rode-28
「凍った俺のマネっ!!」
甲板に響くルフィの声とバカ笑いするウソップとチョッパーの声にうっすらと笑みを浮かべ、海を眺めるライ。
「たくっ…あいつ死にかけたくせによくやるわ…ライ、何してるの?」
そんなルフィに呆れながらぼやくとライに声をかけたナミ。
『ん?別に?ただ海を見てただけだよ』
笑顔で答える。
「そういえば…ライはいっつも海見てるわよね?」
『あぁ、好きなんだ。海が…』
そう慈しむような笑みを浮かべ答えたライにナミは少したじろぐ。
「四六時中海の上にいるのに、よく飽きないわね?」
『まぁね?俺の恋した相手だからねぇ』
答えながら、兄弟が初めて海を眺める自分に問いかけた時の事を思い出す。
【お前、そんないつも海見てっけど。何かあんのかよ?】
そう問いかけた弟に、理由を話すと少しだけ悲しそうな顔したあとに笑顔を浮かべて
【届くといいな!いつか】
【この海に生きる俺らもいかしてるだろ!?】
遠い日の記憶に顔を綻ばせるライにナミは不思議そうな顔をする。それに気付いたライが慌てて言い募る。
『あ、悪い。実はな、弟……いや、兄弟にも同じ事聞かれてさ…思い出したんだ…』
「ふーん。でも、あんたいつもそんな顔してればいいのにね?」
『……?そんな顔?』
「そっ。兄弟の事?思い出してる時の顔。凄く優しそうな、見てるこっちまで暖かくなるような笑顔してたわよ?」
本当に大切なのね?そう告げたナミに目を丸くすると、クツクツと笑いだした。
「何?どうしたのよ?」
『いや、そうか…そんな顔してたか…俺。大切だね…凄く。何に変えても守りたいと思える位には…』
「いいことじゃない。家族をそこまで愛せるなんてさ」
『そうだな』
「ナッミすわぁーーん!」
トレンチ片手に走りよってきたサンジに2人が視線を向けるとナミの前に辿り着いたサンジが告げる。
「本日のおやつじゃがいものパイユです…」
そう言ってナミにおやつを渡すサンジにライが声をかける。
『サンジ、聞くだけ無駄だろうけど俺のは?』
「てめぇのは、キッチンだ!自分で取ってこい」
『…ですよねぇー。だと思ったよ…』
ぼやきながら船首甲板をおりだすと、背後でナミが声を上げる。
「あ、これおいしーい!」
その声に即座に反応したのはやはりルフィ。
「あ!サンジ!俺の分は!?」
「おめぇらのもキッチンだ!自分で取ってこいよっ!」
その声に走り去っていったルフィ達を見て、ライは笑みを溢す。
「ライー!ライの分も持ってきたぞー!」
そう言って皿を2つ持ってきたのはチョッパー。
『お、サンキューな!俺も今取りにいこうとしてたんだ』
お礼と共に頭を撫でて皿を受けとる。
キッチン近くの柵に並んで座っているルフィとウソップから声があがる。
「うっめぇー!これうめぇぞっ!」
『美味しいらしいぞ?俺食べきらねぇから、俺の分半分食べてくれるか?』
「い、いいのかっ!?」
『あぁ、食べようぜ』
船首甲板への階段に座り、チョッパーと並んで食べる。
それを船首甲板から見ていたナミとサンジ。
「ライはチョッパーに甘いわねぇ」
「えぇ、随分と可愛がってますからね」
微笑ましくそんな二人の姿を見ていると、ラウンジの扉が開きロビンが現れた。
「「「ロビンっ!!」」」
「ロビン!もう起きていいの!?」
「えぇ、もう随分気分もいいわ」
「本当に大丈夫!?同じ目にあったルフィがやたら元気だから気が引けちゃうかもしれないけど…こいつの生命力がおかしいだけだからもう少し休んでてもいいのよ!?」
「ありがとう。でも本当にもう大丈夫よ」
「ならいいけど、無理はしないでね?」
心配するナミに笑顔で返すロビン。
「それならロビンちゃん!何か温かいものでも用意しようか!?」
「それじゃあ、コーヒーをお願い」
会話を聞きながらパイユを口に運んでたライに視線を移したロビンに気付いたライが声をかける。
『ナミの言う通りだ。あんま無理すんなよ?』
ニッと笑って言うライにロビンは頷き微笑んだ。
と、突如ゾロが声を上げた。
「ルフィっ!カエルが!カエルがクロールして海を泳いでるぞっ!」
ゾロの声に全員が耳を疑う。
「カエルがクロール?」
「んなわけねぇだろ!?」
全員が口々に否定の言葉を述べながら振り替えると、そこには本当にクロールをして泳ぐカエル。
「って本当だーー!おい、あのカエル捕まえるぞ!」
全員でオールを出し、カエルを追いかけ出す。
それを階段からパイユをいまだに食べながら見ているライ。
『んー…若いねぇ…もぐもぐ』
すると、何かに乗り上げてしまい動かなくなってしまったメリー号。
更に鳴り響きだした音に一同が焦り出す。
「何っ!?何の音!?」
「どうした!?何だよ!これ!」
そんな中でも冷静なライが立ち上がる。
『よっこいせ。たく…お前ら少しは落ち着けよ』
「落ち着いてられるかぁ!?何であんたはそんな冷静なのよっ!?」
『いついかなる時も平常心。じゃなきゃ見えるもんも見えねぇぞ…』
そう言うと、翼を大きく数回羽ばたかせるとそれにより起きた風を頼りにウソップから奪ったオールで水面を思いきり押す。
と、船は外れまた海の上へ。
その瞬間凄まじい速さで通りすぎていく、蒸気機関、パドルシップ。
「あれは…蒸気機関のパドルシップ?でもあんな船見た事も聞いた事もないわ…」
呆然としている全員を前に船首甲板へと登ったライが説明する。
『ありゃぁ、海列車だ…』
「海列車?ライ、知ってるのか?」
ウソップが訪ねる。
『本物見るのは初めてだ。けど、話には聞いた事あるぜ?ほら、駅があるしあそこで話聞いた方が早いんじゃねぇか?』
「あ、本当。一旦あそこで話を聞きましょう」
嵐の前の静けさ
(ばぁちゃーん!!海賊だよ!海賊ー!)
(あー?なんらってぇ!通報しねぇとな!)
(あー、もしもし?………なんだっけ?)
(って酔っぱらいかよ!?)
((やべぇ…リアルココロさんとチムニー、ゴンベだ…つか、なんつーキャラの濃さ…))
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