rode-33
『うし。ロビンは…と』
見聞色の覇気でロビンの気配を探る。
と、いくつかの気配と共に見つけたロビンの気配にその場へと飛ぶ。
上空へ到達して見下ろすと、それは1件の宿。
メリーを出る際に持ち出したローブを羽織り、キャップを深く被ると気配をたちある部屋のベランダへと降り立つ。
室内は暗く、カーテンの影に隠れて室内を探ると外からの夕日に照らされる様に椅子に座るロビン。
その対面には、ロブ・ルッチ。
背後にブルーノ、カク、カリファが立っている。
「私を除く麦わら海賊団7人が無事にこの島を出港する事。これが守られるなら、私はあなた達と行くわ…」
「わかった。それは守ろう」
ロビンとルッチの会話が進み、アイスバーグ暗殺の計画が説明される。
そして、それをルフィ達に容疑がかけられる事も全てロビンは了承した。
が、ライが見たロビンの顔をひどく歪んでいた。
そして、月も登りきった頃。
ロビン達は宿の一室を後にしたのだった。
それを確認したライも又闇に紛れてメリーの元へと戻る。
そこでは、大きな爆発音と共にルフィとウソップの決闘に決着がついたところであった。
『よう。終わったのか?』
無表情でそう告げたライに全員が視線を向け頷く。
そこへルフィが船へ向かってきてポツリと溢した。
「………重いっっ…!」
顔を麦わら帽子で隠し、わずかに見える頬には涙が伝う。
「それがキャプテンだろ。シャキッとしろ、ルフィ。お前がフラフラしてたら俺らは何を信じりゃいいんだ」
静かにゾロが告げる。
「船を明け渡そう。俺らはもうこの船には戻れねぇから」
苦渋の表情を浮かべて荷物を運び出すルフィ達と共に宿へつくと、ナミがライに話しかけた。
「…ロビンは……」
少し震えている声にライがナミの頭を軽く撫でてから答える。
『わりぃ…見つからなかった。また、休んで明日空から探してみるからよ?』
ニコリと笑いかけたライに頷いてナミは部屋へと入る。
それ以外の男達は各々が部屋に入らず、外で時間を過ごす。
屋上へ出ると、ルフィが夜の街を眺めながら座っていた。
ルフィに歩みよりその隣に立つとルフィが話しかけた。
「なぁ、ライ。これでよかったのかな?」
『さぁな?いいかわるいかなんて、今決める事じゃねぇだろ?今よりもっときつい決断をしなきゃいけない時だってある。別れたくなくても別れがやってくる時もある。でも、いつか絶対に笑い話になる日が来る事も確かだ。それが、海賊だろ?楽しい、面白い事ばっかじゃ、人は強くなんかなれないって事だよ…』
「…あぁ」
『じゃあ、俺は部屋戻るぞ?明日は朝からロビン捜索だからな…』
「わかった…」
その後、メリーにいるウソップの元に飛んだライ。
『怪我は大丈夫か?』
突如現れたライに驚きを見せつつもウソップが声を荒げる。
「んだよっ!同情か!?そんなもんいらねぇから早く帰れよっ!」
『別に同情なんかしてねぇよ。純粋に怪我を心配して来ただけだ。男の決断だろ?同情する理由がねぇもん。けど、お前も難儀な奴だよな?まぁ、それ以上怪我増やさねぇこった。じゃあな…』
そう言って、嵐のようにメリーを去ると宿の一室へ戻り、窓際に椅子をおくと座り外を眺めた。
その日、ルフィ達は誰1人ベットに入る事はなかった。
翌日。
朝からナミにどつかれロビン捜索に駆り出されたライが休憩をしに宿の屋上へ降り立つと夜と同じ場所で街を眺めていたルフィに苦笑いを浮かべて話しかけた。
『まぁだ。ここにいたのか?』
「ん?あぁライか。わりぃ。ロビンは?」
『いや見つからなかった…』
少しだけ、暗い顔を見せたライに背を向けていたルフィは気付かない。
そこへナミが慌てた様子で走り込んできた。
「ルフィ!!大変よ!?アイスバーグさんが昨日の夜何者かに殺されそうになったとかで!!大怪我したらしいわ!」
「アイスのおっさんが!?」
昨日の事もあるが、アイスバーグを心配したルフィはアイスバーグの元に向かう事にし、宿をナミを連れて飛び出して行った。
それを確認したライは朝から同じくロビンを探しに出たサンジとチョッパーを覇気で探すと2人のいる場所へと飛んだ。
全てを欺く事の罪悪感
(知りながら、止める事もしない。)
(その事実を知ったら、お前らはどうするんだろうな?)
(でも、全ては愛する家族の為…)
(出来る限り、話を逸らさぬ為…)
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