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そう言えば今日は11月11日か。どおりでコンビニやらスーパーやらでポッキーがプッシュアップされていると思った。お昼を買いに来ていた購買でもポッキーが置かれている。特に買おうとは思っていなかったけれど、イベント事に託けて角名くんに構ってもらおうという考えでポッキーを買った。


■□■□■


教室に帰ってきて角名くんの席へ向かう。
「角名くん角名くん!今日何の日か知ってる?……って既に」
「あ、おかえりみょうじ」
「ただいま……じゃなくてそれ」
「これ?」
角名くんが口にしていたのはポッキーだった。さっき先輩が来て貰ったとのこと。タイミング悪いです先輩…。
「はぁ〜…せっかくイベント事に託けて角名くんに構ってもらおうと思ったのに」
「それで買ってきたんだ」
ふーん、と言いながら角名くんは手元のスマホに目を落とす。そしてポッキーを袋から1本取ったと思ったらこちらへ向けてきた。
「みょうじ」
「?」
「ほら、あーん」
「ん…、……!?、???!」
口に物を入れているときは喋らないという母の言葉が今何故か脳裏に浮かび、声にならない声を上げる。反射的に口を開けたけど、今私角名くんの手ずから食べた…?もぐもぐと咀嚼し、飲み込んだところでようやく言葉を口にする。
「……ごちそうさまでした…?」
「お粗末さま」
俺が作ったわけでも買ったわけでもないけど、と彼は言う。対する私は現実をまだ受け止めきれていない。
「は…?夢…?い、いひゃいいひゃい」
「ふ、っくく」
角名くんが私の頬を摘む。何、今の私の顔そんなに面白いの。というかそこまでしてもらわなくていいよ。自分で頬ぐらい摘むよ(?)。
「今日もお熱いことで」
「治だ。おかえり〜」
購買から治も帰ってきた。袋からパンを取り出して早速食べ始めている。
「治もポッキー先輩から貰った?」
「貰っとらん」
多分購買に行ってた私と治は先輩とタイミング合わなかったんだろうな。
「治、あーん」
「おん」
「角名くん!!そんなことしてくれるの私だけじゃなかったの!!」
角名くんは治にポッキーをさっき私にしてみせたように食べさせている。
「すまんなみょうじ」
謝っているのは言葉だけで肩が震えているから治は笑っているのがわかる。
「角名くんに弄ばれた……」
「いつもやろ」
治にズバッと言われて言葉が刺さる。
「心外だなぁ、ほらみょうじ」
あーん、なんて言われたから口を開けるとポッキーが口に入れられる。もうなくなっちゃったからこれで最後ねと告げられた。私はここで自分で買ってきた分があることを思い出す。それを角名くんに差し出し、これで再度あーんを希望します!と元気よく言ったが、呆気なく却下された。








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