travel-04



あの宴の日から4日。
とっくに島を出航した彼らは次なる島へと向かって船を進めていた。

そして、ルカは随分と赤髪海賊団に馴染んでいた。


「ゆっくりしていけ!」


そう言っていたシャンクスだったが、乗せて貰っているのにも関わらず、何もしない訳にはいかないと、ルカは新入りの船員に混ざり洗濯や甲板掃除、雑用をこなしながら日々を過ごしていた。

今日も甲板掃除が終わってから、昼食までの時間が開いた為、書庫から本を拝借すると甲板の隅で読み始めた。

読書を始めて随分たった頃、それは起きた。


「敵襲!敵襲ー!!10時の方角から海軍船3隻来てます!」


その声に立ち上がったルカは伝えられた方角に浮かぶ軍艦を捉え、笑みを浮かべた。


『調度暇だったし…参加させて貰おうかな』


呟くと、ルカは船首へと足を向けた。
そこには既に、シャンクスやベン、幹部達に船員が嬉々とした表情で海軍船を見据えていた。


「おぉ!ルカ。お前は隠れていていいぞ」


ニカっと笑顔で言われた言葉に首を振ると、負けない位の笑顔を見せる。


『嫌。あたしも参加するよ。別に海軍にどう思われてもいいしね。………あ、でも赤髪の一員だと思われたら困るな。・・・まぁいっか!!」

「いいのかよっ!!?」


ルカの物言いに、船員達は声を揃える。


『だって、船降りちゃえばわかるでしょ?』

「まぁ、そうだが。危険だぞ?」


心配そうな顔を見せるシャンクスの肩をポンポンと叩くとルカは前に進み出る。


『大丈夫、大丈夫!さて、行こうかな』


そう言うと、背中に翼をだし船首に飛び乗ると、


『やっと、この子使えるよぉ』


そう言って手を添えたネックレスが光り、その姿を変える。

光が納まると、ルカの手には大きな槍が握られていた。
槍の柄の先端からは鎖が伸び、鎖の先には輪がついている。


「ルカそれは?」

『あたしの得物っ!じゃ、先陣行きまーす』


翼を大きく広げ飛び立つと随分近くまで来ていた海軍船へ降り立つ。


「貴様っ!何者だっ!?」


武器を構えて声を荒らげた海兵を一蹴してルカは口角を上げる。


『姓はアマクサ名はルカ。赤髪海賊団の客人でーす。恩返しがてら、潰しにきました』


ニヤニヤと悪い笑みを浮かべ、甲板の中央へ進むとルカは立ち止まった。


「敵陣で随分暢気なものだな、怯むなっ!かかれ!!」

『舐めないでよね』


呟いた瞬間辺りは異様な空気にのまれた。
すると、バタバタと海兵達が泡を吹いて倒れ始めた。


「覇王色の覇気…だとっ…!?」

『だから、言ったでしょ?舐めないでって』


以前その顔に笑みを携えたルカが楽しげな口調で話す。


「中将っ!ほとんどの兵が倒れました!他の船の兵も今のに捲き込まれ戦力が足りません!!」

「なんだとっ!!?」


報告を告げる海兵と中将の間に潜り込むと、中将を見上げてにやりと笑う。


『話してるなんて、随分余裕じゃない?』


そう言うとルカは大きく黒金を一閃した。

中将は薙ぎ飛ばされ、船は一部大破。

休む事なく、ルカは槍を自分を中心に回し始めると柄に着いていた輪が海兵達を攻撃する。

その時やっと接近したレッドフォースから次々に船員が雪崩れ込み勝負は一瞬で決まった。

1隻残し海兵達を流すと、海戦は赤髪海賊団の勝利で終わった。


「ルカーお前強いなぁ!次で降りないで此のまま一緒に行かないか?」

『お誘いは有り難いんだけどさ。あたしやりたい事あるし、乗らない』

「断るの早すぎじゃねぇか!!」

『あたし喉渇いたし、中行くね』

「あ、こらっ!!しかとすんなよ!」


後ろで何か怒鳴っているシャンクスを、クスクス笑いながら船内へと入って行った。



―――――――――――――


海戦から2日。
四六時中シャンクスから勧誘を受け
その度にバッサリと断るルカのやり取りはもはや日常の一部になっていた。


「島が見えたぞー!」


その一声が食堂まで響き、食事中の船員は皆甲板へと走って行く。
そしてルカは、部屋へと戻り荷物を纏めると甲板へ向かった。


「もう行くのか?」

『あそこに停泊する予定ないんでしょ?』

「あぁ。物資を調達したら、すぐに出る」

『なら、あたしはもう行くね。ここまでありがとうございました』


お礼を告げながら深々と頭を下げる。


「これが、今回は最後だ。本当に乗らないのか?」

『うん。やらなきゃいけない事があるから。ごめんなさい。同じ海にいるんだもん、また会えますよ。会ったらまた騒ごうよ、シャンクスさん』


そう言って、シャンクスに笑顔を向ける。


「なら、もうさんはいらない。元々そんな風に呼ばれるのは慣れていないんだ。俺らは友人だ。何かあったら頼るといい。必ず助けになろう。ベン、あれを渡してやれ」


シャンクスの声でベンがルカの前にやってくると腕を取った。


「ほらよ、ログポースだ。無くすんじゃねぇぞ?」


そう珍しく笑みを浮かべながら、ベンはルカの腕にログポースを着けた。


『…ありがとう、ベン、シャンクス。四皇が友人だなんて心強いなぁ。それじゃ、またね!』

「元気でやれよ!!」

「また会おうなっ!」

「体気をつけろよ!」


船員達が次々に告げるなかルカは翼を広げ飛び立つ。


『皆も元気でね!また会おう』


大きく手を振り、離れて行く。


「残念だったなぁ。お頭」

「なーに、諦めてないさ。また会えるんだ。何度だって誘うさ。俺しつこいからなぁ!だーはっはっはっ」

「ルカも質のわりぃのに気に入られたな…」

「あいつが何をしたいのかは、結局教えて貰えなかったが、あいつの便りを待とうじゃねぇーか」

「あぁ、そうだな…」




漆黒の天使は旅立つ
その背に背負うは
己の正義



(島についたらとりあえず船に物資調達)
(あ、酒場で情報収集もか)
(面白くなってきたぞー!)

((また会えるんだ。悲しくても笑顔だ))


2014/03/18 加筆修正

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