destiny-20




エースと二人たまたま見かけた店へ入った。
席に座り、出されたメニューを見る。

「ん〜、俺ここからここまでなっ!」

ニカっと笑い、店員に告げるエース。

『エース、全部って言った方が早いと思うよ?あ、あたしはモーニングセット。コーヒーで』

「かしこまりました」

店員が注文を伝えに厨房へ下がるのを見送ると、エースが話し出した。

「なぁ、そういやぁ。マルコとサッチ、随分洒落こんでたよな?」

『あぁ…。エースと違って男の処理が必要らしいからね、情報収拾と言う名の女漁りに酒場行くみたいよ?』

「ふ〜ん。あいつら、現役なのな!!俺は女よりも冒険するか、ルカといた方が楽しいけどな!」

『お、嬉しい事言うじゃーん!ここはお姉さんが奢ってあげよう!』

「まじか!サンキュッ!」

『で?このあとはどうするの?』

「ルカは?行きたいとことかあるか?」

『んー…昨日ミシェル達と一通り回ったしなぁ…特にはないかな?エースは?』

「いや、俺もねぇんだよな…」

『ご飯食べたらぶらぶらしとこっか!せっかく降りたんだしね』

笑顔でそう言うとエースはニカっと笑顔を返した。
と、そこへ次々とテーブルには頼んだ食事が届き出した。

「よし!取り合えず食おうぜ!」

そうして、食事を取り出すも。
相変わらずエースは食事中に突然寝るという荒業を繰り出し、焦った店員を宥めつつ、ルカも食事を進めた。

それから1時間程で食事を終え、代金を支払うと二人は店を後にした。

『ねぇ…、エースの突然寝るのはどーにかなんないわけ?』

「ん?ありゃ癖だからなぁ…」

『癖…。癖でいちいち寝られて店員宥めるこっちの事も考えてよね…全く…』

「おう!わりぃなっ!」

『………誠意がこもっとらんわ!』

エースの肩にぼすっとパンチを入れるルカ。
そして二人顔を見合わせるとクスクスと笑い出した。

『あー、もう。エースには負けるわ。可愛くてお姉さんは何でも許してしまいそうだ…』

「そら、俺役得ってやつだなっ!」

『怒る気にもならんね…エースくんよ…』

アハハと笑いながら街を歩く二人に、すれ違う人々は不思議な顔をしつつも、そんな仲のいい二人に笑顔を溢していた。

そうして二人が度々店を覗いてみたり、屋台で食べ物を買って食べ歩いたりしたいると、偵察の時に見かけた裏路地がルカの視界に入った。

そこには相変わらず柄の悪そうな男達が集まっていた。
だが、楽しい雰囲気を台無しにするのもと思いすぐに視線を移そうとした時。
裏路地から響いてきた女性の悲鳴。
二人は顔を見合わせると一目散にその声の方へ走り出した。

「止めてください!!」

女性の甲高い拒絶の声が少しずつ近づいてくる。

「ちょーっと酒に付き合えって言ってるだけだろうが!大人しくついてくりゃ痛い思いなんざしねぇからよぉ?」

声の場所へ辿り着くと、まだ10代だろう女の子の腕を巨体の男達が群がりどこかへ引きずっていこうとしているところだった。

『随分、手荒な誘い方じゃない?』

「あぁ!?てめぇ、なんだ?ヒーロー気取りか?んなちっせぇなりで俺らに挑むたぁ。肝だきゃ、座ってるみてぇだな?おい」

振り向いてそう捲し立てる男にルカは続ける。

『たく…また勘違いされてるよ…。とにかく、その子嫌がってるし。離してあげてくれないかな?うちらも、手荒な真似好きじゃないからさ』

キャップから僅かに見える口許に笑みを携え男に話しかける。

「あー、その方がいいぜ?こいつ怒らすとこえーからさ…その子離してやれって、な?」

エースも加わり穏便に事を済ませようと話しかける。

それもこれも、上陸初日の召集が理由だ。


【この島は親父の配下じゃねぇからよい。下手に騒ぎ起こすと、海軍の駐屯基地が近くの島にあるから。すぐに軍艦がやってくるよい。くれぐれも騒ぎを起こしたりすんなよい!】

そうマルコに注意を受けていたのだ。
ここでまんまと騒ぎを起こそうものなら、マルコの怒りの鉄拳は確実。
二人はそれをなんとか避けようと、いつもはすぐ出る手を押さえ、話し合いで解決しようと試みた。

……………が、相手は街の荒くれもの。
そんな事に素直に応じるわけもなく。

「俺らに指図するたぁ、いい度胸じゃねぇか!おい、おめぇら少し遊んでやれっ!」

男達を纏めているらしき男の声に全員が武器を構え、一斉にかかってきた。

『やっぱ。こうなるわけね…エース、瞬殺、瞬足!逃亡でいくよ!』

「おう!マルコの拳骨だけは避けねぇとならねぇ!」

それを合図に路地裏は大混戦と化した。
瞬殺とは言ったものの、どこから現れるのか。
男の仲間があちこちからわらわら出てきて次から次にかかってきて、予想以上に手間取ってしまった。

そして、男達の頭と思われる男のみになった時。
ルカは被っていたキャップを外し、キャップの埃を叩きながら男に歩み寄り、顔を上げた。

『さぁて?あんただけだけど?まだやる?』

「なっ!だ、堕天使っ!?ふ、ふざけんなよ!」

そう男は女の手を引きながら後ずさると、ルカに銃口を向けると引き金を引いた。

パァーン パァーン

路地裏に響く二つの銃声。

『で?その子放してくれる?』

ルカは見聞色の覇気を使い、銃弾を交わしながら男に歩み寄る。

その紅い瞳に男だけを写し。

その瞳に耐えきれなくなった男は腰を抜かし、後ずさりしながら逃げていった。

『たく…相手の力量位見極められる様になりなさいな!!』

逃げた男の背に向かい叫ぶと、視線を女の子へ向け笑顔を見せた。

『大丈夫?もう平気だから、帰りなよ?ここは危ないから通っちゃダメだよー?』

「あ、ありがとうございました!!」

女の子わ慌てて佇まいを治すと深々と頭を下げる。

「いーっていーって!俺らお礼されたくてやったわけじゃねぇしよ?とにかく、もうここいらには近付いたらダメだぜ?」

二っと笑ったエースに女の子は安堵の笑みを浮かべると何度も振り返り頭を下げながらその場を去っていった。

『可愛い子だったねぇ?エースくんや?』

「あーそうだなぁ?まぁ、どうでもいいや。俺らも…」

パァーン

行こうぜと続くはずのエースの声はまたも響いた銃声に遮られた。

「たまたまこの島により通報を受け、駆けつけたら。まさかこんな大物に会えるとはなぁ?」

青い顔をして二人は顔を見合わせ、振り替えると

「異海の堕天使 ルカ並びに火拳のエース!大人しく降伏しろっ!」


ジャキィという音と供に一斉に二人に向けられたいくつもの銃口。
二人は手をあげながら目を合わせると。

「どうする?俺は銃くれぇ効かねぇけどルカは違うだろ?」

『エースさ、取り合えずあれやってよ?あれ。親父さんに会った時やったやつ』

「ん?あぁ、いいぜ。」

『よし、やったらすぐ飛ぶからね!』

「おう!じゃあ、俺ら逃げるなぁー!炎上網っ!」

エースの声で辺りに広がる炎。
それに海兵達は慌てる。

『エース!捕まって!!』

翼を羽ばたかせ飛び上がるとエースの手をつかみ一気に空へと舞い上がる。
それに追い討ちをかけるように銃弾が飛んでくるが全てを避けるとぐんぐんと高度をあげていった。

『これ…怒られるよねぇ…』

「………………あぁ…」

「『はぁ…」』

溜め息をはくと、小一時間程空中散歩を楽しむと二人はびくびくしながらモビーディックへと帰っていった。


白ひげきっての問題児コンビ

(よく帰ってきたねい?)
(おーめぇらなぁー?)
(いや、あのね?不可抗力って知ってる?)
(そうだ!これは不可抗力だ!)
(問答無用っ!!)
((いっだぁーーー!!))
(お前らのせいで、夜の予定パーになったんだからな!)
(そらサッチの力量不足でしょ…)
(あぁん?ルカちゃん?今なんて?)
(いや、なにも……)
((サッチがいつになくおっかない…))

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