travel-06



あの島から始まったあたしの冒険は、随分と波乱万丈なモノとして刻まれてしまったようだ…。



海賊に占拠された島を救い、海軍大佐の私利私欲にまみれた統制に苦しめられている街を救い、山賊に襲われてる人々を救い。

はたまた航海中に売られた海賊や海軍からの喧嘩を高値で買取り、返り討ちにしていたら賞金額が右肩上がり。

今その結果がルカの手にある。
難しい顔で視線を下ろす。

wonted

堕天使 アマクサ ルカ
350000000ベリー


海軍が必死で手に入れた写真は、お世辞にもいいとは言えない程酷く。
ルカは額に手を当ててため息をついた。


『賞金あげて、名を挙げようとは思ってたけど…こんな凶悪そうな顔はしてないよ…あたし』


そう呟いて再度見た手配書の中央にあるのは、返り血を浴びて冷笑を浮かべたルカの写真。

もう一度溜息をつきながら手配書をテーブルに置き、今度は新聞を手にとる。

そこには


"堕天使の奇行 彼女の思惑は!!?"


なんて言う、反応しずらい見出しに更に重くなるため息を吐きながら、新聞に目を通しているとひとつの記事に目が止まった。


"火拳のエース 七武海の勧誘蹴る"


その記事を見てルカは笑みを浮かべた。


『とうとう来たか、火拳のエース。これ又悪そうな顔だねぇ。……エースが出て来たなら…あたしも本腰入れて動き出さないとね。間に合わなくなっちゃう。でも、あの島がそうだし。上手い事いけば、一気に目的に近付ける。この広い海探すより効率的でしょ!』


あたし、あったまいー!、そう声を弾ませながら立ち上がると遠くに見える島影を一蹴し、船内へと足を向けた。


仮にもお尋ね物であるルカは入り江に船を止めると、頭からローブを被り意気揚々と街へ足を勧めた。
と、街が随分と賑やかな事に気が付いた。
それに首を傾げたが、まずは、と情報収集と腹拵えの為1件の店に入った。


「いらっしゃい」

『おじさん、なんかご飯と飲み物お願い』

「わかったよ。好きなとこにかけて待っててくれ」


そう言われカウンターに腰掛けると店主へ話をふった。


『ねぇ、随分と賑やかだけど?何かあるの?』

「ん?旅の人かい?」

『うん、そんなとこ』

「この島は白ひげの領地でね。他の海賊や山賊、荒くれ者からその名前で島を守ってくれてんだ。その代わりにこの島名物の酒を安く譲っていてね。それで明日白ひげがこの島にくるってぇから、その準備で町中が大忙しってわけだ。なんせ1600人の大所帯だからねえ。そら、出来たぞっ!」


話しながらも手を動かしていた店主がカウンターにゴトンと音をたてて、皿とコップを置いて笑った。


『ありがとう。いただきまーす!』

「おっと、気付かなくて悪かったな、ローブを預かるよ?」

『ん?あぁ、お願い!』


そう言ってローブを取り、店主に渡すと、ルカの顔を見た店主は驚いた顔をした。


「おや!今話題の堕天使さんだったかい!他の島じゃ随分暴れてたみたいだが、この島じゃ事件もないから暇だろう?」

『そんなことないですって、そんな見境なく動いてる訳ではないし。好きですよ?この雰囲気』

「そうかい?ならよかった。この島は海軍もいないし、ゆっくり過ごすといい。」

『そうさせてもらいます』


店主と談笑しながら食事をとり、少し話をすると宿をまだ取ってない事に気付いたルカは、金と礼をして店を後にした。

少し歩き回り宿を見つけたルカは、部屋をとると早めに休もうとベットに入った。

航海からの疲れで早々に眠りに落ちた。



次の日。

賑やかな喧騒に目を醒ますと外の様子を見る為にぼんやりとしながら、ベットから出ると窓を開けた。

真っ青な空に陽が差し、のどかな雰囲気の中に屈強な肉体に同じマークを刻んだ男達が街を行き交っていた。
それをボーッとまだ寝惚けながら眺めていると突如下から声を掛けられた。


「あーっ!綺麗なお姉ちゃん発見!ねぇ、よかったら一緒にお茶でもしない??」


掛けられた言葉に視線を向けた先には立派なリーゼントをしたがたいのいい男。


『(4番隊の隊長サッチ…)』


クスっと笑い返事をする。


『いいけど、今起きたから少し待っててくれる?』

「えっ!まぢで!?いいの?」

『何?嫌ならいいけど』

「いや、断られるかと思ってたからさ、待ってるからゆっくり降りといでよ!」

『ん、わかった。ちょっと待ってて』


にっこり笑みを浮かべて手を振ると、窓から引っ込み洗面所に向かい顔を洗い歯を磨く。

そして、軽く化粧を済ませてからタンクトップにショートパンツ、ネックレスを首から提げると、ショートブーツを履いて足取り軽く部屋を後にした。



始まる物語

((どっかで見た気すんだよなぁー))
(……?サッチ、お前こんなとこで何してんだよぃ)
(あぁ、マルコか…俺はこれからデートなんだ。邪魔すんなよな!)
(お前に引っ掛かる女がいんのかい?どんな女だよい…)
(すっげえー美人の姉ちゃん!でもどっかで見た気すんだよ。どこだったかなぁ…)
(んだとっ!?おい、俺も一緒に待つよい)
(はぁっ!?邪魔すんなって言っただろ!大丈夫だからどっか行けよ!)
(その女見たら行くよい)
(はぁっ!!?何でだよっ!)

((おぉー生で聞いちゃったよ…サッチとマルコのやりとり。やばにやついちゃう!))



2014/03/19 加筆修正



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