メイクアップしてもらったわたし達5人は舞台向かって左側の舞台そでで待機。
男子は反対の右側から舞台に出るそうだ
「緊張する…吐きそう…」
「大丈夫よ」
そういえば、ロビンは去年も表彰されてたなぁ…。経験があるからなのか、もともとの彼女の性格なのかはわからないけど、緊張は全くないみたい。ロビンは緊張で死にそうなわたしの背中を優しく擦ってくれた。
すると、間もなく舞台の証明が落とされ、ライトがくるくると回り出した。
会場もいよいよだという雰囲気に包まれており、わたしの緊張はマックスになった。
「レディースエーン…ジェントルメーン!こんにちは、えー、本日司会を務めますは、わたくし、文化委員委員長3Bのサッチでぇーーす!!」
「「いぇーーい!!」」
テンションアゲアゲなサッチ先輩の司会が始まり、会場も大盛り上がりだ。
「サッチ先輩文化委員長だったんだ」
「知らなかったの?」
初耳です…!!
舞台の中心で話をするサッチ先輩に視線を戻す。
「えー、これより、みなさんに投票していただいた、美女・男前コンテストTOP5の発表をしていくわけですが!!その前に!!」
少し間をためるサッチ先輩に会場からおぉ!?という返事がなされる。
「なんと!このコンテスト史上初の!!特別賞が出ましたー!」
「「おぉーー!!?」」
パチパチパチと拍手が上がった。
なんでもサッチ先輩曰く、ここの生徒じゃない人に結構な票が入ったらしい。なので特別に表彰しちゃうそうだ。
わたしも一体誰なんだろうとサッチ先輩に注目。
「えー、それでは発表……」
ドドドドドドドド…
音楽が鳴り、ライトも回転する。
ドンッ!!
会場中が注目する中スポットライトが客席の一ヶ所に集まった。
「え、おれ!?」
舞台袖からは遠すぎて顔が判別できないけど、スポットが当たった本人は相当驚いているみたい。
「特別賞受賞者はゴア学園高校からやって来た……サボ!!おめでとう!舞台へカモン!」
「サボッ!?」
会場中から拍手があがる中、サボはライトに照らされながら舞台にやって来た。
サッチ先輩はスタンドマイクの前まで案内すると、それではひとこと!と完全なる無茶ブリ。だけど、サボは慌てる様子なんてなくて、ははっ。と頬を掻いた。
「えーっ、すごくびっくりしてるんですけど…嬉しいです!どうもありがとうございました!」
サボが二カッと笑ったであろうタイミングで、会場から女の子たちの悲鳴が上がった。
「お前相変わらず人気なのなー」
「サッチさんお久しぶりっす」
「何その笑顔、おれまで惚れさせるなよ!!」
マイクは通さないで話す2人を後ろから眺めて、なんだか微笑ましくなった。
特別賞ということで3Bの出し物である焼き鳥を10本プレゼントされたサボは舞台から降りていった。
そして、またサッチ先輩に注目が集まる。
「それではお待ちかね…TOP5のはっぴょーーーう!!」
「「いぇーーーい!!」」
「それでは男前第5位!!」
ドドドド…
「パンが嫌いな死の外科医!!」
さっきの音と共に、サッチ先輩の説明が入る。
ドドドド……ドンッ!
「…トラファルガー・ロー!!!」
おぉー!と拍手が上がった。
舞台袖からローくんが出て来てスタンドマイクの前に立つ。
「それではひとことどうぞ!」
「チッ…」
サッチ先輩のフリの後に聞こえたのは舌打ち。
そういえばローくん去年よりも順位が下がってるんだ…。
ランクインするだけでもすごいことなのになぁ。
「フンッ…順位が下がってるが…まぁいい、取るべきイスは必ず奪う」
「「きゃー!」」
ローくんはそれだけ言うとスタスタと戻って行ってしまった。
「……はい!おめでとうございまーす!!続いておまちかね美女第5位!!」
ドドドド…
ってちょっと待って、これわたしだよね…!?
ここにいる女の子たちは4人とも可愛い過ぎてわたしなんかが勝てるわけがない。つまり、5位はわたししかありえないよ…!!こっ、心の準備が…!!
ドドドドドド……
「笑顔がキュートな心優しき女戦士!」
せ、戦士…?
「…マーガレットちゃん!」
完全に出て行く気でいたわたしの横から舞台へ出て行ったのは同じ学年のマーガレットちゃん。
「さ、ひとことどうぞ」
「あ、ありがとうございます!これからも蛇姫様のため、国のため、精一杯頑張ります…!」
話した後にお辞儀をしたマーガレットちゃんには会場からも盛大な拍手が送られた。
わたしじゃないことにはびっくりだけど、いい見本を見せてもらえた気がする。
わたしの緊張なんてつゆ知らず、サッチ先輩は次々に司会を進めていく。
「続いては…男前第4位…!!」
ドドドド…
「公私認めるブラコン、食事中に寝るのが玉に瑕!!火拳の…」
ドドドド……ドンッ!
「……ポートガス・D・エース!!」
わたしの心臓がドキリと跳ねた。
大きな拍手があがり、エースくーん!なんて黄色い声も聞こえる。
左袖からスーツに身を包んだエースが舞台の中央のマイクに向かって歩いて行った。
「はいじゃあひとことどーぞ!」
「…おぅ」
サッチ先輩に返事をして、エースはマイクの前ですぅっと息を吸ったのがわかった。
次の瞬間、エースから発せられた言葉にわたしは言葉を失った。
「名前ーーーーー!!すきだァーーーー!!!!」
エースは息が続く限り叫び、あまりの大声にマイクからキィーンと音が鳴った。
「えっ…」
会場中がシーン。と静まった。
「おれ…!!
ずっと!ずっとずっと!名前が好きだった!!
変にドジなとこも、熱中症でぶっ倒れるとこも、よく朝にバス逃すとこも、卵焼き作るのがすっげェうまいとこも、笑顔がかわいいところも…
全部、すきだ!!」
そう言い、一度、間を置いた。
「…でも、
お前が、今、マルコといて幸せなことは知ってる。
おれは…お前が幸せならそれでいい…
これからも…お前のこと諦められるかはわかんねェけど…!!
でもさ!!
ずっと親友でいてくれ!!」
会場に向かって叫ぶエースの言葉に涙が流れた。
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