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▼私の前だけって本当ですか






木枯らしも吹く気温の寒い日、外で私は角名くんと練先輩の2人を待っていた。たまたま3人でこの後晩御飯を食べることになったのだ。練先輩は3年レギュラーで話すことがあるみたいで少し遅れるとのことだった。角名くんはそろそろ来るかな。
「寒……」
冷たい風が肌に当たって寒い。手を擦り合わせていると角名くんがやってきた。
「みょうじ、ごめん待たせて」
「大丈夫だよ」
急いで来てくれた様子の角名くんに気にしないで、と告げる。急いだら汗かいて冷えて風邪ひいちゃうよ。角名くんは手にしていた缶を私に手渡した。
「待たせたお詫び」
「温かい〜!ありがとう角名くん」
途中の自動販売機で買ってきたのか温かいコーンポタージュをもらった。角名くんにせっかくもらったので勿体ない気もするけど、早速飲んでしまおうかな。缶を開けるとコーンポタージュのいい匂いがした。猫舌なので冷ましながら飲む。
「みょうじ猫舌なんだからよく冷ましなよ」
「うん、……あつっ」
「フラグ回収早くない?」
私が猫舌だということを角名くんが覚えてくれてたのが嬉しくて、冷ますのもほどほどに飲んでしまった。
「美味しい」
「良かったね」
「角名くん私のこと子ども扱いしてない?」
「そんなことないけど」
そんなことないとか言うけど、目をあからさまに逸らすじゃん!ちょっと口角が上がってるのも見えたし。
もらったコーンポタージュは無くなりつつある。最後の方はどうしてもコーンがとれない。うんうん唸りながらコーンの粒と格闘していると、私のことをずっと見ていたのか角名くんが震えている。
「いっそ笑いなよ!もう!」
「ふ、……ふふ、いや、必死なみょうじに失礼かと思って」
声を出さずに爆笑している。心にもないことを。と言うかそんなに面白いか。
「缶のコーンポタージュってさ、予め缶の飲み口の下部分をへこませるとコーンが残らず上手く飲めるんだって」
「へぇ〜!物知りだね角名くん……もっと早く言って欲しかったんだけど!?」
もう缶は空っぽだ。飲む前に言うべきでしょ。言うのが遅いけれど、これは確信犯だろう。ごめんごめん、と笑いながら彼は言う。
そうこうしている内に練先輩が姿を見せた。
「すまんな2人とも。だいぶ遅なってもた」
「お疲れ様です」
「お疲れ様です!」
練先輩は私たちを見てふふっと笑いをこぼす。
「えらい角名楽しそうやな」
「聞いてくださいよ、先輩。角名くんったら私をおちょくってくるんですよ!」
「みょうじの反応が面白いんで」
「そういうこと言う!」
角名くんの中では私は面白い立ち位置でしかないのだろうか。ぐぬぬ…と悔しがる私に練先輩は話しかける。
「でも角名がそういう顔見せるのはみょうじの前だけやろなぁ」
「!」
「何言ってるんですか。早く飯行きましょう」
先輩の目から見てそう映っているのか。なんだかにやにやしてしまう。
「角名くん照れてる?」
「……」
「わっ!無言で頭を鷲掴みしないで!」
そんなやりとりを繰り返す私たち2人を練先輩は優しい目で見ているのだった。








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