1、面白がって試す(Aルート) | ナノ
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うふふ……。
やっぱりね。
あなたってそういう感じだもの。
よけいなおせっかいをやいたり、他人のプライバシーに平気で踏み込んだりするタイプなんじゃないの?
困った人ね。

まあ、あなたがそれで楽しければいいんでしょうけど。
せいぜい気をつけるといいわ。
この探索で、尚くんは大変な目にあったんだから。

彼は、噂を面白がるようなタイプじゃなかったわ。
でもね、話題の子供が、自分と同じ名前だってことがどうしても気になってしまったの。
偶然だろうってクラスメイトはいったわ。
でも尚くんは、毎週日曜日になると、子供の死体を捜し回ったのよ。

そして、一番最初に見つけちゃったのよ。
旧校舎の教室でね。
あそこは木の床がところどころ腐ってて、穴があいているのよ。
その穴の一つに、子供の死体が入ってたの。
「なんだ、見つかっちゃったよ」

突然、背後から声が聞こえてきたわ。

それは死体と同じ顔をした子供だったの。
もしかして、霊……?
まさか話が本当だったなんて。
尚くんは焦ったわ。
でも声は出なかった。
金縛りにあったように、一歩も動けなかったの。
「今度は僕が鬼だね、お兄ちゃんが隠れる番で」

今度はそういうと、空気に溶けるように消えていったの。

その途端、ドアが閉まったわ。
壊れてしまいそうなほど大きな音をたててね。
尚くんは、すぐドアに駆け寄った。
でもそこは、決して開かなかった。
「誰か、誰か!」
必死でドアを叩いたけど、誰も来てくれなかった。

彼はここで死んだ子供のように、くり返し助けを呼んだの。
……喉が痛くなり、声がかれたわ。
血を吐くかと思うほどだった。
でも、助けは来てくれなかったの。

その日一晩中、彼は家に帰れなかったの。
もう、一生そこから出れないかと思った時。

又、男の子の霊が現れたの。
「お兄ちゃんがあんまりうるさいから見つけちゃったよ。
駄目じゃないか、静かに隠れてなきゃ」
そして、ドアが開いたのよ。
尚くんは、一目散に逃げたわ。
もう二度と旧校舎なんかに近寄るまいって思ったの。

そんな尚くんの背に向かって、子供は呟いたの。
「今度は、お兄ちゃんが鬼だよ」

どう、倉田さん?
尚くんは鬼になって、この子供をまた捜したと思う?


1、捜した
2、捜さなかった



『1、捜した』



うふふ……。
あなただったらそうするって意味かしら。
嫌ね、そんなことをしたら、子供の霊と永遠に隠れんぼをしなきゃならなくなるわ。
あなたはそれでいいかもしれないけど、尚くんの考えは違ったの。

彼はこのことを忘れようとしたのよ。



『2、捜さなかった』



うふふ……。
そうよね。
わざわざ、こんな子供に会いに行くことはないわよね。
尚くんはこのことを忘れようとしたの。



※以下同文※



……そして、何日か過ぎたわ。
クラスメイトは相変わらず探索を続けていた。
こんなに捜して、どうしてみんなはあの教室を見つけないんだろう。
確かに、あの床の穴は暗くて、わかりづらいけど……。
尚くんは、不気味に思っていたわ。

でも、自分が体験したことを語る気にはなれなかったの。
あれは悪い夢だった。
そう思いたかったのかもしれないわね。

そんなある日、尚くんのもとに、またあの男の子が現れたのよ。
授業中だったわ。
後ろから肩を叩かれて、振り向くと子供が肩に乗ってたの。
子供は、尚くんをものすごい目付きで睨んでいたの。
「どうして捜してくれないんだよ。
ずっと待ってたのに。
お兄ちゃんが鬼なんだから。
捜してくれなきゃ困るよ」
尚くんは、子供を見たまま動けなかった。

「おい、何をよそ見しているんだ?」
先生が注意したわ。
どうやら、子供の霊が見えていないようだった。
先生だけじゃないわ。
クラスメイトの誰にも、子供の霊は見えてなかったの。
「た、助けて……」

尚くんは、声を絞り出したわ。
でも、みんなは笑ったの。
尚くんが、先生に怒られてそういったんだと思ったのね。
なんでみんな笑うんだ?
僕がどうなってもいいのか?
彼は耐えられなくなって、教室を飛び出したの。

「お兄ちゃん、僕を見つけて」
子供は、ずっと尚くんの肩に乗っていたの。
彼がどんなに早く走っても振り切れなかった。

尚くんは、気が付くと旧校舎の近くに来ていたわ。
冗談じゃない。
こんなところに入る気はないって思ったわ。
でも、子供の霊の小さな手が、彼の髪をひっぱって、旧校舎の中へ連れて行ったの。
すごい力だった。

子供の念を見せつけられたようだったわ。

尚くんはまた、例の教室に閉じ込められたのよ。
永遠にこんなことが続くのか?
彼が絶望的になっていると、子供はこんなことをいいだしたの。

「この遊びにも飽きたなあ……」
もう、尚くんは大喜びよ。
思わず笑いかけると、子供の霊の手がぐっとのびてきたの。
いきなりのことで、尚くんは何も考えられなかった。
押されるがままによろめくと、彼は床の穴に落ちてしまったのよ。

……尚くんは、また旧校舎の教室から出られなくなったの。
今度はもっと悲惨よ。
床の穴に落ちたから、見つけてもらえる可能性はさらに低くなったんだもの。

彼は、その晩を穴の中ですごしたの。
このまま死んでしまったらどうしよう。
いいようのない不安が彼を支配したわ。

彼は次の日になると、誰かに聞こえるように、せいいっぱいの金きり声をあげたの。
何度も、何度も大声を出したのよ。
喉がかれても少しだけ休んで、ずっと叫び続けたの。
倉田さん、そんなの想像できる?

はたから聞いたら、どんなに恐ろしい声だったでしょうね。
やがて、その叫びを聞いた生徒が先生を呼んだわ。
尚くんは救出され、夢中で今までにあったことを話したの。
もうどこかに引っ越すんだっていって、泣き叫んだそうよ。
そして彼がどうなったか……わかるかしら。

病院に入れられちゃったのよ。
ふらふら出歩いて、穴に落ちて頭でも打ったんだろうなんていわれて。

尚くんは最初納得できなかったけど、学校から離れるのは悪くないと思ったの。
子供の霊の目につかないところに行きたかったのよ。

彼はしばらく、病院でおとなしくしていたわ。
でもね、二〜三日後のことよ。

尚くんが夜にふと目覚めると、彼の病院の隅の方で、誰かがうずくまっていたの。
小さな子供だったわ。

「お兄ちゃん、具合悪いの?」
とても寂しげな声だった。


1、悪いという
【END死んだお兄さん】


2、悪くないという
【ENDかくれんぼ続行】