「名前ーー!来てくれーッ!」
「はーい」


大きな洗濯籠を抱えた船員達に呼ばれ甲板へ出る。
洗濯場では、わたしを呼んだ船員達が大きな樽に洗濯物を移していた。
そこに水を注ぎ込むと、ここからがわたしの仕事。

樽の上に手をかざし水を回転させる、いわゆる、洗濯機的な役割。

ある程度で水の回転を止めると、船員達が笑顔で肩を叩いてくれた。


「相変わらずすげえなぁ!」
「ほんと助かるぜ」


洗い終えた洗濯ものをもう一つの樽に移しているとわたしを呼ぶ声が聞こえた。


「名前、マルコ隊長が呼んでるんじゃねぇか?」
「ほんとだっ」
「ここはもういいから、行ってこい」
「うん…、干すの手伝えなくてごめん!」
「いいって、ありがとな!」


もういいからと送り出してくれる船員達に申し訳ないと思いつつも、呼ばれた声の方へ駆け出した。








「名前いいよなぁ〜」
「バカ!そんな目で見てっとマルコ隊長に殺されっぞ」
「分かってっけどさ、おれたち新入りにも平等に接してくれるし!」
「優しいし!なにより可愛いし!」
「それには同感だ!」


















「今日もありがとよい」


船室への入り口付近で待っていたマルコに駆け寄ると言葉と共にポンと頭に乗せられた手。
いつもの感覚に安心し顔をあげるとマルコが少し困り顔でわたしを見つめていた。


「あんなの新入りにやらせりゃいいのによい」
「いいの、これはわたしの能力でやったほうがみんな楽でしょ」


そう言うとフッと微笑み、乗せたままの手で頭を数回撫でたマルコはまたありがとよいと呟いた。


「それで、今日の仕事は?」
「あぁ、オヤジに回す書類の確認かねェ…サッチの野郎まとめて報告書出してきやがってよい」


眉を寄せ、ハァ。とため息を吐くマルコに苦笑いを送る。


「またサッチなんだ…、じゃあ早く始めなきゃ」


そう言いマルコの腕を引っ張ると、またふんわりと笑みを浮かべてくれる。


「お前も、成長したねい…」
「突然どうしたの?」
「いや…、早く終わらせてサッチの野郎締めに行くぞ」
「ふふ、うん!」


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