お、大きい……。


率直な感想がこれだ。

エースに連れて来られたのはオヤジさんの所、オヤジさんは屋上の端の方で大きなソファに座り、みんなの様子を楽しそうに見ながらお酒をグビグヒ飲んでいた。

あの白髭グループをまとめる人だから普通の人なんて想像してなかったけどさ、やっぱ、凄い威圧感…!



「おい名前ッ!なに固まってんだよ!」
「ハッ!す、すみません!」


エースに背中を叩かれ飛びそうになった意識を戻した。



「グララララララ、お前ェが名前か…よくここに来てたそうじゃねェか…」
「あ、は、はい!なんの挨拶もなしに出入りしちゃってすみませんでした!」


スパン!と自分でも最速と思われるスピードで深々と頭を下げると、グララララ!ってオヤジさんの笑い声が響いた。


「なぁに謝るこたァねェ、お前が来ると息子らが嬉しそうにしてやがんだ、これからはおれのとこにも顔を出していけ」
「は、はいっ!ありがとうございます!」



い、良い人だ…。
どこの誰かも分からないような人間が自分の家を出入りしてたっていうのに…、親父さんは体だけじゃなくて心も特大サイズでした。

隣でエースもニコニコしている。


「そうだ!名前!また期末前になったらマルコに勉強教えてもらうんだろ?だったらおれんトコで飯食ってけよ!」


とオヤジさんの隣で飲んでいたサッチ先輩がひょこっと顔を出して言った。オヤジさんの近くならエースに燃やされる心配ないからかな。

って、それよりも!そういえばまたテストの季節かぁ。



「わたしはとっても助かるんですけどマルコ先輩だって自分の勉強あるだろうし…」
「おれは全然構わねェよい」


スッと首に回された腕、突然、肩を組まれているような状態になって1人驚く。


「うわっ…マ、マルコ先輩!」



い、いつの間に…と、同時にエースが左の手をグイグイ引っ張ってきた

なに?この状況…



「で、どうするんだよい?」



うーん…期末は中間よりも教科多いしなぁ…1人で出来るとは到底思えない…。
と、考えている間も左手はグイグイ…と言うかブンブン振られている。

そんなの無視して、



「よろしくお願いします」

スッと頭を下げた。

そう言うとマルコ先輩はニコッと笑ってわたしの頭を撫でてくれた。
その時「チッ」と言う舌打ちと共に左の手が離された。



「よし!じゃあおれも頼むぞマルコ!」
「あっエースずりィ!おれも頼むぞマルコ!」

と騒ぐエースとサッチ先輩を冷たい目で見たマルコ先輩は心底嫌そうに、眉を潜めた。



「お前らは自分でしろい」
「お前だって、なに名前と2人になろうとしてんだよ!」
「お前に関係ねェだろい」
「おれなんて卒業できるかかかってんだぞ!?」
「知るかよい」


取っ組み合いを始めた3人にわたしは苦笑い。親父さんは止める気はないようで優しい眼差しで3人を見ていた
あれが父親の顔ってやつかな。


June


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