08
まだ日が昇っていないくらいに目覚めたエミリーは、背中か体温を感じ体を起こし振り返るとリヴァイが無防備な姿で寝ていた。かわいいくおもいリヴァイの髪を耳にかけ頬を撫でてると、ガッと腕を捕まれ肩をビクっとさせ驚いた。
「びっくりしたぁ…」
「………条件反射だ。」
「さすが地下街育ち、体洗ってエレン見に行ってくるよ。ハンジに捕まってるから寝てないかもしれないし。」
ベッドから出て下着を身に着けズボンをはきながら寝ころぶリヴァイに声をかける
「そうか。」
「寝てなさそうだったら軽く寝かせなきゃ、体調不良になられても困る。」
「そうだな。」
リヴァイも体を起こし着替えるエミリーに近づき、後ろに立ち「気抜くなよ」とエミリーの後ろ髪をのけ後ろの首にキスをする
「ハンジもいるし大丈夫よ、エレンにはミカサがいるし。」
鋭いのか鈍感なのかわからないエミリーに深いため息をしながら出しっぱなしのコップを片付けながらエミリーを見送る。
「じゃあね、お邪魔しましたー」
「ああ。」
シャワーを浴び終え兵団服に着替え昨夜みんなで話した部屋にいくとハンジがまだエレンと話していた。コンコンと扉を叩きなった方を2人が見る
「お二人さん、今何時だと思ってるの。」
「エミリー…」
「エミリー!おはよう!」
疲れた様子のエレンを見て苦笑いしてハンジの向かい側に座り。
「ハンジ、エレン顔死んでるよ」
「えっ…!?」
「まだ話したりない?」
エレンの顔を撫でるエミリー、その様子を見て少し申し訳なさそうにし始めたハンジに優しく微笑み
「エレン、この場になっちゃうけど少し寝なさい。」
「あ…いや…」
とハンジの方をチラッと見るエレンに「地下でゆっくり寝れる時間ないから、なんなら私の肩かそうか?」と冗談交じりに伝えると本気にとったエレンは動揺する。一気に目と口が開きエミリーを見る。
「ここで寝たのはハンジに押し付けちゃお?ね?私も責任取るし。いいよね?ハンジ」
「すまなかった、エレン…。」
素直に謝り、エレンが机に伏せすやすやと寝始めた。
「巨人捕獲できたんだね。」
「エミリーには言ってなかったね。第49回壁外調査でとある兵士の戦果を見つけたんだ。」
「その戦果の中で、信じられないことばかり書かれてさ!」
「そうなんだ。」
何度もエルヴィンに巨人捕獲の作戦を申し出たが、毎度断られ。49回目の壁外調査の際ミケが得意の鼻で森に巨人をいることを察し、みんなが警戒態勢にはいる中ハンジは単身で
飛び出し、巨人を探しに馬を走らせた。
エルヴィンの指示でリヴァイ達が後を追い誘導することに成功するが巨人は別の方向へ走出した為、ハンジがその巨人を追うこととなった。
最初は奇行種なのかと思ったらしい、でもその様子でもなく。どこか特定の場所に向かっていることがわかり森の大木の前で止まってその木に頭をぶつけはじめ。気になったハンジが近づくと駆け付けたオルオが巨人を攻撃しようとした。
だがハンジが「待て!」といってオルオが動揺し攻撃すのをやめ巨人に捕まった。食べられそうになったところリヴァイが攻撃し巨人が消滅した。
そのあと巨人が居なくなったことに落胆するハンジに、部下を危険にさらすなと激怒しているとペトラが顔を青ざめ何かをみつけ巨人が頭をぶつけていた木を指さし。その木には穴が開いていて中には首のない調査兵団兵士の亡骸が大事そうに保管されていた。
34回目の腕章。1年前に亡くなった兵士だそうだ。そばに落ちていた手帳をリヴァイが拾い「イゼル・ラングナーの戦果」だとわかった。
私の名は、イルゼ・ラングナー。第34回壁外調査に参加。第2旅団最左翼を担当。帰還時、巨人に遭遇、所属班の仲間と馬も失い故障した立体起動装置を放棄した。北を目指し走る。巨人が支配する壁の外で馬を失ってしまった。人の足では巨人から逃れられない。頼れる仲間もいない。街への帰還、生存は絶望的。ただ、巨人に遭遇せず壁までたどり着けるかもしれない。
そう、今、私がとるべき行動は恐怖にひれ伏すことではない。この状況も調査兵団を志願した時から覚悟していたものだ。私は死をも恐れぬ人類の翼、調査兵団の一員。たとえ命を落とすことになっても、最後まで戦いぬく。武器はないが私は戦える。この紙に今をしるし、今できることを全力でやる。私は屈しない
巨人に遭遇。6メートル級。すぐに私を食べない。奇行種か? いよいよ最期を迎える。これでだ。勝手なことばかりした。まだ親にも何も返していない
「ユミルの民」
今、しゃべった? 巨人がしゃべった。ありえない。
「ユミル様、よくぞ」
意味のある言葉を発した。ユミルの民、ユミル様よくぞ。間違いない、この巨人は表情を変えた。私に敬意を示すような姿勢をとった。信じられない。おそらく人類史上はじめて私は巨人と
「あなたたちは何?」この巨人に存在を問う。うめき声、言葉ではない。
「どこから来たの?」所在を問う。応答はない。
「どうして私たちを食べるの?」目的を問う。
うめき声をあげて答えない巨人。
手記を読みハンジはエルヴィンに進言書を書いたそうだ。
ハンジはイゼルの家をたずね、遺品の手帳と制服を渡し。後を付けてきたリヴァイ、オルオ、ペトラがその様子をみていた。オルオが自分のミスだ自分の命を安いものだと言いがじめ謝罪するが。謝るのは自分の方だとハンジはオルオを掴み「でももう二度と自分の命を安いなんて言うな」と伝える
そしてエルヴィンが巨人捕獲作戦の決行を決め、20日後ハンジはリヴァイ班率いる特別版の協力を得てウォールマリア奪還以後初となる巨人捕獲に成功した、その際ハンジの考案した新たな方法が採用され、一人の犠牲も出すことなく捕獲できたらしい。
「そんなことがあったんだ。」
「エミリーにも見せたかったよ!」
「みたかった、おめでとうハンジ」
「ああ、彼らとの会話は楽しいよ。」
「死に急がないでね」
「今日はエミリーも一緒だ、紹介するよ!!」
話していると外が明るくなりハンジは外の光を眺めエミリーは寝顔のエレンの頭を撫でていると
バン!っと扉が開きモブリットが慌てた様子ではいってきた
「ハンジ分隊長はいますか?!」
エミリーはピッと目の前に居るハンジを指をさす
「被検体が…巨人が2体とも殺されました!」
その言葉を聞いた瞬間エミリーとハンジは勢いよく立ち上がり、エミリーはエレンを勢いよく引っ張り「エレン起きて!!!早く!!」椅子をガンと蹴り揺らす
エレンをハンジに見ててもらいモブリットとエミリーは階段を勢いよく駆け上がりリヴァイ班全員に「巨人が殺された!!!本部に向かう!!今すぐ準備して!!」と言い回り急いで降りて寝不足のエレンを気遣いながら
エミリーは自分の馬とエレンの馬を連れ
慌てた様子でバタバタと降りてきたリヴァイ班が来る。
「エレン大丈夫?馬乗れる?」
「乗れます!」
だんだんと頭が冴えてきたのかリヴァイ班が来たことによってエレンの意識がしっかりしはじめエミリーの問いにはっきり答え馬に跨り
「ハンジ、モブリット先いって!私たち後から追う」
焦りと絶望した顔のハンジ、モブリットがハンジに声をかけながら馬を走らせる。その少し後に全員そろったリヴァイ班が追いかけて行った。
本部に着くと近くに急いで馬を止め、捕獲されていた巨人の元に急ぐと体が消滅し骨だけとなった巨人が横たわっていた。その様子を目の当たりにしたハンジは叫び取り乱す。
エレンはフードをかぶらせる、エミリーもフードをかぶり辺りを見渡す。全員の顔をひとりひとり確認しながらゆっくりフードを深くかぶりなおす
エレンは動揺した様子でエミリーとリヴァイの間に立ち、荒れるハンジを眺める
「貴重な被検体を」
「犯人はまだ見つかっていない、夜明け前に2体同時にやられたらしい」
だれにもバレず2体同時に巨人を殺す練度の高さ、複数犯の可能性が高いだろう、これは計画的犯行。
「見張りが気付いた時には、立体起動ではるか遠くだ」
見張りの数も知った上での犯行。
「これはいったい…」
「いくぞ、あとは憲兵団の仕事だ」
「あ…はい」
返事をするがエミリーもエレンもその場から動かず、巨人を眺める。
後ろから気配を感じたエミリーは振り返るとエルヴィンが立っていたことに驚き目を見開く
「エル…「君には何が見える」」
エレンに両肩をつかみ問いかけるエルヴィン
「敵は何だと思う?」
「は?」
なに、その試すような言いかた。
「すまない 変なことを聞いたな」とその場を去ろうとするエルヴィンにエミリーはバッと肩からはなされた手を掴みまっすぐエルヴィンをみつめる
「どうした。エミリー」
何も発さず眉を顰め目で訴える。
ーーー何を考えてるの。
「いいえ、なにも。」
手を離すとリヴァイの後ろを歩いていったエルヴィンの後ろ姿を2人で見つめる
そういうことなのね、エルヴィン。私が今まで思ってきたことが確信に変わってきてるのね。