rode-15



目を覚ますとルフィ以外の全員が起きていた。

「ライやっと起きたのねぇ?」

「寝ちまった俺ら運んだんだって?1人で悪かったなぁ!」

「くそ野郎、まりもくれぇ起こしてやれ!」

「それならてめぇもだろ!くそコック!」

「ライ!なかなか目覚まさないから、心配したんだぞっ!」

「ライさん!良かったです!!言ってくだされば兵も手伝わせたのに!!」

それぞれの言葉にふっと笑い

『あぁ、全員は重かったな…』

その言葉にまた全員笑みを浮かべた。

『だけど、これ位なんでもないさ。仲間を運んだだけだから…』

ライの言葉に全員目をあわせると、驚いた顔を見せた後、ふっと笑い

「「「ありがとう」」」

「腹へったーーーー!!」

『いいタイミングだなっ。俺も腹減ったんだ』

「なんだ?お前ら皆して変な顔しやがって」

一人ライの仲間発言を聞きそびれたルフィだけが、耳をほんの少し染めるライを不思議がっていたのだった。

「じゃあ、皆さんご飯にしましょう!アラバスタの自慢の料理沢山食べてください!!」

ビビのその声に頷き、食堂へと移動する面々に混じりライが外を一度眺める。

「ライ、何やってんの?ご飯食べに行くわよ?」

『あぁ、すぐ行く。』

ナミの声に我に帰るとすぐに後を追った。

大きなテーブルにところせましと並べられた料理に一同驚きながら席につく。
場は高級な料理ばかり、でもそこはやはり海賊なのか。
マナーなんて一切関係なしの飲めや食えや歌えやの宴へとすぐに変わっていく。

兵士も女中も混ざりあい笑い合う。

ルフィも皿の料理を片っ端から胃に流し込む。

『うまいな…アラバスタ料理』

「ライさんはグランドラインの出身て?」

『ん?あぁ、育ちは後半の海だ。生まれた場所はもうないからな…』

その言葉に全員が止まる。

「ないってどうゆう事だ?」

『帰れないからな。ないも同然だろ?』

「帰りたいとは思わないの?」

『思うさ。幼い頃の友達もいる。本当の家族もそこにいるんだ。』

「おい、家族と旅してたんだろ?」

『この海に来てからできた家族とな…本当の家族は俺の事は死んだと思ってるさ。でも今も変わらず大事な家族だぜ?どっちの家族も比べられない位にな…』

「ライが自分の事話すなんて…初めてね?」

『話しても支障はないだろう?お前らなら…』

「俺らも!今はお前の家族だかんなっ!」

にかっと笑いながら言うルフィに笑顔を返す。

『あぁ、サンキューな。いつかは家族の元に俺は戻るが。最高の仲間だぜ?お前らは…』

「ねぇ、その顔の刺青は?」

『ここぞとばかりに聞いてきやがるな?』

「それなら、俺も気になるぞ!腕の治療の時、腕のサポーター外したんだ!なんか凄いかっ…」

ダァーン

チョッパーの声を遮るようにジョッキをおくライはいつもより低めの声で


『それ以上言うな。チョッパー以外見てねぇな?』

「あ、あぁ。俺しか見てねぇぞ…」

『なら、いい。腕の刺青は見せるつもりはねぇ。あと、入れてあったものに関しては一切口外すんじゃねぇ。てめぇの命おしけりゃな。腕の治療はこれからいらない。滅多に怪我もしねぇしな。悪かったな。雰囲気悪くして。俺はテラスにいる』


立ち上がるとライはその場を後にしてしまった。

残されたメンバーはそらぞれ困惑を露にした。

「チョッパー、何が書いてあったの?」

「でも、言っちゃいけないって…」

「多分だが、あいつの事を今以上に知るには俺らはそれを聞かなきゃいけないんじゃねぇか?」

「………………。」

「だが、本人が知られたくねぇ事俺らはさぐんのか?」

「あいつは、少しずつ俺らに過去を話してくれてるじゃねぇか!その刺青の事も今はまだ言えなくてもいつかは見せてくれんだろ!その意味も、顔の刺青の事も!…」


テラスでは、空を眺めながら部屋から漏れる声に耳を傾けるライがいた。

『いつか…全部を話すよ。でも、全部終わってからだけどな…』

その日ライは新たに決意する。
優しい彼等の未来もきっとエースを親父さんを助ける事で何かが変わるのだろうと信じて…。

『後で、チョッパーには謝らないとな…こいつをかっこいいって言おうとしてたしな…誇りを誉めてくれようとしたんだもんな…』

その後少し酔いと頭を冷まさせると食堂へ戻ると、すぐにチョッパーが寄ってきた。


『チョッパー、さっきは悪かった。でも、今はまだ話せないし、話す気もない。でも、ここにあるのは俺の誇りだ。それを誉めてくれようとしたよな。ありがとう?』

にこっと笑いながら話しかけたライにチョッパーは目を丸くした後。

「お、おでも、ライの事知りたいってだけで、言い出して悪がっだ!ごべんなっ!でも、かっこいいって思っだのは本当だ!!」

『あぁ、恐がらせて本当に悪かったな…』

チョッパーの頭を乱暴に撫でてから、抱き上げて目線を同じにする。

『だから、仲直り…な?』

チョッパーの涙を拭いてやり、笑顔で話しかけると、チョッパーは抱きつき返しわんわん泣きながら頷いていた。

「仲直りも男前ね…あいつは…相手は小動物なのに、絵になるわ…」

「くす、でも、チョッパー君も嬉しそう。良かったですね?」

「くそ…なんであの野郎はいちいち絵になるんだ…」

「てめぇと違って、男前なんだとよ?」

「てめぇ、まりも!なんか言ったかっ!?」

「そろそろ、楽しい宴はお開きにして風呂なんてどうかな?」

「「「風呂?」」」

「あぁ、広くてな自慢なんだよ!ぜひつかっていってくれ」


そして、男女別れ風呂へ。
勿論ライも男風呂だ。

(ど、どうしよう…取り合えず自分のは見慣れたが他人の…目線を下にしなきゃいんだ!俺は今は………男だ!!)

一人謎の気合いを入れていた…


「「「ひっれぇーーーーー!!!」」」

お子さま組、ルフィ、ウソップ、チョッパーはその広さに目を輝かせ浴槽へと飛び込んでいく。

ゾロ、サンジも広さに驚きながら船では入れない広さを満喫している。

ライもあまり周囲を見ないように浴槽につかり満喫している。

と、そこでコブラが突然土下座をした。

「こ、国王様!!一国の王が土下座など!」

「裸の国王がどこにいる!今はこのアラバスタのただの民だ!父親だ!!国を助けてくれた若者に頭を下げて何が悪い!」

「この国を助け、ビビをここまで連れて来てくれた事、本当に感謝しているっ!ありがとう!君たちがいなければ、今ごろこの国はどうなっていたか…」

「いいよ、俺らはお礼言われたくてやったわけじゃねぇ。クロコダイルをぶっ飛ばしたくてやっただけだ。それに俺らは海賊だからな!シシシ」

全員がルフィとコブラの話に耳を傾ける。

「本当にありがとう」

「お礼と言っちゃ何だがそこから女湯が覗ける!!」

「なぬぅーーー!」

食いついたのはサンジ、そしてゾロとライ*以外の男がよじ登る図はなんとも言えなかった。

『止めとけよ…ナミに法外な値段ふっかけられんぞ…』

「ほっとけ。で?おめぇ、何隠してんだよ?」

『……………』

「そのチョッパーの言ってた刺青もその1つなんだろ?まぁ、言えとは言わねぇが。お前の抱えてるもんもひっくるめてルフィは仲間にしたがってる。いつか話せるなら覚悟決めておく事だな…」

『話す時がくるとしたら、俺がお前らと離れる時だ』

「は、そうかよ。あ、そうだ。船に戻ったら手合わせ位付き合えよ?お前のが剣の腕上みたいだからな…お前の太刀筋見せやがれ」

『はは…、それ位お安いご用だ』

がたがたーん

『あ、鼻血ふいてら…』



そして、その夜ボンクレーからの電伝虫もあり、アラバスタを出る事にした麦わら海賊団は超カルガモ部隊を借り、宮殿を後にした。

そして、東の海岸に12時。
ビビを迎えにくるとも約束をした。

そして、メリーへ戻るとボンクレーとその部下達も共に海へと出発。

陽が昇ると共に海軍の追っ手まで現れ、事態は深刻化していた。

「もうすぐ12時だ!なんとか東の海岸に行くぞ!」

その間も飛んでくる砲弾に苦戦をしいられる面々にボンクレーが叫ぶ。

「ぬぅわーんだって、この状況でんなとこいくのよーぅ!!!」

「仲間迎えに行くんだ!」

「な、か、ま?」

ぷるぷるとしているボンクレーもお構い無しにルフィは叫ぶ。

「急がねぇとあいつがきちまう!!」

「てめぇら!よく聞け!!作戦がある!」

そして、ボンクレーの船が離れ出す。

「ヒナ大佐!一隻離れて行きます」

「どうせ、おとりでしょ」

「それが、そちらの船に麦わら達も乗っているようで!!」

「なんですって!?なら、その船を追いなさい!!麦わらの船が囮よ!」

それまで、陣形を組みルフィ達を追っていたが陣形を崩し、メリーがその隙をついて陣形から外れると、ボンクレーが動き出す。

「…ここで逃げるは、オカマに非ず! !! 命を賭けて友達ダチを迎えに行く友達を ・・・見捨てておめぇら明日食うメシが 美味ェ(ウメェ)かよ!!! 」

望遠鏡でそれを見た海兵が
「なつ!!こいつら、麦わら達に変装していたようです!」

「ヒナ、不覚」
たばこをぎりぎりと噛みしめ、ボンクレーを睨む。

「男の道をそれるとも 女の道をそれるとも 踏み外せぬは人の道 散らば諸共 真の空に 咲かせてみせようオカマ道オカマウェイ」


その勇姿を涙ながらに見納め、ルフィ達は約束の海岸にたどり着いた。
隈無く船上から、確認するもビビの姿はなく、更にスピーチまで始まってしまった。

「聞いたか?ビビはこねぇって決めたのさ、諦めろ」

「いやだっ!!まだ、どっかに隠れてるかもしれねえ!降りて探そうぜ!!」

『海軍に狙われながらか?』

ライの指差す方へ視線を向けるとボンクレーを倒したのかすでに軍艦がこちらへ向かってきていた。

と、そこへ聞きなれた声が響き渡った。


【皆ーーーーー!】

「ほら、見ろ!ビビだ!来たじゃねぇか、船まわせ!」

【私、やっぱり皆とは行けません!この国を愛してるからっ!!】

「大佐!あれはアラバスタ王女では!?」

【私はここに残るけれど、また…また会えたら…その時はまた仲間と呼んでくれますか?】

それに返そうとしたルフィをナミが止める。

「駄目よ。返事しちゃ、今のは海軍も聞いてる」

『俺らが返事をしたら、その時点でビビは重罪人。捕まっちまう。』

「悲しいけど、何も言わず別れましょう」

ビビに完璧に背を向けたルフィ達。


でも……………………


ビビは涙を流した。

メリーの船尾で背を向け、仲間の証とした包帯を巻いた腕を高々とあげるルフィ達を見て。

巻いていた方の手をビビとカルーも高く掲げた。


【何があっても、これが仲間の証だ!!】

アラバスタに入った時に誓った証。
それが言葉はなくとも確かに伝わったのだ。
そして、ライは風に乗せて一枚の漆黒の羽をビビへ届けた。

羽にくくりつけられた手紙にはこう記してあった。

【何かあれば頼るといい。漆黒の天使がきっと君を助けに来るから…】

「……漆黒の天使…今はよくわからないけど、ありがとう。ライさん」


こうして麦わら海賊団はアラバスタを後にした。


「さみじぃー」

「だぁー!んなぐだぐだ言うなら無理矢理にでも連れてきちまえばよかっただろうが!」

「ゾロの野蛮人」
「まりも…」
「三刀流」

「いや、ルフィ三刀流は悪口じゃねぇぞ」

「なんなんだ、てめぇら…」

『まぁまぁ、気にすんな』

「無事海軍からは、逃げ出せたみたいね?」



一難去って、また一難?

(てめぇ!!誰だよ!)
(あぁっ!!あんた!何してんのよ!)
(お、おい!誰だよ!この女!)
(ぎゃあーーーー!!)
(うわん!綺麗な御姉様!)
(忘れてた…ニコ・ロビン……)





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