“うっかり湯”と書かれた大きな暖簾を見て思わずわぁ〜!と声が上がる。
もちろん隣に並ぶ美人達からも



「結構良いところね」
「ナミ、チケット持ってきた?」
「バッチリっ!」



ナミちゃんがバッグから4枚のチケットを取り出しバチンとウインクする。いや〜、可愛い!!

そのナミちゃんの後ろには……



「うっひょ〜!!でけェ風呂だァ!!」
「ルフィちゃんと浮き輪持ってきたのかよ?」
「エースが持ってるぞ!」
「おいルフィ!少しは荷物持て!」


ルフィくんをはじめとする麦わらグループの子達。さらにその後ろでは、頭と腕に浮き輪をはめて両手に大きな鞄を持ったエースまでいる。


なんで膨らまして持って来たの…。というか、お風呂だよ?プールじゃないんだから…。


エースの馬鹿さ加減にため息が出そうになるが、よく見ればチョッパーくんも小さな浮き輪を持って来ているし、ウソップ君なんて、頭にゴーグルを装着済だ。

遊ぶ気満々じゃん…!今日は疲れを取りに来たのに。


というのも、今日のお昼…






「え、温泉?今日?」
「そう。無料券があるのよ。テストも終わったことだし、日頃の疲れを取らないと」



首に手を添えてコキコキと鳴らすノジコには苦笑いが漏れるが、お誘いは嬉しい話。


温泉かぁ…、確かにこのところテスト勉強でずっと座りっぱなしだったし、身体にも疲労が溜まってるかも…。

今日っていうのはかなり急だけど、今は完全に行きたい気持ちが勝ってしまっている。



「行く!」
「じゃあ決まりね」






てなわけで、無料券は4枚あるらしく、ロビンとナミちゃんも誘ってちょうど4人で行く予定だったのだけど、ナミが行くならおれたちも行く!とルフィくんたちも行くことになり、ルフィが行くならおれも行く!とエースも自腹で引っ付いて来たわけだ。



暖簾をくぐり抜け、早速男女分かれて温泉へ向かった。



「広ーい!!」
「色んな種類の温泉があるのね」
「全部制覇するわよナミ!」
「あったりまえ!無料券もったいないもんね!」







「おれ、こんなに大っきい風呂初めてだ!!」


「見ろよゾロ!」
「修行だ修行!!」


「おいルフィ!お前浮き輪忘れてるぞ!」



ズッデーーーン!!



「わっははっ!!エース転んだ!!」





騒がしい…。
壁を越えたら男風呂なのはもう分かるんだけど…、声だけで行動が全部分かってしまうというね…



「あいつら馬鹿ね」
「疲れを取りに来たって分かってるのかしら」
「わたしたちはゆっくりしよっか」



髪や身体を一通り洗い終え、まず大きな湯船に身を入れた。



「はぁーー、気持ち良い…」
「よし、ナミ次行くわよ!」
「え、もう!?」
「全部入らないともったいないじゃない、名前は自由に入ってていいから」



ノジコはそう言い残しナミちゃんを連れ隣の温泉へ向かってしまい、残されたロビンとあたしはもう暫くこの温泉に浸っていることにした。



にしても…



「やっぱり良い身体してるよね〜…」



そんなわたしの呟きに、こちらもダイナマイトボディのロビンはクスッと笑った。


3人ともね、素晴らしいグラマーな胸に綺麗なくびれ、わたしなんて胸はないわくびれはないわ、で女としての魅力が全くないんですが…。



「名前もちゃんと普通にあるじゃない」
「3人に囲まれると普通がなんなのかわかんなくなるよ…」



それにね、わたしがみんな以上なのはここだよ…、自分の腹の下の肉を摘まんでみてショックを受けた。

あぁ、なんか、前より増えた気がする…。
いや、これは温泉のせい、水を吸収したのよ!!

そう自己完結した。






「水だ!プールじゃん!」
「馬鹿だなルフィ、これは水風呂っていって……って聞けー!」



ザッバーーン!!



「ばか!ルフィお前浮き輪ねェだろ!!」
「ばっ、うぷっ、ばぶべべー!!」






「あはは…」
「楽しそうね」



声聞いてても思うけど、今日はエースが凄くお兄ちゃんな気がする…。いや、いつもルフィくんのお兄ちゃんなんだろうけど、わたしの前ではいつも馬鹿やってて、ちゃんと見てないと何するか分からないのに…。そんなエースが今日はルフィくんのことをちゃんと見てて、色々お世話をしてあげている。

あ、もしかして、いつもはマルコ先輩がいるからかな?白ひげの中ではエースは結構下なんだっけ。



ふとそんなことを考えていると名前ー!と名前を呼ばれ、わたしは驚いて目を丸くした。



「名前ー!!」



もう一度呼ばれた名前になんで呼ぶの!と返すが、見てみろよ!と楽しそうな声が返ってきただけだった。


「な、何!!」
「おれの頭!!」
「はっ!?」



見れるかぁっ!!



「ウソップに二本角みたいにしてもらったんだ!名前に見せてェ!!」



あ、おれが行こうか?なんて言ってくるエースを必死に止めた。

まぁ、エースの言ってることは大体想像がつく、あれでしょ?シャンプーする時髪の毛びよーんって延ばすやつだよね?



「ちぇっ、ピッ○ロみたいなのによぉ」



なんか…、今リアルにピッ○ロエースが想像出来たよ…。



「うん、想像では見れたから」
「まじか!名前すげェ!」
「あ、はは…」



「見ろエース!クリ○ン!」
「うわっ!って、ただ髪の毛ぺしゃんこにしただけじゃねェか!」



一体何してんの…。


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