「ん、あれは……、海軍だーー!!軍艦が正面に5隻!!」
カンカンカン!!
大きな鐘の音が鳴り響く。
操舵室にいたわたしはその音を聞いて窓を見た。
「どうして…、海軍基地は避けたはずなのに…」
慌ただしくなる船内。甲板では戦闘準備を始めた船員達が集まっていた。
「グラララ…、艦隊ぶつけてくるたぁ一体何事だァ…」
「おれが様子を見てくるよい」
甲板からマルコさんが飛び立ったのが見えた。
まだ遠くに見える軍艦に向かっていく。
緊張が走る。
白ひげ海賊団に来てから戦闘というのは数えるほどしかない。
まず、この新世界のルールをよくわかっている海賊は簡単に白ひげ海賊団に戦闘は仕掛けない。
それに、海軍も四皇と戦闘となると大きな犠牲を払うことになるため、あちらから近づいてくることなんてない。今回の航路に海軍基地はあったけれど、それも事前に避けての航路を進んでいた。
マルコさんが戻ってきて、オヤジさんに敵の様子を報告しているようだった。
「敵の目的はわからねぇが、この船に向かってきているのは間違いではないらしいよい!」
「グラララ…、野郎どもー!戦闘だァー!」
「「「おぉぉっーー!!」」」
甲板では戦闘の士気が高まっている。
ここに残っていた人たちも戦闘のため甲板へ行ってしまった。
わたし含め、残った数人で、天候の変化とどの方角が安全が見ておくことになった。
軍艦が五隻も来ていることに不安を隠せないわたしを見てか、残っていた人が声をかけてくれた。
「大丈夫だよ、白ひげ海賊団だぞ?簡単に負けねぇよ」
「…そうですよね…、すみません」
「おれたちはここでできることをしよう」
「…はいっ」
戦闘が始まる音がする。
軍艦はぶつかりそうなほどに近づいていて、四隻に囲まれる形となった。後一隻は少し離れたところから大砲を飛ばしているよう。
「きゃっ」
「大丈夫か!」
大砲が近くに落ちたのか、船体が大きく揺れ、それに伴ってバランスを崩してしまう。
それをテーブルを掴んでぐっと踏ん張った。
「大丈夫です…!」
「ははっ…」
甲板からはわーわーと銃撃の音や大きな金属音も聞こえる。
みなさん戦っているのに、わたしもしっかりしないと…!
「西の空に渦を巻いた雲が!」
「避けようにも東に軍艦がいる!」
「基地が近いんだ…、海軍のがこのあたりの海を把握してるのかもな…」
パァンッ!!!
「…!?」
突然、窓の割れる音とドサッと着地の音。
驚いて見れば、窓から数名の海兵が侵入していた。
その場にいた全員がそれぞれの獲物を構える。
「くそっ、なんでこんなところに…!」
一緒にいた船員がわたしを庇うように前にでた。その先頭に立っている海兵が顔を上げて帽子の下の顔が見える。その人物を確認するとわたしは動けなくなってしまった。
「ユマちゃん……?」
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