PROJECT | ナノ
5


翌日。
騒ぎ疲れ白ひげの膝で眠ってしまったルカは白ひげに抱かれ寝室へと連れて行かれた。
まだぐっすりと眠っているルカを起こさぬ様に体を起こした白ひげは枕を抱き締めるように眠るルカを見つめる。
その顔は泣く子も黙ると言われる驚異を感じさせぬ程に穏やかだった。

「おめぇのちいせぇ頃はさぞ可愛いだろうと思ってたが予想以上だったなぁ…こりゃあ、薬を盛ったバカ共に少し感謝しねぇとな…グララララ」

小さな声で笑うと響いたノック音に返事をして扉に視線を向けると、入ってきたのはサッチ。

「おはよーさん。親父。ルカは…まぁ寝てるか…」

クスリと笑うとルカの傍らへと歩み寄るとその安らかな寝顔を覗き見る。

「まぁまぁ。幸せそーな顔しちゃって…そういやぁ、親父。かれこれルカがこうなってからもう1週間だぜ?まだ元に戻らねぇのかね?」

「薬の効果は人によるらしい…3日で戻る奴もいりゃあ、1ヶ月かかる奴もいるらしい。こればっかりは何ともいえねぇそうだ。だが、今までも治療で薬を与えた時にルカは薬が効きすぎる兆候があったらしくてなぁ。もう少しかかるかもなぁ…」

「そっかぁ…。まぁ、素直でいーけどなぁ!こっちのルカは!」

笑うサッチに笑顔で返すと、起こして飯連れてけと声をかけた。
そうして、サッチがルカを揺すり起こすと半分寝たままのルカを抱えて部屋を後にした。

サッチは洗面所へとルカを連れてくと歯を磨かせ、顔を洗わせる。
それからやっと目が覚めたルカの手を引きナースの元へ連れていく。
そうして、着替えを終えた上機嫌のルカとまた手を繋いで食堂へ向かうのだった。

『さっちゃん!今日のご飯はなぁに?』

「ルカのははちみつたっぷりのホットケーキとサラダとフルーツだぞー!」

『ほんとにっ!?じゃーあっ!食堂まで競争っ!!』

サッチの手を離し走り出したルカに転ぶなよ!と声をかけながらサッチも走り出す。
そうして雪崩れ込むようにして食堂へ入るとルカは初めて自分から大きな声でおはようっ!と挨拶をしたのだった。



朝食を終え、サッチとエースと共に甲板へ出て柵へ駆け寄ると隣を並走するレッドフォース号。
そして、甲板にいるシャンクスとベン達を見つけたルカは大きく手を振りながら話しかける。

『シャンーーー!!ご飯食べたよー!あーーそーぼーーー!!』

それに気付いたシャンクスが片手をあげて、返事をすると板で船を繋げてモビーへと乗り込んだ。

「おはよう、ルカ。何して遊ぶか?」

ルカの前へしゃがみこみ頭を撫でながら話しかける。

『ねぇっ!シャンの船!!探検したーい!』

「おうっ!いいぞー!なんならそのままうちに来るか!?」

『………それはいやっ!』

「断られてやんのー!」

そう言ってバカにするエースとサッチを一蹴するとルカを抱き上げてつかつかと自船へと行ってしまったシャンクスを追って2人もレッドフォース号へと乗り込んだ。

探検を終えて、昼食をレッドフォース号で頂いたルカ達が全員でモビーへ戻ると、丁度マルコが甲板へ現れた。

『マルちゃんっ!!』

現在、ルカランキングにおいて恐らく白ひげ、サッチと並ぶほどまでにお気に入りのマルコがきた事でルカが嬉々として走りよった。

『おしごと、終わったの?』

「丁度さっき終わったんだよい。何してたんだ?」

『んとねぇ、さっちゃんとエース兄とシャンと沢山お話したのー!それでね、マルちゃんに聞きたい事あるのー!』

だっこと手をマルコに差し出したルカを抱えると聞き返した。

「なんだよい」

不思議そうな顔をして訪ねたマルコに満面の笑顔で告げた。

『マルちゃんの頭を綺麗にわると美味しいパイナップルが出てくるんでしょ!?』


……………………………………。

「ルカ?誰から聞いたんだよい?」

静かに問いかけられたルカは甲板から逃げようと後ずさるサッチ、エース、シャンクスを指差した。

と、そこへ現れたイゾウとハルタにルカを渡すと一目散に逃げ出した3人を追いかけ始めた。

「ルカ、何があったんだい?」

『マルちゃんの頭わるとねぇ、おいしいパイナップルがでてくるの?って聞いたら鬼ごっこはじめちゃったのー!』

「「……………あ、そう」」

「じゃあ、ルカは僕らと船尾で遊ぼうか?」

『うん!行こう!!』

その後メインマストに吊るされた3人は夕食の時間まで放置されたらしい。

「自業自得だろい。ルカにバカみてぇな事吹き込みやがってよい」

そうして、白ひげとシャンクスが揃っている事もあり意味もなく宴が開かれる。

白ひげの膝にいたルカはシャンクスやマルコの膝を回ると最後にサッチの胡座に収まりデザートを頬張る。

『さっちゃん!!これおいひいっ!』

にっこり笑ったルカの頬についたチョコを指でぬぐってやるサッチが笑いながら返す。

「だろー?ルカの為に作ったんだ沢山食えよー!」

『うんっ!!あ!ねぇ!!今日はさっちゃんとねたーい!!いい?』

「ん?俺は構わねぇけど、親父に聞いてこいよ」

わかった!と返事すると、ぴゅーと走り去ったルカの背を見送る。
暫くすると、笑顔で帰ってきたルカがいいってっと白ひげか、承諾をもらってきたらしい。

「うし、じゃあ、眠くなったら言えよー!」

それから、一時シャンクスも交えバカ騒ぎをしていたが、気付くとルカはサッチに抱きつくようにして寝てしまった。

「じゃあ、俺へや行くわ」

「隊長ー!ルカに手出さないでくださいよー!」

からかわれながら部屋に向かったサッチは腕に抱えたルカを見下ろす。

「本当のルカもこれくらい素直ならな…」

ぽつり溢すと自室のドアを開け、ベットにそっとルカを下ろす。
壁側へルカを寝かすとコックコートを脱ぎタンクトップにハーフパンツに着替えて隣に寝転がるとルカの顔にかかった髪を優しく払うと暖かい子供の体温を抱き締めて眠った。











次の日の朝。
けたたましい悲鳴と共にモビーの船員は起こされた。

何事かと、たどり着いた場所はサッチの部屋。

「サッチ!?」

マルコ達が慌てて部屋に入ると…

『マルコっ!?エースっ!?』

布団のシーツを体に巻き付け、サッチをタコ殴りにしたルカの姿。

「戻ったのか!?」

エースがルカに抱きつく。

『ちょっ!?離れてっ!!』

「また、凄いタイミングで戻ったない?」

「サッチ、気の毒ー…」

「まぁ、いいんじゃないのかい?」

サッチへと哀れみの視線を向けるマルコ、ハルタ、そしてイゾウ。
そこへ、悲鳴を聞き付けたシャンクスまでが現れた。

「お!ルカ戻ったか!」

その声に、エースまでもぶん殴り地面へと沈めたルカが振り替える。

『シャンクス!?あんた何してんの!?てゆーか、戻ったって何!?』

「んー…普段はわからない体のラインが…」

そう言って話を聞いていないシャンクスにも鉄拳をくだすと

『とにかく!!何でか知らないけど、気付いたら裸でサッチに抱き締められてたのよっ!!ただでさえてんぱったのに、こいつときたら、人の身体中舐めるように撫でてくるし…あげくキスされそーになったの!!あー!もうっ!とりあえず、あたし服着てくる!なんで子供の服なのよっ!』

そう怒りながら自室へ戻ったルカを見送ると室内の地獄絵図へと視線を戻したマルコ達は安堵の息を漏らす。

だが、少しだけ全員が寂しそうな顔をしていたのは内緒の気持ち。

その後、ルカは自分が幼い頃に逆戻りしていた事実を聞かされたが何一つとして覚えていなかったのだった。
それから暫くルカが船員全員にいじられたのは言うまでもない。
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