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▼私のこともかまってください






晴れ晴れとした土曜日。朝から天気が良くて気分が良い。目覚めもすっきりとしていて調子も上々だ。部活にはかなり早いかもしれないけれど、部室の掃除とかすればいいし、と思って少し早めに家を出て学校へ向かった。
バス停から学校への道のりの途中、近くの生垣からガサリと音がした。何だろうと思ってそちらを見るとそこには子猫がいた。
「か、可愛い〜!」
子猫は灰色の毛並みで、手足は白でまるで靴下を履いているみたいだった。もふもふしたものに目がない私は時間にも余裕があるし、と考えて子猫に構ってもらうことにした。
しゃがみこむと、生垣の近くにねこじゃらしが生えているのに気づく。一本摘み取り、子猫にふりふりと近づけてみる。
「ほ〜ら」
子猫は小さな手で一生懸命じゃれてきた。この可愛さにはイチコロである。
「可愛い…早起きして良かった…」
ねこじゃらしを奪ったと思ったら子猫は私の手にすりすりしてきた。人慣れしている子だ!あまりの可愛さに声も出ない、などと思っているとカシャリと音がして私はそちらに振り向いた。
「す、角名くん……」
「おはよ、みょうじ」
角名くんはスマホを構えながらこちらを見ていた。さっきまでの子猫にデレデレしていた光景を見られていたのだろうか。というかカシャリと音がしたのだから写真撮ったよね?!
「み……見てた?」
「ばっちり」
「うわ〜、恥ずかしい……」
スマホをポケットにしまった角名くんは私の隣に同じようにしゃがみこむ。そして子猫を構いだした。
「角名くんと子猫とか最高の組み合わせすぎない…?写真撮っていい…?」
気がつくと私の指はスマホのカメラアプリでシャッターをきっていた。後で消しなよ、とデコピンまで喰らいつつ言われてしまったが多分後生大事に取っておくと思う。何なら待ち受けにする。
「……ん。人懐っこいねお前」
珍しく緩く微笑みながら子猫と戯れている。こんな光景を見られたことに子猫にめちゃくちゃ感謝した。
それはそれとしてここまで構われている子猫が羨ましい。じっと見ていると角名くんがこちらの視線に気づいた。
「どうかした?あ、みょうじも猫構いたい?」
「うっ……その〜、……私も角名くんに構ってほしいなぁ……なんて……」
「そっち?」
いやもちろん私も猫構いたいですけど!でも角名くんに構われるのも羨ましいのは事実なのである。
というか言ってるうちに子猫にヤキモチ妬いてるのが恥ずかしくなってきた。
「よーしよしよし」
「わっ」
角名くんは、私の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。構ってほしいとは言ったけど、髪はボサボサである。
「角名くん…。髪ぐしゃぐしゃなんだけど」
「ふふっ」
本人は肩を震わせて笑っている。まあ別にセットしていたわけでもないし、角名くんも楽しそうだしいいけど。
「ぐしゃぐしゃでも可愛い可愛い」
「!」
適当な言い草だけど、角名くんの口からそんな言葉が出てくるとは思わなくて驚いた。好きな人からそんなこと言われたら嬉しいに決まってる。あんまりにやにやしていたものだから、後から顔緩みすぎだとつっこまれてしまったけれど。








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