rode-46
時は少し遡り、ここは新世界のとある海上。
モビー・ディックは今、赤髪海賊団を迎えようとしていた。
「赤髪が来たぞーっ!!」
「…赤髪を迎えますっ!!」
船員の声を聞き座っていたマルコが立ち上がる。
「…わけぇ衆は下がってろい。身がもたねぇぞい」
「下手な怪我したくなきゃあ、マルコの言う通りにしとけよぉー?」
緊迫した空気の中で、本来ならいる筈のなかったサッチの声が響く。
「怪我?身がもたねぇってのは一体?」
「いいから奥に行ってろいっての…あー…もう手遅れかい…」
首を掻きながらバタバタと倒れていく船員を見てマルコが1つため息を溢す。
「相変わらずすげぇ覇気だ。あいつの前では生半可な覚悟では立つ事さえ許されない…」
マルコ達の少し後ろにいたジョズか溢す。
「失礼。敵船につき少々威嚇した」
そう言って足を止めたシャンクスは前方にいる白ひげを見上げた。
「てめぇの面ァ見てると昔あの野郎からうけた傷が疼きやがる」
「療治の水を持参した。戦闘の意志はない、話し合いたい事があるんだ」
「覇気を剥き出しにして言う男の言い草か、バカ野郎。グラララララ…」
「おい!!赤髪てめぇ何してくれてんだい!!」
「お!マルコ久しぶりだなぁ!お前、いい加減うちにこないか?」
「お断りだよい」
そうマルコと通例のやり取りを終えると再度白ひげを見上げる。
「2人きりで話がしたい。人払いを頼む」
シャンクスのその言葉に異議を唱えたマルコ達をたしなめ、下がる様に話すと渋々といった形でマルコ達はその場をあとにした。
そうして、その場に座り込むとシャンクスは眼前の大きな盃に酒を満たすと白ひげへ放り渡す。
それを受け取った白ひげが酒を煽ると口を開いた。
「西の海の酒だな…あまり上等じゃねぇだろ…」
「世界中の海を回ったが…肌に染みた水からつくった酒を越えるものはない。おれの故郷の酒だ、飲んでくれっ!!」
そう笑顔で言ったシャンクスを一蹴すると再度酒を煽る。
「こないだ来たのは…ルカの弔いに来た時だったかぁ…?」
「あぁ…半年程前だ。新聞を持ってベンが部屋に駆け込んできた時は何事かと驚いたが…惜しい奴を失ったな…」
暫し、思い出話を繰り広げると白ひげが核心に触れる。
「それで、何のようだ?」
「あぁ。白ひげ…おれは色んな戦いを越えて数々の傷を負ってきた…が、今…!!疼くのはこの傷だ…」
そう言ってシャンクスが指差したのは額から頬にかけて深く刻まれた3本の傷痕。
「これは、ティーチに負わされた傷だ。おれは何も油断などしていなかった。おれが言いたい事がわかるか!?白ひげっ!!あいつはずっと機を待っていた…隊長の座にもつかず、名もあげず、自分を隠し。今まで"白ひげ"というデカイ名の陰に潜んでいたんだ!」
シャンクスがそう捲し立てる。
「そして力を得て動き出した。最終的には頂点を狙って来るぞ、自分の意志でっ!いずれお前の座をも奪いにくる!!」
ティーチの危険性をそう告げたシャンクスをじろりと見下ろす白ひげ。
「…何が言いてぇ」
「エースを止めてくれ。この船で隊長を任される程の力の持ち主だ…エースの強さもその力もわかっているつもりさ。だが、まだその時じゃぁない。"黒ひげ"ティーチから手を引け。たったそれだけの頼みだ…」
そう告げたシャンクスを一蹴すると白ひげが笑い出す。
「グラララララ…。ハナタレボーズが何を言うかと思えば。笑わせる…」
酒を床へと下ろすと静かに語り出す。
「あいつぁこの船で唯一の掟を破り、ルカを殺して逃げやがった。おめぇも知ってるだろ?おれがどれだけあいつを可愛がっていたか。この船に乗り込む奴は皆おれの可愛い子供達だ。だが、あいつはほかの娘達とは違い武器を持って俺らと供にこの海で戦ってきた。あいつも俺らも、いつ死ぬかわからねぇ事を常に覚悟はしてきた。それでも、ルカを少しでもそんな危険から遠ざけようとおれも息子達もあいつを守りながら生きたきたつもりだ。おれにとっても、息子達にとってもそれほどまでにあいつは大事で守らなきゃあならねぇ家族だった。それを、こんな形で終わらされたんだ。人には欠いちゃあならねぇ、仁義ってもんがあらぁ。それをティーチのバカに教えてやるのが俺の責任だろうがよっ!」
「確かに!ルカの事は残念だった!だが、あいつがそんな事望むと思うのか!?誰にも止められなくなるぞ、暴走するこの時代を!!」
向かい合い酒をのんでいた二人が武器に手を伸ばす。
「恐れるに足らん!!おれァ白ひげだあっ!!」
白ひげとシャンクスの武器がぶつかり合う。
それは衝撃波となり空が割れた。
「何かの交渉が決裂したみたいだない…」
「あぁ、空が割れた…」
「今頃、ルカがあぶなっ!!?とか言ってるかもなぁ」
そのサッチの言葉に一瞬目を見張ったマルコ達はにやりと口角をあげる。
「…そうだなぃ。怒ってる、かもな…」
そして時は現在に戻り、ここはW7。
街を走るのは、フランキーの一張羅であるパンツを握り締めたフランキー一家達面々。
「おいっ!こるぅらーー!待ちやがれー!」
「あにきぃーー!すんませーん!!」
そこに現れたのは、
『たくっ!触れたくもねぇが、渡せっ!!』
平行して飛ぶライの姿にパンツを投げ渡すと、グローブを嵌めていた手でそれを受けとる。
『くそー!何故にお小遣いで買ったおニューのグローブをこんな事で使わなきゃならねんだっ!!』
「てめぇ!!失礼だぞっ!俺のパンツは汚くねぇっ!!」
『んなわけあるかよっ!あほんだらっ!!』
そう言い合いをしながら、攻撃してくるフランキーから逃げる。
「おい!ライ!渡せっ!!」
『おっせぇよ!ルフィ!!おれは1秒でもこのパンツを早く手放してぇんだよ!』
そう言ってルフィにフランキーの一張羅を投げ渡す。
そして、逃げるルフィに追うフランキーを見送る。
『たく。なーんで、このおいかけっこに参加しなきゃなんだよ…勘弁してよ…!!』
多少ルカに戻りつつもぷりぷり怒りながら、裏町へと戻っていった。
迫りくる時代の波
(いい船だ!ありがとう!フランキー!)
(当たり前だ!だが、お前それ返しやがれ!)
((裏町まで飛んでけ!!この変態やろう!!))
(チョッパー!!捕まれ!追うぞ!!)
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