カチャ、カチャ…


「なんでおれが洗い物なんか…」
「まぁそう言わずに、はいコレ流して」
「へいへい」


只今エースと洗い物中。

なぜエースなのかというと、今日の鍋のシメはエースが決めたんだから、洗い物くらいやれ!

とガープ先生からのご命令。

自分だって美味しそうに雑炊食べてたのにね。


「まぁ、シメは雑炊になったんだから良かったじゃん!」
「ん、まぁな。名前相手のジャンケンなら余裕だぜ」


ジャー

カチャ


「わたしってそんなにジャンケン弱いのかな」


普通に勝てることもあるんだけどな。


「これから勝てなくなるから言わねェけど、お前癖あるぞ」
「うっそ!?」


そんなの知らない!
わたし癖なんてあったの!?


「え!何!?」
「だから言わねーって」


くっそー!じゃあもうエースにジャンケン勝てないじゃん!


「ま、おれ達付き合い長ェしな!」



そりゃそうだけど…!そんなところまで気付かれてたなんて。



「じゃあわたし二度とエースとジャンケンしない!」
「は!?お前ズリィぞ!」
「ズルいのはそっちじゃん!」


わたしが出す手分かってるなんてこの上ないズルでしょ!


「2人共〜、終わったらケーキ食べましょ〜」


ルージュさんの声に返事をすると、リビングから皆の賑やかな声が聞こえてきた。


「うんまっほ〜!」
「こりゃどこのケーキ屋じゃ?」
「ホールケーキアイランドのよ」
「ルージュさんそんな所まで行って来たのかよ!」
「おれも行ってみてぇなぁその島!」


ホールケーキアイランド…?
どこかわかんないけどケーキばっかありそうな島だなぁ…。


「やべェ!急がねェと!食い物出されて待つなんてルフィが出来るワケねぇ!」
「あぁ、そっか!」
「名前早くッ!」
「うん!」













「お、終わった…」
「おいル…!」


リビングへ行くと、目の前にケーキを出されたルフィくんが、ヨダレを垂らしながら目をケーキにさせていて、今にも食べようとしていた…が、食べず、頭をグルグルさせていた。


「2人を待ちたい気持ちとケーキを食いたい気持ちの狭間で揺れてんだ」


とサボがクスクス笑ながら教えてくれて、わたしも笑いが零れた。


「ルフィくんよく頑張ったね」
「ルフィ…おれの為に…」


隣ではエースが目をウルウルさせて、今にもルフィくんに抱きつかん勢い。


「ルフィ!もう食っていいぞ!」


それを聞くなり、ルフィくんは口をあんぐりと開け一口でケーキを頬張った。

ちょ、もっと味わなきゃ!


「うんめェー!」
「おれも食うー!!」
「わたしもー!」








「よし!飯も食ったしケーキも食ったし!ゲームしようぜ〜!」
「名前!おれと組もう!」
「ダメだルフィ!名前はおれと組むんだよ!」



やっぱり…エースがウチに来た時も絶対するんだよね、ゲーム。最新のが出たらすぐに持って来て何時間もやって帰る。今日は寝られないんだろうななんて思っていたらまさかのガープ先生から待て!とストップがかかった。


「お前らゲームしだすと止まらんじゃろ、その前に風呂入れ」
「えー、おれ風呂嫌いだ、溺れる!!」


プールで溺れてるのは見たけど、お風呂でも溺れるんだ…!


「それに昨日も入ったしよぉー」


ルフィくん…毎日入ろうね…。


「ごちゃごちゃ言わんと入らんか!」
「嫌だっ!」


と、ルフィくんとガープ先生の言い合いをぼんやり眺めていたところでルージュさんが立ち上がった。


「私はもう行くわね」
「えぇ!もう帰んのかよ…」
「今ちょっと忙しくてね…またすぐ会えるわよ」


そう微笑むルージュさんにエースは不貞腐れたように唇を突き出した。


「今度はロジャーも連れて来るわ」
「げー」


エースは嫌そうに眉を寄せたけど、やっぱりロジャーさんってエースのお父さんだよね。なんて言うか、あまり仲良くないのかな…?

いつも、おれの親父は白ひげ1人だ。って言ってるし…。


「じゃあね名前ちゃん、エースをよろしくね」
「は、はいっ。ルージュさんもお気を付けて!」


駅まで送って来ると言うガープ先生は、家を出る直前、こちらを振り返ると、わしが帰るまでにルフィを風呂に入れておけ!と命令を下していった。


「ルフィ!早く風呂入れ!」
「えー!」
「えーじゃねぇ!急げ!」










「お、おれ今1位〜!」
「えー、わたし5位だ〜」
「くそ…エースに追いつけねェ…」
「なんで誰もいねェんだ…?」


只今、ルフィくん、エース、わたし、サボと並んで座り
4人で仲良くゲーム中。


何のゲームかはお気付きの方も多いはず、超有名なカーレースのゲームです。


「ゲッ!誰だよバナナ置いたやつ!」
「あ、わたしかも」
「お前かこんにゃろ!」
「ひょ!ほっへらつれんないれよ(ほっぺたつねんないでよ)!」
「へっ、エース抜いたぜ!」
「あー!待てこら!」


エースが勝手に引っ掛かったんじゃんか!

こうなったらアイテムボックスに重ねて置いといてやる…。


「みんなどこだぁ〜?おれもみんなのところに行きてェ!!痛っ!バナナだ!」


ぷっ!画面見ながら痛っ!って言ってる。可愛い…!!
ごめんね。そのバナナはわたしが仕掛けんたんだよ…。


「あ、ルフィが見えてきた」
「え?じゃあおれサボより前走ってるから1位なのか!?」


それ、一周遅れてるんだよ!


「みんなおれについて来れねェから誰もいなかったんだな!」


ニシシッと笑っているルフィくんに何ィ!?と反応したエース。


「おれルフィにも負けてたのか!?くそ、待てェ!」


…。
バカなんでしょうか…?

サボも分かってるくせに教えてあげないなんて、きっと面白がってるな…。


「よっし、もうすぐゴールだ…!!」
「ゴール前で絶対抜かしてやる…おれァきのこ持ってんだ!」
「へへっ!抜いてみろ」


現在の走行順…

ルフィくん(←本当は最下位)、サボ、エース、わたしの順で走っている。


「よし!ゴォォール!!…ありゃ?出来てねェ!」


そりゃそうだよね!一周遅れてるんだもん…。


「よし!ゴー……しまった!バナナに引っ掛かった!」
「だっせー!行けきのこ!…あ、滑った!」


ヒューン。


「あ、1位だ」



まさかのゴール直前で2人ともバナナに引っ掛かるという…。


「うそだろ…!」
「なんであんなとこにバナナがあんだよー!」
「わたしだー、あはは」
「お前どんだけバナナ持ってんだよぉー!」
「い、いひゃい!だひゃらつれんないれ!(痛い!だからつねんないで!)」


離された頬を軽く摩った。
ふぅ…まったくもう…引っ掛かる自分達が悪いんじゃん!

わたしはただ、バナナばっか出て来るから適当に投げてただけだもん!

でもあそこまで上手くバナナを利用出来るのはわたしだけだね…フッ


「何がフッだよ、アイテムに頼りやがって」
「自分だって行けきのこ!って言ってたじゃん」
「な!…そ、それはだな…」



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