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▽その距離をどうか縮めて






なまえと付き合い始めてしばらく経った。付き合いたてで幸せいっぱいの時期ではあるものの、俺は一つ不満を感じていることがある。
恥ずかしいのであろう、なまえが露骨に俺を避けるのだ。彼女の可愛い反応見たさに、ぐいぐいいっていたのが悪かったのだろうか。最近では俺の姿を見ただけで臨戦態勢を取り始める(あまり効果はないけれど)。面白いくらいに距離を取られるものだから、治には一周回ってコントかとも言われた。
最初は俺のことすごく意識してくれてるじゃん、と満更でもなかった。けれどもうそろそろ限界だ。不意打ちにキスするときに、彼女が目をぎゅっと瞑るのは別の意味で耐えられないのだけど。
こうして限界を迎えた俺は、皆が帰った部室にて実力行使に出たという次第である。


■□■□■


「なまえ、最近露骨に避けてない?」
「さささ、避けてなんかないよ!?」
彼女の目が泳ぐ。なんてわかりやすいんだろう。動揺が顔に出やすく、嘘がつけないところは好きなところの一つではある。
そんな彼女との距離を徐々に詰めていく。俺が一歩進むごとになまえは一歩下がる。そしてついに彼女の背中はロッカーについた。
「!」
「なまえ」
「す、角名くんっ、近いっ!」
顔の横に手をついて逃げ場をなくす。屈んで顔を近づけてやるとみるみるうちに顔を真っ赤にした。ああ、可愛い。どうしてやろうかな。
ひとまず見るからに不機嫌そうな表情を作ってみることにしてみた。
「恥ずかしがるのは可愛いんだけど、程々にしてくれないと俺拗ねるよ」
「何それ可愛い」
拗ねる角名くんは可愛いと思うんだけど、などとこの雰囲気にそぐわないふざけたことを彼女は抜かす。デコピンをお見舞いしてやった。
「痛っ!ごめんって、角名くん」
「…………」
「ご機嫌どうしたら直りますか」
「……なまえからキスしてくれたら直る」
途端にうぐっ、と聞こえてくるが知ったことではない。しばらくうんうん唸っていたかと思えば意を決したのかなまえは俺のジャージの裾を握った。
「角名くん目瞑ってください!」
「ん」
どうぞ、と言わんばかりに彼女の方を向いて目を閉じてやる。少し遅れて頬に柔らかな感触がした。思わず目を開けると彼女は顔を手で覆っている。
「口にじゃないの」
「口は無理!まだハードルが高くて無理!」
及第点だよなぁと思う反面、いっぱいいっぱいの彼女が愛くるしくて頬がゆるむ。なまえは、機嫌直った?とおずおず尋ねてくる。
「まだってことは、これからに期待かな」
覆っていた手を退けて、油断しているであろう彼女の唇をかっさらってやった。








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