rode-27




そうして始まった2人の闘いを少し離れた位置から見守るライの顔は苦悶を表していた。

その間もルフィと青雉の攻防は続き、とうとうルフィが凍らされてしまい、闘いは終わった。

「あらら。困ったな…。これで他の奴等に手だしたら俺が野暮ってもんだ…。まさか、それを狙ってたのか?それとも俺に勝つつもりだったのか?…どっちだと思う?ライ君」

『さぁ。推測だが、ルフィは勝つつもりだったんじゃねぇの?作戦なんてそんなもんルフィにはないよ。ただ常に自分に真っ直ぐな奴だ…』

「そう…ねぇ、さっきの覇気。君ほんとに何者?」

『そりゃあ、決まってんだろ』

それまで互いに海を見ていたが、ライの言葉に青雉がライの方を向く。

『俺は、麦わら海賊団の臨時戦闘員…紅の騎士…ライだ!』

言い終えるとライも青雉の顔を見上げる。

「何がなんでも言うつもりはないわけね…まぁ、いいや。今回はこれで、クロコダイル討伐の件とスモーカー…はいいか。チャラって事で、俺は本部に帰るとするよ…」

『あぁ。わかった…』

「ねぇ、ライ君。何を思ってこの海賊団にいるのか知らないけどさ…君の力は海軍にとってかなり問題がある。まさか、前半の海に2つの覇気を完璧に使いこなす野郎がいるなんて…しかもぐんぐんと名を世間に響かせてる海賊団だ。君は海軍の要注意人物に加えておくよ。まさか、俺が吹き飛ばされるなんてね…じゃあね」

去っていく青雉の背中を1つ睨み付けると、ルフィに歩みより肩に担ぐとメリー号のある海岸へと足を進める。

と、向かいからゾロとサンジが駆け寄ってくる。

「ライ!ルフィは!?」

『この通りだ。すぐに船に運ぶ。お前らも捕まれ』

そして、船に戻るとすぐに始まったルフィとロビンの治療をそわそわとしながら甲板で待つナミ、ウソップ、ゾロ、サンジ。
そして、柵に背を預け佇むライ。

そこで、口火を切ったのはサンジだった。

「なぁ、聞いていいか?」

『……何をだ?』

「あいつに俺らの攻撃は1つも効いてなかった…。それなのに、ライ。お前の攻撃だけ、あいつは効いてぶっ飛んだ。どういう事だ?」

「それに……横槍を入れる気はなかったってのはどういう事だ?」

サンジの疑問に続くように口を開いたのはウソップ。
それを聞き終えるとその場にいた全員の顔を見回すとライは1度空を見上げてから正面へと向き直り、口を開いた。

『青雉に攻撃が効いたのは…………………………気合いだ!』


…………………………………………………………。


シーンと静まり返った甲板。
そして、ハッと我に返ったナミが、ずんずんとライに歩みより、拳を振り上げライの頭に落とした。

「気合いでやれたら…誰でもロギアの能力者に勝てるわよっ!そんな事言ってんじゃないわよ!!ばかっ!」

『…いってぇ…。お前、仮にも年上なんだから敬えよ…。そうだなぁ、敢えて言うなら年の功って奴だよ…』

そう言いながら、頭を指差してトントンとこめかみを叩くライに全員が首を傾げる。

それから、ライが次に指差したのはライが船に乗った当初から履いていたブーツ。

「ブーツがどうしたんだよ…」

『忘れたか?スモーカーの十手の先に海楼石…俺のブーツにも仕込まれてんだよ…海楼石がな…?』

ニヤリ笑ったライに全員がなんだ…と納得するが、鋭く反応したのはゾロ。

「あいつを蹴り飛ばしたのがその海楼石が仕込んであるブーツだとして…ウソップが言ってたのはどう説明する気だ?横槍を入れるつもりはなかった…なんてどういう意味だ?」

『あぁ、仮にも俺は居候だろ?お前らの旅に冒険にむやみやたらに立ち入っていいもんじゃあねぇだろ?』

不満げな表情を浮かべつつも、それに納得するしかない。
そんな空気を漂わせたライに全員が渋々納得すると、ラウンジの扉が勢いよく開いた。

「2人の心臓が!!ロビンとルフィの心臓が…動いたぞー!!」

だらだらと涙と鼻水を流しながらそう叫んだチョッパーに全員が声をあげて喜んだ。

サンジに何か暖まるものを作るように指示するチョッパーに、ナミとウソップがチョッパーを褒めあげる。
そんな賑やかな雰囲気の中、ライに近寄るのはゾロだ。

「今までお前の事誰も不思議に思わなかったが…よくよく考えてみりゃあ、俺らはお前の事名前や年齢、やたらと高い戦闘力…それしか知らねぇんだな…」

ゾロが賑わう仲間を見ながらライに話す。
それを聞いたライは、フッと笑いを溢すと続けた。

『今はまだお前らに全部は話せねぇけど、俺は絶対にお前らを裏切ったりしねぇ。それに…そう遠くないさ…お前らに俺の話をするのもな…』

ゾロの目を見据えて告げた。

『…それに。俺さっき青雉に言ったんだぜ?麦わら海賊団の臨時戦闘員だってな!』

「そこは臨時いらねぇーんじゃねぇのか?」

『俺的にはそこが重要だ。でも、臨時とはいえこれで俺も色々吹っ切れた。この船を降りるその日まで…俺はこの船の為に闘う』

「そうかよ…そりゃあ、頼もしいな…俺の稽古の相手も頼むぜ?」

『お前、稽古でも容赦ねぇからやだ』

「手加減してたら稽古の意味ねぇだろ…」

『ハイハイ…ほら、ラウンジ行こうぜ。ルフィとロビンの様子が気になる』

「あ!おい、待てよっ!」

『あ、そうだ。ゾロ…』

突然振り返り真面目な顔を見せたライにゾロが気を引き締めると

『ラウンジはあそこだ…迷子になるなよ!』

ニヤっと笑い、背を向けて歩き出したライにゾロが真っ赤な顔で怒鳴り散らす。

「自分の船で誰が迷子になるかぁー!おいっ!こるぁっ!ライ!待ちやがれっ!!」




去った脅威と決めた覚悟

(何?あいつら外でじゃれてんのよ?)
(さぁ?そんな事よりナミすわぁん!おやつと紅茶だよー!)
(ありがとう)
(あいつら、意外と仲いいよな?)
(同じ様な武器使うからじゃねぇか?)
(そんなもんかしらね?)

((にしても上手い事騙されたな…あいつら。このブーツ、只のブーツなんだけどな!))

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