ふと角名くんの方を見やると、彼はワイシャツの裾部分を絞っている。ちらりと見えた鍛えられた腹筋と肌の色にドキリとした。何も言えずにいると彼と目が合う。ふ、と角名くんは口角をあげた。
「………みょうじ、見すぎ」
「!、ち、違うから!」
「早く着替えておいでよ。もうすぐ部活だし」
「わ、わかってるから!」
猛ダッシュで部室棟へ向かった。更衣室に入ってからも、ついさっきのことが頭から離れない。いやいやこれから部活なんだよ、切り替え切り替え……無理かもしれない。どれほど意識しないように努めようとも、着ている角名くんのジャージからは彼の香りがしてますます私の心拍数は上がるばかりだった。








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