確か、三回ノックするんだったな?
僕は、さっきいわれた通り、三回たたいてみた。
こん……こん……こん……。
返事は……?
こん……こん……こん……。
返事は返ってきた。
間違いない。
この中に何かいる!
「やめようよ!
もう、いいよ!
帰ろう、坂上君!」
細田さんの顔は真っ青だった。
その時突然、僕はものすごい力で、上に引っ張られた。
「うわああーーーーっ!」
上下が逆になったように、僕は天井にたたきつけられた。
手足が思うように動かない。
僕は見上げている細田さんに、必死に呼びかけた。
「助けてください!
助けて……!」
しかし、細田さんは首を横に振った。
「嫌だよ」
僕は耳を疑った。
「だって、君は僕が友達になろうといったのを、断ったじゃないか。
それでもって頼んだら、いやいやって顔までしてさ」
細田さんは、なんだか楽しんでいるように見えた。
「そ、そんなことありません!」
「僕はね、傷つけられたことは一生忘れないんだよ。
これは予想外の事態だけど、これで僕の心の痛みを、わかってくれるんじゃないかな」
背中越しに、天井がうねるのを感じた。
少しねじれて、大きな口のように裂け目ができる。
見なくてもわかる。
その口はゆっくりと大きく開いていく。
「わかりました!
すいませんでした、僕が悪かったんです。
許してください!」
全身汗でびっしょりだった。
そんな僕に、細田さんは微笑みかけた。
「嫌だね」
背後でバックリと裂け目が開いた。
天井の巨大な口に、僕は飲み込まれた。
最後の瞬間、トイレから出ていく細田さんが見えた。
そしてすべてが終わった…
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