travel-01





ふと、気が付いたら真っ白な空間でした。


『随分と味気ない夢だな…』

『夢位いい思いさしとくれー』


なんて独り言を言いながら、何もない真っ白な空間をただ歩いていたら。
突然目の前に、随分ワイルドな男が現れた…。


『おぉー。あたしの脳内ぐっじょぶ!!(ワイルドな上に男前な叔父さまとか…最高じゃん)』


そう思いながら、ルカはその男を見つめてニヤニヤしていると・・


『いたぁっ!!?』


その男から渾身のチョップを脳天に叩き込まれた。


『いっだぁ・・・。え…痛いって…これ夢だよね?』


夢の筈なのにリアルな痛みに悶えたルカがそう呟くと、その男がルカを見据えて信じられない言葉を紡いだ。


「残念だね?夢ではないんだよ。これ」


その言葉にルカは目を丸くしながら、訝しげに尋ねる。


『あのー夢じゃないならこれどうゆう事?更に言えば、何であたしチョップされたのかな?』

「ここは異世界の狭間。」

『異世界の狭間?(この叔父様、チョップの事スルーしたよ)』


男の言った言葉に頭の中はハテナで一杯になるが、未だ状況を理解し切れていないルカは、それよりもスルーされたチョップの理由が気になる。


「君がいた世界と君がこれから旅立つ世界との狭間に今いるんだよ」

『……………はぁっ!!?何言ってるの?勝手に旅立たせないでくれない?』

「とは言ったものの・・。もう決定事項だからね。変更は訊かない」

『訊けないんじゃなくて、訊かないと来たか・・このおっさん・・』


男の物言いにルカは眉間に皺を寄せる。


『そうは言うけど、あたしにだって生活があるし。家族や友達に何も言わずに行くなんて無理に決まってんでしょう?勘弁してよね』

「その辺は、あの世界自体からきみ"アマクサルカ"に関する全てがなくなるから大丈夫だよ」

『あ、そうなの?それならだ………………いじょぶなわけあるかっ!!あんた、何さらりと言っちゃってんの!?有り得ないから!!無理だから!!あたしの生きてきた事全部無くなるって事でしょ!?いや、無理。絶対嫌だから!!』


存在が消えるから、お前を心配する者はいないから大丈夫だと暗に告げられた言葉にルカは怒りを露にして言い返す。


「おぉ、見事なツッコミだねぇ」

『あたしがいなくなるなんて、納得出来ないから!!決定事項だろうが、他の人にしてよ!!』


悠長にルカの荒げる声を聞き終えた男は真剣な眼差しを浮かべ、ルカを見据えて言った。


「……………だとしてもか?」

『はい?聞こえなかったけど』


憤慨していたルカは男の言った肝心な部分を聞き逃し、もう1度と言うと。男は真剣な眼差しをそのままに告げた。


「ルカが恋い焦がれた。冒険溢れる海賊達の世界だとしても、断るか?」

『…………それってONEPIECEの世界って事?』

「そうだ。ルカに変えてほしい未来がある。ルカの世界で知ってしまった未来を変えたいのだよ、わたしはね」


そう言って男が話し出したのは、ルカの好きな海賊の漫画の世界が実際に存在しておりこのままで往くと漫画として描かれているままの運命を辿ると言う事だった。
そして、ルカにその運命を変えてほしいのだと言った。


『あたしだって……変えられるのなら変えたいけど…さすがにそんな力ないよ…』

「未来を知るイラギュラーだから、変えられるかもしれない。可能性にかけたいんだよ。その為の力なら貸してやろう」


微笑んだ男の顔を見てから、ルカは頷き顔を上げた。


『…………じゃあさ、せめてあたしの存在消すんじゃなくて死んだことにしてよ。あたしが今まで生きた証がないのは悲しすぎるから…』


今の自分があるのは、もう2度と会えなくなる家族と友人達がいたからで。
例えもう会えないとしても、悲しい思いをさせてしまうとしても・・・覚えていて欲しいとルカは願った。


『(なんか・・よく分かんないけど。あたしにしか出来ない事なら・・あたし行って来るよ。ごめんね・・)』


きっと見上げたルカの顔を見て、男はルカの決意を感じ取る。そして、微笑みかけた。


「わかった。その辺は任せておけ。悪い様にはしないから・・安心しておいてくれ。」


その言葉にルカが頷くのを見てから男はこれからの予定を話し出す。


「それでは、少しの間ここで力をつけてからあちらに送ろう」

『うん!!お願い、右も左もわかんないんじゃ行く意味ないからね!』

「じゃあ、まずはこれを食べてもらおうか」


そう言って男が何もない空間から出したのは、リンゴ程の大きさで真っ黒な羽のようなモノがぴろぴろしている上に白い渦巻き模様の是非とも食べたくないものを手渡された。


『うおー!!これがあの悪魔の実?すっごい食べちゃ駄目そうなオーラをビンビン感じるんですけど??』

「つべこべ言わずにさっさと食べろ」

『何それ!!?これ見て、わ〜美味しそう〜!!なんて言う奴いるわけないでしょうが!!』


キャンキャンと騒ぐルカだったが、隙を突いた男により悪魔の実はルカの口の中へと消えていったのだった。


『………………まっずー!!ちょっと!?おっさん何してくれんの!!?』

「全部食べろよ」

『嘘でしょ!!?無理!もうやだぁぁぁああ!!!』



いってみようか!!

怒涛の世界へ!!


(ところで、冒頭部分でチョップしたのは何故?)
(気持ち悪かった)
(え…)




2014/03/18 加筆修正

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