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▼手加減って知ってますか






体育館の床に座り込んでボールを点検していると、ふと小さい頃はボールを片手で持てるようになりたいと思っていたことを思い出した。大きくなったら自然と持てるようになると思っていたのになぁ。結局私の成長はほどほどで止まってしまった。
自分の手のひらを見て唸っていると顔に影がかかる。見上げると角名くんだった。目を合わせようとすると首が痛い。自分の身長を自覚してくれ、などと思っていると角名くんはしゃがんで目線を合わせてくれた。
「手のひらがどうかしたの?」
おそらくじっと自分の手のひらを見つめていた私を不思議に思ったんだろう。
「昔はボールを片手で持ちたいって思ってたんだけど、結局今も持てないままなんだよね」
ほら、とボールを片手で持とうとする様を見せる。もちろんボールは片手では持てない。そういえば部員はだいたいみんな持ててたような気がする。手のひらの大きさはどれくらい違うのだろう。
「角名くん、手出して」
「こう?」
角名くんは思ったより素直に手のひらをこちらに出してきた。自分の手のひらと合わせてみる。関節一個分以上違うのか。
「やっぱり男女の差は大きいね……」
「そもそもみょうじちびっ子だもんね」
「そこまで小さくないんだけど」
これだけ大きいと自分より小さければそんなに変わらなく見えるのだろうか。角名くんのどこか余裕そうな顔になんだかムッとした。
「えいっ」
指をずらしてそのまま握りこんでやる。こうするとびっくりするってテレビでやってた気がする。角名くんは珍しく目を見開いている。してやったりだ。
「びっくりした?」
「……びっくりってか、ドッキリ…?」
その表情に満足し、そろそろ部活も始まるからとボールを片付けようと思ったが手が離れない。
「……角名くん?離して貰っても?」
「せっかく珍しくみょうじから握ってくれたんだしと思って」
さっきの驚いた顔はどこへ消えた。すっかり角名くんは楽しそうな笑みを浮かべている。あっ、これ仕返しされてる。無理やり離そうとするもビクともしない。だんだんとこの状況に恥ずかしくなってきた。誰か!早く!勘弁して!信介先輩のみょうじいじめるのも程々にしたれという言葉が飛んでくるまで角名くんはこのままだった。








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