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▼嫁入りする気はめちゃくちゃあります






この時期の体育は室内であっても肌寒い。寒さにそこまで強くないから、絶対に体操服の長袖は忘れないようにってあれほど思っていたのに忘れた。
「ああー…。寒いけど仕方ないか……」
「なまえー!まだー?」
「ご、ごめん!もうすぐ!」
もたもたしてたら授業に間に合わなくなる。さっさと着替えてすでに着替え終えている友人の元へ急いだ。


■□■□■


体育館へ向かう渡り廊下を友人と歩いていると着替えを済ませた男子と鉢合わせした。今日の体育は1・2組合同で、体育館を半々に分けて男女で使う予定だ。男子はだいたい半袖が多いな。角名くんの姿が見えたので一目散に駆け寄る。角名くんは例に漏れず半袖で長袖は手に持っていた。
「あれ、みょうじ半袖じゃん」
「長袖忘れたの…」
寒いの苦手なのに、と彼にこぼす。すると角名くんは自身の手に持っていた長袖の体操服を私に差し出した。
「使えば?大きいだろうけど」
「やったー!すっごく助かる!」
これで授業中凍えずにすみそうだ。ありがとうとお礼を言い、意気揚々と角名くんの長袖の体操服を着て授業に臨んだ。


■□■□■


整列した後に、体育の先生の点呼が始まる。
「下川ー、小野ー、みょうじ、……あれ、角名?」
「先生みょうじで合ってます」
私は前列にいるため、体操服の名前の刺繍が先生の目にとまったのだろう。
「ついに角名に嫁入りしたんかと思った」
「いやぁ」
「こらこら照れんな。先生冗談やってんけど」
そんな先生にも知れ渡るほど私の角名くん好きは轟いているのか。


■□■□■


「……って点呼の時に先生に言われたんですけど」
隣にいる角名くんにどう思いますか、と尋ねる。今日の授業はほとんど自習に近い形式で、真面目にボールを触っている人もいれば、私たちみたいに手を抜いている人もいる。遠目に結が真面目にやっているのが見えた。
「どうって……、そんな予定はまだないけど」
「まだってことは可能性がありますか!」
元気に挙手をして質問する。
「……みょうじ次第じゃない?」
「頑張りまっす!!」
何を頑張るのかはさておき。そこに部活での体力を残しておきたい、と双子がこちらにやってきた。さっきまでの会話を聞いていたらしい。
「……治、俺砂糖吐きそうな気分やわ」
「奇遇やな、俺もやで侑」
2人して微妙な顔をしている。
「侑も治も吐くならトイレいきなよ」
「トイレあっちだよ」
「「やかましいわ!!」」
双子のツッコミが体育館に響いた。








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