rode-21
次なる島へ降り立ったライはまたもや酒場を目指して歩いていた。
新しい島では情報収集のためにまず酒場。
これがいつしか染み付いていた習慣。
『すーっかり板に付いちゃったよな。これも…』
そう呟きながら、見つけた酒場の扉をくぐる。
そして、カウンターに腰をかけて酒と食べ物を注文すると店内を見回す。
『(誰かに会えるのは嬉しいけど…その度に絡まれてたら堪ったもんじゃないもんな…)』
内心、会えたらやはり嬉しいと思うのはこの世界に憧れを抱くものなら誰しも思うだろうが、何分名前の売れている人物というものは性格に一癖も二癖もある者ばかりのこの世界。
やはり面倒は御免だと思うのも仕方のない事なのかもしれない。
「ほい。兄ちゃん!出来たぞ!」
店主にそう言われそちらに視線を戻すと、目の前にはラムの瓶とバーガーとポテト、サラダのプレートが置かれる。
『サンキュっ!うまそうだ!おっさん。この街には有名な賞金首が来てたりするかい?』
「いや、ここ数日はそういう話も、手配書に乗ってる大物も来てないぞ?何だ、兄ちゃん賞金稼ぎか?」
『あー、まぁ。そんなところかな?』
「なら、この街…とゆうか島は外れかもなぁ?」
『ん?何でだ?』
「この街には海軍の駐屯所があるからなぁ。余程腕に覚えのある奴以外はログが貯まるまで隠れちまう。残念だったなぁ?しかも、今はあの海軍の大将が来てる。尚更誰も寄り付かねぇ!」
『た、大将っ!?誰が来てんの?』
「何でも部下がこの街に寄ってるからってわざわざ本部から来たらしい…」
『………青雉か…』
「お、兄ちゃん。よくわかったなぁ!」
『おっさん。ご馳走さま。お代はここにおいとくぜ?』
「ん?あぁ、また来いよ!兄ちゃん」
後ろ手に手を振りながら足早に酒場を後にすると、早歩きで宿へと足を進める。
『(青雉がいるたぁ。タイミング悪すぎんだろ。どうせまたサボりだろ。そういや、部下がどうのって…まさか…なぁ…)』
がぁーん!!
と、突然目の前の壁に突き刺さる十手。
それはライの鼻先すれすれを通っていた。
『あっぶねぇなっ!!てめぇっ!!って…十手!?』
慌てて飛んできた方へ目を向けると、そこにいたのは。
「よう。また会ったな?」
スモーカーとたしぎ。更には青雉までいた。
「スモーカー。こいつ?さっき言ってた男って」
「あぁ。この前半の海にいながら、桁違いの戦闘力を持ちながらそれを隠していやがる。だが、俺らは騙されねぇぞ!お前何者だ!?」
『分がわりぃなぁ。大佐に大将までいられちゃなぁ?何者も何も。俺は俺だぜ?スモーカー君?何を深読みしてるか知らねぇけど、別にお前らの事どうこうしたりする気は更々ねぇよ。俺の邪魔しない限りな』
「へぇー。随分勝ち気な奴だねぇ。嫌いじゃないよ?そういう奴はさ…」
『じゃあ、見逃してくんない?大将さん?俺、平和主義者なのよ?悪さするつもりも、ないしさ。』
「ふーん。だって?どうする?スモーカー?」
「こいつはあの麦わらの船に乗ってる賞金首だ!見逃すわけにはいかねぇな。麦わらはどこにいる!」
『残念でしたぁー。俺今単独行動なのよ!ルフィ達は別のルートを辿ってる。つまり、此島にいんのは俺一人ね。っつーわけで見逃してよ?』
「そうはいかねぇって言ってんだろっ!」
『(参ったなぁ。青雉がいちゃ、能力も使えねぇしなぁ。ばれちゃうかもしんないし。ここは逃げるか!)』
「ホワイトブロウっ!」
迫り来るスモーカーから、ひらりと避けると避けた先にはたしぎが刀を構えて立っている。
『わりぃなっ!姉ちゃんには手ださねぇ主義だ。少しねんねしててくれるか?』
瞬時にたしぎの背後に回り手刀を落とすとたしぎを気絶させる。
『ん?これは手出した内にはいんのかね?まぁ、いっか』
たしぎを民家の壁へ寄りかからせると背後から飛んでくる氷の槍を剣で払う。
「あらら。やるねぇ?兄ちゃん」
『まぁな。これくらい出来ねぇとぶっ飛ばされちゃうからねぇ?じゃ、俺はこれから全力で逃げるからよ!青雉、スモーカー!またなぁ!』
手をふりながら、そう言うと目にも止まらぬ早さで飛びその場を後にしたのだった。
「なんつー早さだ。おい、たしぎ!いつまで寝てやがる!起きろっ!!」
「まさか…ね?もう、キミは死んだ筈だもんな…それに今のは男だったしな…他人の空似か…」
「どうした?」
「ねぇ、スモーカー?俺一応キミの上司なんだけど…」
「敬ってほしけりゃ、さっさと帰って仕事しろ…」
「うわー。ひどいなぁ、スモーカー…せっかく直接報告聞こうと来たのにー」
「さぼりたいだけだろ…」
一方逃げたライはと言うと。
『たく…ついてないなぁ。のんびりしたいだけなのに。』
ぼやきながら宿へとゆっくり歩みを進めていた。と、
『へぇーくしょんっ!!ズズっ。何だ?風邪かな…?』
その頃新世界では、ライの噂がされていた。
「なぁ!マルコ!見たか?新しい手配書!」
「あぁ。見たよい。これの事だろ?」
ぺらりとマルコが見せたのは、紅い髪をかきあげるライの写真が印刷された手配書。
「やたら、むかつく位男前だよな。こいつ。しかも、初頭手配から80000000たぁな…すげぇ奴が出てきたもんだぜ?」
「そうだない。まぁ、エースの弟の船にいるならその内会えるだろうよい」
「それもそうだなっ!早く会いてぇな!エースの弟にもこいつにも!」
「すぐに会えるだろい」
「にしてもよ。こいつ、せっかく綺麗な顔してんのに、顔面がっつり入れて…もったいねぇよな…」
「この顔なら、入れようが入れてなかろうが女にゃ困らねぇだろい」
「俺……取り合えずこいつに会ったら一発殴ろう…」
「逆恨みはみっともないよい…」
「うるせぇっ!」
『はーーくしょい!ほんと何だろう?今日はもうねようかな…』
まさかそんな話をされてるとは露知らず。
風邪を拗らせまいとライ、いやルカは早めにベットに潜り込むのだった。
まさかの再会と噂話
(あー、よく寝たなっ!喉も痛くない!!)
(そろそろ、ロングリングロングランドに向かおうかなぁ?)
(あ、でも。もう1つ位島寄れるよな!)
(うし!エターナルポース探しに行こう)
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