savior-15




世界政府専用航路、"タライ海流"を進むルフィとライ達の乗る軍艦上。

「イナズマはここでリタイアさせましょ う」

「そんなに毒が進行を?」

イワンコフの言葉に心配そうに眉を落とすニューカマー軍団達。
横たわるイナズマは顔色も悪く、全身に包帯を巻かれている。
「ヴァターシも自分の受けた一種類の毒 は "治癒ホルモン"と"テンションホルモン"で吹き飛ばしたけれど。片や寿命を縮め 、片や後に激しい後遺症を伴う力技…できる事なら時間をかけて真っ当に回復するに越した事はないんだよ。1度削れた寿命は絶対に戻らナブル!!イナズマは"革命軍"に必要なニューカマー。今はまだ体を酷使する時じゃナショナブル!」

甲板では、ルフィをはじめMr.2を思って涙する面々が揃っていた。

「考えてみれば…悪いヤツでもなかったガネ…」

「せっかくまた会えたのに ……また助けられちまった…」

「ボンちゃーーーん!!」

「ボン兄ぃぃいぃ!!」

泣きながらMr.2を呼ぶニューカマー達もいる。
それをライは見張り台のあるメインマストから見下ろす。

『………。』

言葉を発する事なく顔を上げて見据えるのはまだ見えぬ海軍本部。
真剣な顔で只ひたすらに前だけを見ていた。
今頃、海底を同じ様に海軍本部へと向かっているだろう愛する家族とその時を海軍本部で待っている愛する弟を思う。

『(もうすぐ、会えるよ…。必ず運命は変えてみせるから…)』

そっと瞼を閉じて見えるのは愛する家族達の笑顔。
瞼を開いて海を見渡すと笑みを浮かべる。
と、下が何やら騒がしくなり船上へと身を乗り出すと…ルフィの拳がバギーの顔面へとクリーンヒットした瞬間だった。

「ブロっ!!?」

「まだボンちゃんが死んだとは決まってねぇだろうが!!このデカッ鼻ぁ!!」

吹っ飛び、鼻血を流すバギーを見てライが見張り台から飛び降りルフィの隣に着地する。

「酒のせいでよく血が吹き出る………って!?誰がデカッ鼻だクラァ!?」

鼻血を流しながら、鼻について言ったルフィの言葉に食いつきルフィへと掴みかかるバギーだったが。

「赤っ鼻で丸っ鼻でアホっ鼻だお前なんかっ!!」

『ついでに言えば、クソっ鼻もありだな』

目の前でルフィとバギーが額をあわせて睨みあっている所にライが笑顔で爆弾を更に投下する。

「てめぇっ!!ちょーっと顔がいいからってふざけんじゃねぇぞ!!」

ルフィと胸ぐらを掴み合いながらライへと顔を向けて文句を言ったバギーに歩み寄るライ。

『悪いな?顔がよくて…なんならお前の鼻ぶん殴ってもう少しマシにしてやろっか?』

ボキボキと拳を鳴らしながら笑顔を浮かべたライにバギーは謝る。

『全く。謝るなら無駄に喧嘩売るんじゃねぇよ。面倒くさい…』

そう言って背を向けた背後で、売ったのはあの兄ちゃんだよな?と言う声を聞いて内心納得しながら、ジンベイの元へと歩いていくと。

「魚と話しができるってのは… あれァ"人魚族"の特殊能力だと思ってたが… お前がサメを呼べるとはな…」

クロコダイルと話をしていたらしく、ジンベイの隣まで足を進めてその話に耳を傾ける。

「魚人が魚と仲良くしてはおかしいか?」

「…まァ、常識外れではあるな。粗暴な種族のハミ出し者ってとこか…」
「それは褒め言葉と受け取ろう。 魚人が粗暴というのも否定できん」

そこへ、バギーとの喧嘩を終えたルフィもジンベイの側へやって来た。

「!ルフィ君にライ君。」

「ん?」

ルフィが応え、ライはジンベイを見上げる。

「お前さん達にゃあ、今回エースさん救出のチャンスを貰った…深い恩ができたのう…」

「そういうのやめろよ。キリがねェ…。おれだって心強いんだ。お前ホントに強ェんだな!」

ルフィの返答にジンベエは内心で呟く。

「(今回の事以前に…… お前さんにゃあ感謝と謝罪の気持ちがあるが…今はよそう。今、目的は一つ…)わしは七武海をやっとったが、もう称号剥奪は確実じゃ!!思う存分"海軍本部"で暴れてやろう!オカマ君の想いにも応え…必ずやエースさんを救出するんじゃ!!」

ジンベイの言葉にルフィと何故かバギーが驚き声をあげる。

『…………うるさい』

ルフィの隣で両手で耳を塞ぎ迷惑そうに顔を歪めるライ。

「おいおい!?お前"七武海"だったのかっ!?じゃあ強ェわけじゃんよ!!」

『……むしろ知らないお前にびっくりだよ…』

「すまん、自己紹介が遅れた」

『ジンベイ謝る必要ないと思うぜ…』

謝ったジンベイにそう話しかけた時、バギーが声をあげた。

「おい!?"海軍本部"ってのは何だ!?まさかこの船"海軍本部"へ向かってんじゃねェだろうな?"白ひげ"と"海軍"の戦争の事知らねェわけじゃあるめェお前ら!!」

そのバギーの怒声にニューカマーではない普通の脱獄囚達がざわめきだす。
そんな彼等に落ち着いたままのクロコダイルが口を開いた。

「今更何を言ってる。鈍いお前らが悪いんだ」

「何を!?」

「"正義の門"から出た時点で行き先は"海軍本部"か"エニエス・ロビー"の他にない。今艦が乗ってるのは政府専用"タライ海流"政府の三大機関を結ぶ巨大な渦だ。もとよりおれ達はその"戦争"に用があって脱獄したんだ」

『クロコダイルの言う通りだ。それにお前ら、俺らの目的が火拳だって知ってただろ?今さら言ったとこでおせぇよ』




嵐の前の静けさならぬ、賑やかさ…

(まぁ、知ってようが知らなかろーが。知ったこっちゃねぇけどな?)
(てめぇは、ホントに性格がひん曲がってやがんな!?)
(……それ、俺のチャームポイント)
(誉めてねぇよっ!!)

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