バレる

自分は自意識過剰なのかもしれない。
そう思ったのはこの前、偶然にも牛丼屋で土方に出会ってからだ。
あの時彼は言っていた。
今までは意図して自分の見回り区域を私から遠ざけていたと。しかし、今はその必要がないので元に戻し、こうして偶然外で会うことも多くなった、と。

……………完全に自意識過剰だぁぁぁぁぁあ!!!

ちょっとね!?ほんのちょっとだけど!十四郎が私に逢いたくてわざと私の周りの見回りしてたりしたのかなーって思っちゃってました!!
だって!別れを切り出したのは私で、しかも一方的に別れを切り出したわけで、十四郎は納得してない風に見えたから!だから自分に復縁を迫って来るんじゃないかなー!?ってそう思ってました!!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!恥ずかしい!!!自意識過剰すぎて死ねる!!!

………けど、って事は十四郎はもう私のことは吹っ切れてるって事なわけで。
なんか、色々ぐるぐる考えちゃって彼を拒絶している自分が馬鹿みたいで…
あっちはもう自分を意識してないのに、自分は変に意識しちゃってるのが飛んでもなく惨めで…
兎に角、あぁ…私って本当馬鹿なんだなと理解した。





「………と、言うわけなんですよ坂田銀時さん」

「……え?何?自分自意識過剰でしたって言いに来ただけ?その為だけに俺は優雅な昼寝を叩き起されたの?」

「だって他にこんなこと話せる人いないし」

ソファーに座りむぎゅーと神楽を抱きしめながら一通り話し終えたまゆ。あの神楽が大人しくぬいぐるみの様に抱きしめられている理由は酢昆布を与えられたからだ。

人の色恋なんかに一切の興味がない銀時は面倒くさそうにあくびを一つすると机の上にあったジャンプを手繰り寄せた。

「へいへい分かりましたよ。自意識過剰ね、うんうん。そうなんじゃない?恥ずかしいよねー顔面からう○こでちゃうぐらい恥ずかしいよね。うんうん分かるよー。んじゃこれからそうならないように頑張って。はいさようなら!」

「オイ待てこら」

理解有るフリをしてさっさと出て行ってもらおう作戦は失敗に終わってしまった。目の前では鬼の如く自分を睨みつけているまゆがいる。ちなみにまゆの足の間で大人しく抱きしめられている神楽からも冷たい目線をもらってしまった。

「銀ちゃんに自意識の話なんかしてもダメヨ。こいつには自意識自体が無いネ」

「あ、なるほどね」

「うっせ!つーか俺をディスるなら他所に行ってくれませんー?俺もお前の相談にのってられる程暇じゃないんでー」

「う゛、ご、ごめんごめん。見捨てないで?」

真面目に他にこの手の相談をする相手がいないようだ。だからといって自分に相談するのもどうかと思うが彼女のことも土方のこと知っていて気さくに話せる相手となると自分しかいないのだろう。
そう判断した銀時は小さくため息を吐くと「神楽、定春の散歩行ってこい」と口にした。

「えー?!何でヨ?!私もここにいたいヨ!そんでダメ大人の下らない自意識過剰話聞きたいヨ!」

「……神楽ちゃん…」

「いいから行けってーの。これからおこちゃまは入ってこれないアダルティーな会話が始まるんだから」

「なんだヨ、アダルティーって。ルイボスティーの仲間アルカ?!」

「そうそう。ルイボ…えーと?なんだっけ?兎に角それそれ。だから散歩に行け」

しっしっと犬をあしらう様な仕草をすれば、若干潤んだ瞳で神楽がまゆを見てきた。う…その目は狡い、と思ったが、それよりなにより今はこの気持ちを誰かに聞いて欲しいし相談したい。なのでまゆはごめんねと眉を八の字にすると彼女の頭を撫でた。



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