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帰ってきた#にエレンやジェットを始め白ひげの息子達全員が沸き立った。
そして、大きくなったお腹を見て一同がだらしなく頬を緩めたのだった。
そして、#と白ひげはそんな彼等を見て微笑みあう。
それから1年と少し。
甲板をとたとたと歩く瑠璃色の髪の子供。
「お?ライ、どうしたぁ?」
「ライ、歩くのがうまくなったな!」
甲板にいる息子達が声をかける。
それににこにこと笑う事で返してるらしいライと呼ばれた子供。
と、
『ライー!?ダメじゃないか。一人で甲板に出ては…』
歩み寄ると抱き上げて顔をみる。
その瞳は金色。
「あーうっ!まー、まー!!」
『はいはい。どうしたんだ?』
「ぴゃーぴゃー!!」
『ん?……あぁ。パパならあっちだぞ?』
船首を望む形で置かれた大きなソファに腰かける大きな背中。
そして回りにいるのは、マルコやサッチ、そして隊長達だ。
あっち、ともう一度指差してやり下ろすと、とてとてとおぼつかない足で白ひげの元へと歩き出す。
それを優しい眼差しで見つめる#。
出産を機に彼女は戦線へと復帰した……。
だが、もう前線へと出ることはない。
2番隊の隊長へとの復帰案もあったが、白ひげが断固反対し、譲り合わずに平行線を辿る事となる。
そして、度重なる話し合いの結果守りの要として彼女はこれからも戦線に立つ。
愛する男と愛する息子、そして愛する家族達を守る為に。
笑顔で見据えるその先で、ライが白ひげの足へと抱きつく。
「ぴゃーぴゃー!!」
「ん?ライじゃねぇか!!」
笑顔で息子を片手で抱き上げる。
「今のぁ、パパっつったのか?おめぇ、男がだらしねぇ!!パパはやめて親父に覚え直せ!グラララララ」
『いいじゃないか?大きくなったら、嫌でも親父って呼ばれるんだ。今くらい好きに呼ばせてやってくれ』
白ひげの隣へとたつ#に白ひげは笑いかける。
「にしたって、ロジャーと並ぶ俺がパパじゃカッコがつかねぇだろぉ?」
『ロジャーが聞いたら大笑いして喜ぶだろうな…目に浮かぶよ…フフ』
「親父…噂をすればだよい…」
「ぉーーーーーーーぃっ!!ライに土産持ってきたぞぉーー!!!」
『敵なのに…あいつは親戚のおっさん気分だねぇ…』
「迎え入れろ!!」
大海原に笑い声が響き渡る。
小さな手と大きな手、そして沢山の手が小さな小さな子を守る。
大きく、そして逞しく。
子は愛されてすくすく育つ。
そして、それから20年の時が流れる。
白鯨の船首の上にたつ瑠璃色の短い髪の青年は海をその金に輝く瞳に写す。
「ライ、何してるんだぁ!?」
『ん?あ、エース。何って海、見てたんだよ』
「お前、海好きだよなぁ!いつも見てるもんな!!」
『エースが、肉、肉!って騒いでるのと一緒だよ』
「お!そういう事か!!」
『ていうかさ。俺のが年上なんだから。もう少し敬ってよ。敬語使ってみるとか』
「俺苦手なんだよ。敬語」
『知ってる。バカに拍車がかかったみたいになってたからね』
んだとぉっ!!と飛び付こうとしたエースをスッと横にどいて避けると、エースは船首に顔面から落ちる。
それを笑いながら見下ろし、じゃれあいだす二人。
「あーんなちっさかったライが20歳か…早いねぇ…」
「そうだねい…一丁前に兄貴になったからねい」
「にしても、歳重ねるごとにどんどん#さんそっくりになったな…」
「親父が、空の上であたしに似てよかったと高笑いしてんじゃねぇのかって笑ってたよい」
「あー、いえてるな!!」
「見た目は#さんにそっくりだが。中身はでっかく育ったよい。たまに親父にそっくりだい」
「あぁ。そうだな…」
マルコとサッチが末弟二人を見守る。
『「マルコー!サッチー!何してんだ!?」』
船首でじゃれていた二人が気づいて声をかけると走り寄ってくる。
それに笑顔をうかべる二人。
「グラララララ、仲がいいじゃねぇか?お前ら」
『「親父っ!!」』
響いた笑い声に、キラキラとした笑みを浮かべて走り去る二人を笑いながらあとに続くマルコとサッチ。
未来へ続く物語。
二人の愛の結晶は愛され逞しく
今日を元気に生き抜いていく。
不思議な不思議な巡り合わせを起こしながら。
『エース!お前離れろよっ!!』
「うっせ!!お前が離れろっ!!」
「グラララララ、何だ?甘ったれか?おめぇらぁ!!グラララララ…」
end
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