2、悪くないという【ENDかくれんぼ続行】 | ナノ
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「いや……特に悪くはないんだけど。
君、どうしたの?
どこの病室?」
尚くんは、恐る恐るそう答えたの。
もしかしてこの子は……。
学校で会った子供が、また僕を追ってきたのか?

そんな不安を抱えながら、尚くんは相手の返事を待ったの。
「具合、悪くないんだ?
安心したよ。
でも、それならどうして隠れんぼの途中で帰るんだよ。
さんざん捜しちゃったじゃないか」

その言葉を聞いた時、尚くんは目の前が真っ暗になったわ。

続いて男の子は、尚くんの髪の毛を思い切りつかんだの。
「そうだ、もう逃げられないようにしてやろうか」
そして、運命は決まったのよ。

……次の日、尚くんは病室からいなくなってたわ。
看護婦さんも先生も捜したんだけど、とうとう見つからなかった。
彼がどこに行ってしまったか、わかるかしら。

……旧校舎にいるのよ。
嘘じゃないわ。
私、子供の霊が尚くんを引きずっていくのを見たんだもの。
何してるのって聞いたら、子供はニッコリ笑って、隠れんぼだっていうの。

その子、楽しそうに語りだしたわ。
自分がどのくらい上手に隠れたか。
隠れた人を見つけるのがどんなにうまいか。
学校の外にまで出て隠れた尚くんを、どうやって連れ戻したかとかね。

大体、今まで話してきたようなことよ。
その時、日野さんに見られていたのよね。
そのうち記事にさせてくれって頼まれちゃったわ。

取材なんていって、こんな座談会みたいな集まりを開くなんて。
私、集団で何かをするのって嫌いなのよ。
だからこういうのはごめんなの。
でも、日野さんってしつこいじゃない。

どうしてもっていわれて、今回無理矢理参加させられたの。
本当に気分が悪いわ。

そうそう、尚くんは、子供が死んだ教室に連れていかれたみたいよ。
あの教室に開いた穴の中で、二人の尚くんが仲良くしているはずだわ。
一人は子供の姿。
もう一人は高校生の姿のね。
二人が同じ名前だったのは、単なる偶然のようよ。

かわいそうなのは、高校生の尚くんね。
もともと変な噂に首をつっこむタイプじゃなかったのに……。

むしろ倉田さん、あなたみたいに噂を面白がる人こそ、そういう目にあうべきなんじゃないかしら?
うふふ……。
気が向いたら旧校舎に行ってみて。
尚くん達の隠れんぼに、参加させてもらえるかもしれないわよ。

……私の話はこれで終わりよ。
さあ、次は五人目ね。
今度はどんな話をしてくれるの?


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