×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

▼それってとっても魅力的ですね






部室にある荷物を取りたくて、私は部室の外から声をかける。一応マナーとしてノックも忘れない。
「着替え終わったー?荷物取りたいんだけど入っていい?」
「ええよー」
了承を得られたので扉を開ける。しかし、開けた途端目に飛び込んで来たのは着替え途中の角名くんだった。彼は上半身何も纏っていない。
「!、ぅわ、お、お邪魔しました!!!」
私は大急ぎで扉を閉めた。えっ、えっ、一体何が。角名くん腹筋バキバキだった…じゃなくて!声かけた意味ないじゃん。
うんうん唸りながら扉を背にしてしゃがみこんでいると背後の扉が開いた。
「痛っ」
「あ、ごめん。着替え終わったから入っていいよ」
見上げるとすっかり着替え終わった角名くんと目が合った。


■□■□■


「お、お邪魔しま〜す……」
恐る恐るといった風に扉を開けて、部室に足を踏み入れる。相変わらず男子の部室にしては綺麗に整っている。信介先輩様様だな。
「も〜!誰よ適当な返事したのは」
ノックと声かけの意味の無さよ。あー、俺やな、なんて治が言ったものだから脇腹を小突いてやった。
「角名くん見ちゃってごめんね」
「別に減るもんじゃないから」
「私のライフはごっそり減りましたけどね……」
それはともかく、目的の荷物を探す。確か奥の使われてないロッカーにあったはず。ロッカーを開けるとそこに目的の物があった。小さめのダンボールに入っているから持って行けると判断し、両手で抱えた。
「なんか甘い匂いする」
ふと治が口を開いたのでそちらを見る。角名くんがいじっていたスマホから顔をあげて治に聞き返す。
「甘い匂い?」
「おん」
なんだろう。あ、もしかして私かな。心当たりのあった私は素直に申し出た。
「私のハンドクリームかな」
「みょうじの?」
二人してダンボールを抱えたままの私の手の匂いを嗅ぎ出す。何かこの光景シュールだな。
「うーん、…ちゃうな」
「はずれかぁ」
「みょうじのハンドクリームは柑橘系っぽいから甘くはないよね」
心当たりははずれだったようだ。話も程々にして、私は荷物を倉庫へと運ぶことにした。
「あ、角名くん」
「何?」
「これから倉庫に行くんだけど、高いとこの箱取ってもらっていいかな?」
「ああ、いいよ」
以前、一人で取ろうとして失敗したのだ。私は学習したのでそれ以降事前に頼ることにしている。
部室の外に出て倉庫に向かう途中で角名くんは何かに気づいたような顔をした。かと思えば顔をこちらに寄せてくる。
「へ…、っち、近、近い!!」
「やっぱり」
「…?、な、何がやっぱり…?」
角名くんがすっと1歩下がったことにより、近づいていた顔は離れた。
「ほら、治が言ってた甘い匂い」
「?」
「みょうじリップか何か付けてない?」
「!」
確かに最近リップクリームを新しくした。なるほど、治が言っていたのはこれの匂いか。ベリーのパッケージに惹かれて買ったものだ。甘い匂いというのも合っている。
それにしてもさっきの距離は近かった。普段顔がそこまで近づくことはないから驚いた。あまりに近くて、その、…キスされちゃうかと思った、なんて本人には言えないけれど。気にしないでおこうと思えば思うほど、その後も唇を意識しがちな私がいるのであった。








Back