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▽ご機嫌いかがですか






最近どうもみょうじの様子がおかしい。おかしいというかそっけないというか。
部活中、マネ業自体には支障はないけれど、どこかムスッとした顔で部活をしている。理由を聞いてみるも「別に何でもないよ」としか返ってこない。
「何したん」
「身に覚えがないんだけど」
「ついにみょうじに愛想つかされたんか」
「………」
部活中いきなり囲んできて何を言い出すんだよ。現在双子に挟まれげんなりしている。でも本当に何かをやった覚えがない。というかみょうじなら俺が何かやったなら直接言ってきそうなものだけど。
「浮気か」
「した覚えもないし、そもそも付き合ってない」
「ほななんやねん」
「俺が聞きたいんだけど」
「俺多分それ心当たりありますよ」
横から話に入ってきたのは意外にも後輩の理石だった。
「この間の体育祭で部活対抗リレーあったじゃないですか。そこで角名先輩3人くらいごぼう抜きしたでしょう?何か一部の1年女子の心を掴んだみたいで盛り上がってて」
有り体に言えばモテてるんですよ、と理石は言った。つまりはあれか、みょうじの機嫌が良くないのはヤキモチってやつか。そう頭で認識した途端、自身の口角が上がりそうになるのを自覚した。


■□■□■


それはそれとしてみょうじにはいつものように接してほしいと思う。理由はわかったが、俺にはどうしようも無くないかこれ。
「…みょうじ、まだご機嫌ななめ?」
「………う〜ん」
休憩中に話しかけると、みょうじは俺の後に回りこんできた。振り返って顔を見ようとすると、後ろを見ないでと言われてしまう。そのままみょうじは俺の背中に頭をこつんと当ててきた。
「理石に聞いたんだけど」
「……んんん、これは私の気持ちの問題なので」
みょうじは俺の背中に軽く頭突きをしてきた。
「……角名くんがかっこいいのが悪いんだよ」
「心当たりはないんだけど」
それでもみょうじにそう思われてるのは悪くない。みょうじは無言で俺の背中をぽかぽか叩いてきた。地味に痛い。その隙をついてくるりと振り返ると、珍しく不機嫌な顔をしたみょうじがそこにはいた。少し屈んで目線を合わせてやる。
「みょうじがいつも通り俺と接してくれれば嬉しいんだけど」
「……ほんと?」
「うん」
まだ不機嫌そうではあるものの、これはもう大丈夫そうだな。みょうじは自らの両頬に手を当て、ぐにぐにと動かしている。
「練習終わるまでにいつも通りに戻すから、角名くんは帰り私にアイス奢ってね!」
休憩が終わり、みょうじはコートの方へ走っていった。アイスくらいでみょうじのいつもの顔が見られるなら安いものだよなと思う。絶対に言わないが、彼女が笑っていてくれないと堪えるのだ。俺もなかなかに彼女に弱い。








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