destiny-07
スペード海賊団乗船から数日。
あの日から時を選ばぬエースの白ひげ襲撃が始まった。
どがーーん
『ぎゃあっ!!』
そして、何故かタイミング悪くかなりの確率で遭遇するルカの奇声も日常の一部となり始めていた。
『お、親父さん…返り討ちにすんのは構わないけど…わざとでしょ…』
「グラララララ!!娘の反射神経を確認してんだ、多目に見やがれ!!グラララララ!!」
『あー…そうですかぁ。と、そういえば用事は?』
「あぁ、ちょいと使いを頼まれてくれるか?」
『別に構わないけど、なんか物資でも足りなくなった?』
「さっき連絡が入ってな。少し離れた位置にマクガイが進んでるらしい。こっちに来る予定だったが。じゃじゃ馬がいやがるからな。お前が行って荷を預かってきてくれるか?」
『マクガイが!?いいよー!!久しぶりだし行ってくるよ。すぐ戻るね!!』
「あぁ、頼んだ」
そう言って、エースを医務室へ引きずっていった。
医務室へ着き、扉を開けるとリリーがいた。
「あれ?ルカどうしたの?」
『火拳君、連れてきたんだ。手当てしてあげて!!あたしは、出るからさ。起きたら勝手にどっか行くだろうから』
「わかったよー!!じゃあ、ベットに運んでおいて。どっか行くの?」
『親父さんにおつかい頼まれたの。じゃあ、お願いねぇ』
「気を付けてね、いってらっしゃい!!」
『ほーい。いってきます』
医務室を出ると甲板へ向かった。
甲板へ出ると、船員達が訓練や談笑をしながら過ごしていた。
船首へ上がり、翼を出すと後ろから声を掛けられた。
「あれー?どっか行くの?」
『ハルタ、うん。親父さんに頼まれて、マクガイの所。近くを進んでるらしいから、荷物預かってくる!!』
「そか!!気を付けて!!サッチには?」
『あ゙…忘れてたー。ハルタ、伝えといて!!じゃあ、行ってくる』
「わかったよー!!」
ハルタの返事を聞くと飛び上がり、猛スピードで船から離れていった。
「よし、じゃあサッチに伝えとこう」
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『なぜ……マルコに頼まなかったの…おもっ…』
白ひげに頼まれたのは、白ひげの気に入りの酒だった。
ただの酒樽ならルカも普通に運べたが、白ひげサイズの酒樽はでかく運ぶのも一苦労。案の定飛ぶスピードも落ち、モビーをたってから既に1日を経過していた…。
『あー、もう疲れたよー。腕ちぎれるよー…』
満身創痍になって飛んでいると、水平線に島が見えてきた。
『お、ちょっと一休みしよー…』
そうして、島へと急ぐと。
島は無人島。
『うっそー、お腹すいたしなんか食べたかったのに…しょーがない。果物でも探そ…』
そうして、酒樽を浜辺におき果物を探しにジャングルへ入った。
数十分後、果物を抱え浜辺に戻ると酒樽の隣に腰をおろし、果物を食べ始めた。
『うはー、生き返る!!甘いし、おーいしーい!!余分に取ってきて正解だな!!リュックに入れていくつか持って帰ろう!!』
そうるんるんとしながら、海を眺めつつ果物を食べていると、海の上に何かが見えた。
『んあっ?何だ?あれ?』
手に持っていた食べ掛けの果物を一気に食べると、リュックに入れたままの単眼鏡を引っ張り出して覗くと、ルカは固まった。
『は?嘘でしょ…』
こちらへ向かってきているらしい何かは、確実に近づいてきて浜辺にやってきた。
それを口を開けたまま放心状態で眺めていると、
「あらら…、ルカちゃんじゃないの」
『気のせいだと思いたかったのに…何平然と声かけてきてんの…』
「俺を見て気のせいにするとか、無理あるでしょ?」
『あー、そうねぇー…はぁ』
「何よ、一人?にしても、でかい樽だな…何入ってんのよ、これ」
『親父さんのお酒だよ…おつかい頼まれたの。で、あんたはまたさぼり?』
「おつかいって子供じゃないんだから…」
『さらっと流すんじゃないよ。さぼり魔の大将さん』
「さぼりじゃないから、休暇だよ。今日は…」
『暗に認めたよ…いつもはさぞりだと…部下の人かわいそ…』
海軍と海賊、普段は敵同士の二人は何故か隣同士に浜辺に座り話を始めた。
『てゆーか、何座ってんだよ!!』
「え?ほら、今日は俺休暇だからさ。害のない賞金首には興味ねぇのよ。それにここ無人島よ?害になりようもないでしょ?俺しかいないんだから、てわけでさ。今夜どう?」
『てめぇ、何をちょっとそれとってみたいに、人口説こうとしてんの…』
「ありゃ、ダメか…」
『全く、それでも大将かっつーの…』
「俺の正義は"だらけきった正義"だからね」
『誇らしげに言わないでよ。まぁ、あんたの事は嫌いじゃないから別に構わないけど』
「え?何?それ告白?」
『あんた、脳みそどうにかしてきなよ…』
「ひどいなぁ…。ところで、ルカちゃんて白ひげの誰かと出来てたりしないの?」
『はぁ?急に何?別に期待してるよーな甘い関係誰ともなってないよ…今はそんな暇ないし』
「えー、本当にー?じゃあ、俺立候補しちゃおうかなぁ?」
『どこの世界に敵同士で恋人にのる奴いんのよ…』
「えー、許されぬ恋とか燃えるじゃん」
『燃えて溶けてしまえ』
「ひど…」
『捕まえる気ないなら、あたしもう行くよ。充分休んだし。付き合ってくれてありがと』
「付き合ってもらったのは、こっちだよー。ありがとね、この先怪しい雲あったから、気を付けてな」
だるそうにひらひらと手を振ると、青雉は大きな体を浜辺に横たえた。
『たく、読めない男だよ…。じゃあね』
そう言って、リュックを背負うと酒樽につけられた縄をもつとルカは浜辺を飛び立った。
「結構本気だったんだけどな…燃える恋…」
束の間の会瀬
(だーー!!やっとついた!!ただいまっ!!)
(お!!ルカおかえりー!!)
(親父さん、はいっ!!お酒!!)
(悪かったな)
(いいよー!!でも酒樽は今度からマルコに行かせてよ!!会わなくもいい奴に会ったから!!)
(俺は忙しいんだよい。まぁ、悪かったない)
(で、お前誰に会ったんだよ)
(ん?あぁ、サッチいたの?)
(おまっ!!まぁ、いい。で?)
(休憩がてら無人島に降りたら、青雉がきたー)
(はぁ!?お前無事だったのか?怪我は!?)
(今日は休暇だからって話して、別れた)
(あいつ…それでいいのかよ…)
(いんじゃない?本人がいいなら)
(つか、お前何話したんだよ?あいつと…)
(無人島にいた理由とか、あと白ひげの誰かとできてないの?って聞かれたな)
(はぁ?なんだよ、それ)
(お前口説かれなかったのかよい?)
(あぁ、そういや。敵同士の恋は燃えるって)
((口説かれてる…))
(グララララ。あの小僧あとで挨拶しとくか)
(なんだ?寒気が…)
(大将!!見つけましたよ!!休暇は書類を片付けたらと元帥から言われてましたよね!!)
(え、そうだっけ?)
(大将っ!!)
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