travel-09
シャンクス達、赤髪海賊団の宴が可愛く見える…
1600人は伊達じゃないね…
入り乱れてんよ…
ここはどこだ…
あのあと、島にはまだ当分停泊をするらしく。
酒を搬入し終えると、待ってましたとばかりに宴が始まった。
宴の始まりに、白ひげ…親父さんからあたしの紹介がされて。
そのあとから、この騒ぎに一転した。
まぁ、ほとんどの船員があたしを警戒してるけど。
小娘一人に出し抜かれるわけはないって思ってるのか、思う存分宴を楽しんでるらしい。
そんななかでも、やっぱり隊長さん達は格が違うとゆーのか。
皆、近寄りもしないのに。
平然と話しかけてくる。
「ねぇ、僕12番隊隊長のハルタ!!ルカでいいよね?これからよろしくね!!」
『あぁ、はぁ。』
「アハハ。何?その返事!!別に取って食おうなんて思ってないよ?ただはじっこで呑んでるからつまんなそーだなって思ってさ♪ルカの事教えてよ!!」
「ハルタ、あんまりがっついて話しかけるとルカが驚いちまうだろぅ」
「あ、イゾウ!!別にがっついてるわけじゃないしー!!」
「そらぁ、悪かったなぁ」
怠そうに、着物を羽織り艶っぽい笑みを浮かべ寄ってきたのは、16番隊隊長のイゾウだ。
(何?この男のくせに溢れでちゃってる色気は…なんか負けた…)
「ん?どうした?そうだ。俺はイゾウ。16番隊の隊長をしてる。よろしくな」
にっこりと今度は妖しげな笑みを浮かべ、手を差し出された…
なんだ、握手か?この色気魔神め!!
その手からその色気吸いとれないかな?
なんて思いながら、手を出し握手をした。
『アマクサルカです。よろしく』
そう愛想笑いを浮かべてみた。
こんな風にさっきから、隊長さん達がこぞって挨拶にきてくれる。
他の船員とは違うのがここだ。
害のなさそうな笑みを浮かべ、まるであたしに警告するみたいに、見定めてる。
あたしが、敵となるか。味方となるか。
打ち解けたみたいに見せてその根底には警戒を纏っていて。
だから、そんななかにいてあたしだって警戒を解けるわけもない。
どうせ警戒するなら、マルコみたいに嫌悪感とか全てをさらけだしてくれたほうが断然気持ちいい。
って別にあたしMじゃないんだからね!!
って一人うんうん思い悩んでると。
「ルカちゃん!!」
大きな声を出して、片手にお皿、もう片方には酒瓶をもってサッチが来た。
あぁ、ここにはバカ正直に信頼をさらけ出すアホがいた。
飽きれ笑いをこぼし問いかける。
『サッチさん。やかましいです。で、なんですか?』
「さっきから酒ばっかで、飯食ってなさそうだからさ!!持ってきたんだよ♪」
『あ、そうでしたか?ありがとうございます♪』
「お礼ならほっぺにキスでも…」
言った瞬間サッチの頭に拳が落ちてきた…
その拳の正体は言わずもがな、マルコさんで。
「バカな事言ってんじゃねぇよい。気色わりぃ。おい、できあがっちまう前に部屋案内してやる。こいよい」
『そらどーも。じゃあ、お願いいたします。バナナさん?』
「喧嘩売ってんのかい?買ってやってもいいが、殺さねぇ自信がねぇない」
なんか無性に虫の居所の悪かったあたしは、マルコさんに随分な口をきいたらしい。
『殺されると色々困るし、あたしも間違えて殺しちゃうかもしれないんでやめときます』
にーっこりと笑って言葉を返す。
あたしとマルコさんの間にはばっちばちな火花が飛んでいた。
部屋に案内され、宴の様子も考えて一旦宿へと戻ることにした。
親父さんにもそう告げ、まだ早いが宴の場をあとにさせてもらった。
そう簡単にうけいれてもらえるなんて甘い考えを持っていたわけではない。
それでもやっぱり。
自分の世界を切り離されて、この世界に堕ちてきて、家族も友人もろくにいないあたしにとって、お互いを家族と呼びあう彼等を探し、信頼しあって生きる事が。
何よりも、この世界にきてからの生きる糧になっていたのは確かで。
憧れ、恋い焦がれた彼等に警戒される事がこんなにきついとは思いもしなかった。
やっぱりシャンクス達がちょっぴり異常だったのかな。なんて自嘲めいた笑いを溢しながら宿へ続く道を進んでいた。
交わらぬ線
(なぁ、あの態度はあんまりじゃねぇ?)
(今は好きなようにさせとけ。いずれあいつの事が理解できらぁ)
(なんか抱えてる気すんだよ…)
(だろうなぁ。だが、あいつは話す気がないらしいからなぁ。そのうち、話す気になったら、聞いてやりゃいい話だ)
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